新しい朝3
子猫は満足したのかにゃあにゃあと玄関の入口で鳴き始めた。彼が玄関を開けると子猫はまた外へ旅立った。
彼はまた部屋でひとりきりになった。
夕飯の時間になった。彼は階下に降りて食堂となっている部屋を訪ねた。中から管理人が出できた。ごはんの準備できてるわよ、と彼女は言った。彼は中へ上がった。
二階の彼の部屋と変わらないワンルームの部屋。テーブルの上には彼の食事が綺麗に一人前置いてあった。
管理人が言う。
「みそ汁と白米は自炊だけど、おかずは湯せんのものよ」
彼はいただきますをしてごはんを食べはじめた。
「どう、おいしい?」
「はい、申し分ないです」
「そう。よかったわ」
彼は空腹だったのであっという間に完食した。
「ごはんおかわりする?」
「いいんですか」
「一杯までね。あとお味噌汁もいいわよ」
「いただきます」
彼女はおかわりを持ってきた。彼は完食した。
「グループホームの生活も退屈でしょ」
「まあ、退屈ですね」
「少し外へ出るといいわよ。隣駅に銭湯があるわ。サウナは好き?」
「好きです」
「私もたまに行くのよ。あそこはいいところだわ」
「行ってみます」
彼は彼女におやすみなさいを言って部屋を後にした。
階段を上がると子猫がドアの前で待っていた。子猫の足元にはモグラの赤ちゃんが死んでいた。
「捧げものとはわかってるじゃないか。だけどいいか?僕はモグラの赤ちゃんは食べないんだ」
子猫はにゃあと鳴いた。モグラの赤ちゃんを二階から放り投げ、彼はドアを開けた。子猫も一緒に入ってきた。
子猫は身体が汚れていたので、濡れタオルで拭いてやった。拭き終わると子猫はベットへもぐりこんだ。一人と一匹は一緒の布団で夜を明かした。




