夢5
マキは今一度自分の置かれた状況について考えてみた。自分は夢の中?にいて、にゃんにゃん王国ではお餅さんが王様で、お餅さんいわく私はすぐには現実へと帰れない状況に置かれているらしい。一体どういう成り立ちでそうなってしまったんだろう。サクラが言うにはにゃんにゃん王国は夢と現実の間の世界で猫たちが言葉をしゃべり、身体は大きい。なんだか今の状況が普通じゃない気がしてきた。ここは夢であり夢じゃない。現実とも少し違うらしい。じゃあここは一体なんなんだ?
マキの脳内を様々な思念が巡った。今見てる光景は現実みたいに思えるけど現実ではない。夢のような光景だけど夢じゃない。結局のところ、にゃんにゃん王国ってなんなんだろう。
謎は深まるばかり。
すると、目の前に一人の女性が現れた。背はマキより少し大きい160センチは超えているだろう、バスケットボールの服を着た、目が前髪で隠れている女性だ。肌に張りがあるからまだ20代後半と言ったところだろう。マキはそう検討をつけた。
「こんにちは」そう女性は言った。
「こんにちは」
「なんでこんなところに人間がいるんだろう、って思ってるでしょ?」
「はい」
「私はつむぐ。よろしくね」そう言って彼女は手を差し出してきた。
マキもそれに応じて握手をした。
「どこから話そうかしら」そう言ってつむぐは顎に手を当てて考え込んだ。「あ、そうだ。まずは私の家に来るっていうのはどう?」
「まあ、いいですけど」
「じゃあ、決まりね。申し訳ないけどハク、少しこの子を借りていいかしら」
「私は別にかまいませんよ」
ハクはつむぐの存在に困惑しながらそう言った。
つむぐがマキの手を引く。「さあ、ついてきて」
あっという間に二人はにゃんにゃん王国を出た。にゃんにゃん王国の周りには森が広がっており、つむぐは森の中へとマキを案内した。
30分くらい森の中を進んだところで、一軒の家が見えてきた。
「ここが私のお家。いいところでしょ」
「はぁ」
つむぐがドアを開け中に入っていく。マキも後に続いた。中では一匹の猫がコーヒー片手に新聞を広げていた。
「この子が私の同居猫。名前を聞いてみて」
「名前はなんていうんですか?」
「名前はない。俺はイリオモテイケオジだ」
たしかにイリオモテイケオジと名乗った猫は顔つきが他の猫と違っていた。少し攻撃的な目つき、鍛えられて盛り上がった筋肉。
「イリオモテヤマネコなんですね」
「イリオモテイケオジだ!」
「ウケる」
「じゃあ私、紅茶とケーキ持ってくるね。冷蔵庫にスポンジと生クリームとイチゴがあるから飾り付けしてくる」
つむぐはキッチンへと姿を消した。
「まあ、お嬢さんお掛けなさいな」そうイリオモテヤマネコは言った。
イリオモテヤマネコはコーヒーをズズッと飲んだ。「王様のことなんだが」イリオモテヤマネコはマキの顔を覗き込んだ。「秘密があってな」
「秘密?」
「王様は定期的に姿を消すし、たまに健康なのに身体が突然動かなくなることがある」
「具体的にはどういう感じですか?」
「食事をして席についていたかと思うと、突然身体が動かなくなり、喋ることはできるんだが、そのまま三日間動けないこともある」
「ええ!?それって大変なことじゃないですか!」
「うむ。王様には何か秘密があることは間違いない。そしてその鍵を握っているのがつむぐなんじゃ」
「つむぐさんが鍵?それはどういうこと?」
「あまり深く立ち入るとワシも存在を消されてしまうかもしれないが、どうかその辺りのことを探ってはくれないか」
「私はただの迷子ですよ。夢から出られないんです」
「夢から出る方法については、つむぐが何か知っておるかもしれん。ワシも確かなことは言えないがつむぐはおそらくこの国について一番詳しい。
「つむぐさんってなんなんだろう」




