金になる薬、金にならない医療
生老病死、愛別離苦。
人が生きていくと、いろいろ苦労もある。長く生きればなおさらだ。誰だって健康なまま長生きしたいもんさ。だから長生きすると出て来る身体の不調、それを何とかしたいって人がいるおかげで、俺は今稼いでいる。
もったいつけるなって?まぁ急かすなよ。あんたが広めてくれたら、うちの顧客も増える。だから丁寧に説明しとかないとな。だからまずは医療の話だ。解りやすいところで歯医者の話からするか。
歯医者がやたらと多い時代だが、歯の治療は根本的なところで何十年も進歩が無い。虫歯を削って詰め物をする、これが百年前から変わっていない。道具が変わっただけでな。医療の進歩をうたっておきながら、これはおかしな話じゃないか?
これは、今のシステムが金になるから変えたく無いってそれだけのことだ。百年前に外国の歯医者が歯の詰め物に銅をまぜた。銅は銀ほどでは無いが殺菌力のある金属だ。水銀だって無害化してしまう。その患者は詰め物の銅の殺菌力で虫歯が再発しなかった。これが百年前だ。なぜこの治療方が広まっていないのか?
金にならないからだ。虫歯にならない治療方で患者を治したら、その患者はもう歯医者に来ないだろう?歯医者が金を稼ぐためには一人の患者に何度でも虫歯になって、何度でも来院してほしいからな。
虫歯だって原因は虫歯菌だって、今は知ってる人は多い。だったらその虫歯菌を殺菌すれば虫歯は治るんじゃないか?なぜいまだにドリルでガリガリ削るのか?
実は虫歯菌を殺菌する薬はすでにある。ただ単価が安すぎて製薬会社の利益が出ないから広まっていないし、医療保健の対象外だ。ところがこの薬、ある菌性皮膚病の治療で使うとなぜか保健の適用範囲内だ。単価が安いが一度に使う量が多くなれば利益が出るからだ。
加えてこの薬が歯の治療薬としてひろまれば、歯医者用の医療器具メーカーは製品が売れなくなって困るからな。
安い薬で多くの人が助かると、歯医者と医療器具メーカーと製薬会社は倒産の危機を迎えるわけだ。
医は仁術、これは理想の話で現実はなかなかそうはならない。医者と薬屋がきっちり患者を治して稼ぐにはどうすればいいか?
簡単だ金持ちの患者を治療すればいい。他が真似できない専門の治療をな。
先進国じゃ、どこも少子高齢化。その高齢者がかかる病のひとつ、アルツハイマー。こいつの画期的で、いまだどこの国でも簡単にはできない治療法とその薬が、俺達のビジネスさ。アルツハイマーは乱暴に説明すると脳にぽっかりと空洞ができる。それが原因で脳神経が繋がらずに物忘れが酷くなる。人間の身体の細胞は分裂増殖することで、傷を治したり、骨折を治したりする。しかし、脳細胞は分裂しない。それがアルツハイマーや脳腫瘍、脳障害の治療の難しいところさ。ところがところが、実はあるんだな、分裂増殖する脳細胞が。それは胎児さ。
アルツハイマーを治したい金持ちから、精子を採取。人件費の安い国で、代理母集めて体外受精、妊娠させる。ほどよく成長したところで、中絶。水子から脳を取り出して精製して、アルツハイマーの脳の空洞に注入。分裂する脳細胞が脳組織を再生するのさ。
胎児を薬にするのはどこの国も認めてない、聖書原理主義者の多い国なら、なおさらだ。だからこそ希少価値がある。きっちり治して金になるから、医者としても満足さ。
そんな俺だからこそ、ひとつ言っておきたいことがある。いいか、ワクチンには気をつけろ。普通、薬は病気になった人にしか売れない。ところがワクチンは、病気になっていない健康な人にも売れる薬だ。人気が出ればみんなが買うから大儲けだ。だが、そのワクチンは本当に必要な薬か?上手く教育できたからか、ワクチンの信者は多い。天然痘が流行してるときには、天然痘ワクチンは奇跡の薬と褒め称えられるだろう。だが、現代では?興味があれば、調べてみるといい。日本で、アメリカの首都で、ヨーロッパの都市部で、この数年間の、天然痘で死亡した人数と、天然痘のワクチンの副作用で死亡した人数を。
何故、そんな話をしたのかって?それはもちろんみんなに健康で長生きしてほしいからさ。健康なままに長生きしたら、アルツハイマーの患者も増えるだろう?その上で金持ちなら最高だな。
終