三日前 PM6:00
弟から手紙が来た。
俺は早足にマンションの階段をのぼる。
俺の弟は今、海外にいる。
空港で飛行機に乗り込むのを見送って二週間。やっと落ち着いたようだ。
頭の中は、早く手紙を読みたいという思いでいっぱいだった。
引っ越しはもう終わっただろうか。
向こうの水や食事はちゃんと弟の身体に合っているだろうか。
もし何か辛いことがあっても、弟はそれを手紙で書くようなことはしない。
それを思うと、なんだか少し不安になった。
「…………あ」
気がつくと、俺が住んでいる部屋を通り過ぎて最上階に来ていた。
「あーぁ、ったくもう。」
思わず悪態が出る。
階段を降りようとした、その時。
「あっ」
風が吹いて、手紙が飛んで行ってしまった。
慌てて掴もうとするが、あと少しの所で届かなくなってしまう。
手紙はふわりふわりと、マンションの前の道路へ降りて行った。
鞄を放り出して走り出した。
頭の中が真っ白になる。
階段を降りて、マンションを出て、
ガードレールを乗り越えて、
見つけた。
道路の真ん中に白い紙
走って、掴む。
やった。
弟の手紙……っ
パッパァ―――――――――――――――――――
………え?
kjhぎゅ