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救いかどうかもわからない

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/06/29

 

 あっ。


 と、気づいて声を出そうとした。

 けれど、声は出なかった。

 理由などわかりきっている。


 さもしく気づかぬふりをしていたけれど、ちゃんと私は覚えていたから。

 自分を騙すのは中々にむつかしい。


「死ねないや」


 わかりやすく声に出す。

 これは現状の確認だけ。

 同時に欲求を抑えるものでもある。

 だって、本当に死にたいなら包丁を首に当てれば良いのだから。


 手首じゃダメ。

 ただのかまってちゃんにしかならない。

 本気でやるなら首を狙う。

 なんとなく、それがきっと正しいのだろうと思う。

 素人考えだけれど。


 まだ明るい時間に電気を消す。

 布団に潜り込んで目を閉じる。

 こうしていればその内に眠れる。


 アラームは今日と同じ時間にする。

 目が覚めたら死んでいることを期待しているのに。


 目が覚めたらって。

 馬鹿みたい。

 死人は目が覚めないから死人なのに。


 結局、死にたいのに、頭は冷静に理解しているんだ。

 どうせ死ねないって。


 心の中で苦笑いする自分を浮かべる。

 カッコよく、皮肉的に笑えているけれど、それは全部空想で本物の私は目を閉じているだけ。


 どうせなら、幸せなことを考えればよいのに。

 だって、妄想なんだから。


「捨てなきゃ良かったな」


 睡眠薬。

 せっかく何ヶ月も貯めていたのに。


 本心からそう思いながら、私はじっと目を閉じる。

 過去の自分が馬鹿だったおかげで私は今日も生きている。


 そんな休日のこと。

お読みいただきありがとうございました。 

私が定期的に書いていますうつ病の話ですが、何故書いているのかは正直自分でもわかりません。


ただまぁ、誰もが幸せになれたらよいなと思います。

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― 新着の感想 ―
妄想…… せっかく貯めた睡眠薬が、笑い薬(ってあるのかしら)に入れ替わっていた。 切ると痛いので、自分の代わりに桃を切って食べて、美味しかった。 アラームをセットせず、気づいたらお昼近くて慌てたけど…
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