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EGT  作者: Shiyo
非日常の始まり
9/10

VSゴブリン 美玲、麗奈サイド

ー美玲サイドー

「めんどくさいなぁ」

ゴブリンを目の前にして美玲は呟いた。

「まあ、一人でよかったぁ。こんな雑魚相手に手こずるふりするのしんどいんだよねぇ。それとも、本部が気を効かせてくれたのかな?」

そう言って、天を仰ぐ。

バカにされたのが分かったのか、ゴブリンが吠えながら突進してきた。

「ギャォォォォォォォォォォ!!」

美玲はそちらを見ようともしない。

ゴブリンは怒り狂って剣を振り下ろした。

「ギャッ‼!?」

美玲はそれを人差し指と親指で挟んで止めていた。

ゴブリンが必死に押すが、剣はビクともしない。

美玲は剣をへし折り、ゴブリンは真っ青になって逃げた。モンスターでも恐怖は感じるようだ。

「はぁ」

美玲はため息を一つついた。

すると、全力で逃げているゴブリンの前に美玲が現れた。

「雑魚が手間取らせないでよね」

次の瞬間。

ゴブリンは光となって消え、折れたゴブリンの剣を持った美玲が立っていた。

「スキル何て使うまでもないってね♪」




ー麗奈サイドー

麗奈は茂みに隠れていた。

小さくなり、息を殺し、存在を消していた。


やっぱり、私に戦いなんかできないよぉ。恐いよぉ。


ゴブリンがすぐそばを通る。恐怖を押さえつけて、声を我慢する。


どうしよう。何とかして倒さないと。

でも、私力なんて無いし...。


ガサッ


後ろでの音に慌てて振り向く。

「風か...」

ホッとして振り返ると、すぐそこにゴブリンいた。

「キャァッ!!」

思わず声を出してしまう。その声でゴブリンに居場所がバレた。

こちらに向かって走ってくる。

「キャァッ!」


パニックになる。そこでふっと教官との会話を思い出した。


[お前のスキルは見えない障壁を作り出す、プロテクという魔法だ。杖もあるから、ある程度は防げる。]


「プロテク!!」

見えない壁にゴブリンの剣が弾き飛ばされ、ゴブリンはひるんだ。

「やったぁ!」

嬉しくて飛び跳ねる。ゴブリンが剣を拾い再び攻撃してくる。

魔法が成功して興奮した麗奈は、ゴブリンに向き直り、

「あんたの攻撃なんて効かないわよ。

プロテク!」

再度攻撃を弾く。

「何度でも来なさいよ」

挑発すると、ゴブリンは怒り狂って、斬りつけてきた。

「プロテク!」

またもゴブリンの攻撃は弾かれ...

るはずだった。

しかし、攻撃は何にも遮られず迫ってきた。

「えっ!」

とっさによけたが、左手を斬りつけられた。

またも教官との会話を思い出す。


[ただし、魔法の回数には上限があってな。それも武器強化のときに一緒に増やしてやろう。いいか?残り回数は把握しておくんだぞ]


血が噴き出す。

「イヤァァァァァァァァッッ!!」

痛みと血を見たことにより、麗奈は発狂した。ゴブリンは構うことなく追い打ちをかけにくる。

「イヤァッ!血がっ!痛いよ!」

痛みと恐怖とで、麗奈の中の何かが弾けた。

「来ないでぇぇぇ!!!!」

杖から一筋の雷が走り、ゴブリンを焼き切った。

「へぇ?私、やったの....?」

我に返った麗奈は緊張が解け、気を失った。

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