目覚めるとき3
彼はグループホームへ帰った。お餅の姿はなく、お嬢が彼を出迎えた。一宮と別れ、扉を開けて中に入る。お嬢も一緒に入る。彼はウィンストンに火を付けた。ふうっと煙を宙に吐くが、ゴーゴーランプが光ったときの余韻がまだ残っている。
そうだ、小説を書こう。彼はパソコンを開きカタカタと文字を打ち込んでいく。
たとえジャグラーに心揺さぶられたとしても小説は書き続ける。
これは彼のポリシーだった。
文章と思考の間に彼の感覚が吸い込まれていく。この感覚が彼は好きだ。創造者として彼は物語を自由に動かす権利を持っている。自己満だが、それでいい。だってこの感覚を味わうために生きているのだから。
窓を開けて、冬の冷たい冷気を部屋に流し込む。お嬢が彼の膝に乗ってきた。
「ああ、夜ご飯まだだったな」
彼は執筆の手を止め、キャットフードを皿に入れた。お嬢はすごい勢いでキャットフードを胃の中に流し込む。やがて満足したのかお嬢は布団の上でくつろぎ始めた。
彼はウィンストンに火を付け、コーヒーを飲んだ。
ピンポーン。彼の部屋のチャイムが鳴らされた。
こんな時間に誰だろう。彼は扉を開けた。外にはお餅が立っていた。
「家へは帰らなかったのかい?」
「うん」
「とりあえずあがって」
彼はお餅を招き入れた。お嬢が布団から起き上がってお餅の元へ駆け寄る。お餅はお嬢を撫でた。




