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旅行1
お餅との約束の日の朝を迎えた。新大久保駅に着くとお餅がすでに待っていた。
「おはよう」
「おはよう」
「ちょっと思いついたんだけど、海見に行かない?」
「いいと思う」
二人は切符を買って電車に乗り込んだ。
お餅は車窓から広がる景色を眺めている。
映画のワンシーンのようなお餅の横顔に彼はドキッとした。まるでこの世のものではないような美しさがあった。
お餅は彼の視線に気づいて、彼の方を向いた。
「ねえ坂下」
「なんで僕の名前しってるの?」
お餅には彼の名前は名乗っていない。でもこの少女は彼の名前を知っていた。




