VSゴブリン 守、劉賢サイド
すぐさま俺は右に飛んで回避する。
ゴブリンは着地して、今度はこちらに向かって走ってきた。
マジかよ!結構早いな!
対処法が分からないので、とりあえず全力で逃げる。
あいつらもこいつと戦ってんのかな?
走りながら、ふと思う。
ー守サイドー
「くそっ、弾があんまり効いてないな」
リロードしながら、敵の視界から外れる。
残弾は2丁で80か...。慎重に使わないといけないな...
多分、あいつは何らかのスキルを使わないと勝てないんだろう。
だが、どうすればいい?閃く予感すらしないぞ。
そんなことを考えていると、ゴブリンが近づいてきた。幸いまだこちらには気づいていないようだ。
先手必勝!
茂みから出て、走りながらゴブリンの頭を撃つ。が、やはり効いてないようだ。
ゴブリンがこちらに気づく。
吠えながら走ってきた。撃って牽制しながら逃げる。
茂みに隠れて息を整える。
もう残弾が少ないな.....。
どうする?このまま逃げ続けても弾切れでやられるか、戦意なしとみなされるだろう。
「こうなったら...」
残弾を全て弾に込める。
全ての弾を0距離で叩き込んでやる。
ゴブリンはこちらに背を向けている。
今だっ!
全力で走って近づく。気づかれる前に銃口を2つとも後頭部に突きつけて、全弾叩き込む。
やったか?
距離を取ろうとした瞬間、右の脇腹に激痛が走った。
気がつくと木の幹に叩きつけられていた。ゴブリンがこっちに向かってくる。
やばい!銃はどこだ?
近くに落ちている銃を拾う。全身に激痛が走った。何本か折れてるな。
銃を構えて、ゴブリンに向けて引き金を引く。
が、銃はカチッカチッっという虚しい音を鳴らすだけだ。
弾切れか!
ゴブリンが近づく。
「くそっ!来るな!来るな!」
引き金を引くが、何も出てこない。
ゴブリンが剣を構えて振り下ろす。
ーーあぁ、これで終わりなのかな。
まだまだやりたいことあったのにな。
諦めそうになる。
ーーいや、僕はまだ死ねないんだ。
まだ生きたい!
その瞬間、頭に言葉が閃いた。
「うぉぉ!デュアルバーストォォ!」
体がうす赤く光る。銃口から二本の光の線が伸び、ゴブリンを焼き殺した。
「ギャァァァァァァァァァァァ」
ゴブリンは断末魔の悲鳴を上げて光となって消えた。
やった...のか。
そのまま守は気を失った。
ー劉賢サイドー
「くそっ!ちょこまか動きよって!」
肩で息をしながら、劉賢が毒づく。
体にはいくつかの切り傷がある。どれも浅い傷だが、体力の消耗は防げない。
積極的に攻撃をしかけるが、どれも紙一重でかわされ、反撃を食らう。
こちらもよけるのだが、完全によけることは出来ない。
茂みから出て、ゴブリンの背後から突撃する。
が、すんでのところでこちらに気付き、カウンターを放ってくる。
こっちに近づかせん気か。
どうする?めちゃくちゃに殴りに行くだけやったらあかん。すぐに感づかれてカウンター食らってまう。
そうや、上からやったらどうや。
一つの石を拾って、近くの木に登り上から場所を確認する。
ゴブリンは辺りを警戒しながらこちらに近づいて来る。
ゴブリンの背後に石を投げつける。
ゴブリンが反応し、こちらに背を向ける。
その瞬間、劉賢は木から飛び降りて、後頭部を殴りかかった。
いける!!
劉賢は確信した。あと数cmのところまできた時に、ゴブリンが不意に上を向いた。
しまった!
次の瞬間盾で体を吹き飛ばされた。
ミシミシッ
とっさに腕でガードしたため軽傷ですんだが、腕が折れたようだ。
ゴブリンが走ってくる。
出血がひどいため、体に力が入らない。立っているのがやっとの状態だ。
「俺は死なんぞ。こんなとこで死んでたまるか!」
ボロボロの体を精神力だけで動かす。
視界がボヤけ、意識がもうろうとする。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
叫びながら劉賢が走る。
その時、体がうす赤く光り、劉賢が消えた。
否、高速で移動したのだ。
ゴブリンの懐に潜り込み、腹、胸、顔と、三連撃を浴びせる。
体を包む光が消える。
ゴブリンは宙をまいながら、光となって消えた。
「ファントムステップ...か」
そう呟いて劉賢は倒れた。