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命の灯  作者: 坂上きつね
第一章ー--坂下ー--
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つづくもの2

 「いや~俺も体験行ってみます」

 「僕は年明けには本入所します」

 坂下が再びフォルテに火を付ける。久しぶりのメンソールの風味に、背筋がシャキッとする。

 子猫はどうしてるだろうかと、坂下は考えた。路頭に迷ってなければいいが。

 お餅はどうしてるだろう。やっぱり大学に通い始めたのかもしれない。二週間後には退院の予定だからそこでまた彼女たちに再会できるかもしれない。

 「坂下さん、何か考えてますね」一宮が言った。

 「ああ、ちょっと...」

 「グループホームの周り探索しました?」

 「何も無かったですよ。隣駅にサウナがあったぐらいです」

 「お~、いいじゃないですかサウナ」

 「岩盤浴もありました」

 「お、そしたら一緒に行きましょう」

 「いいですね」

 「ねえ、ちょっと坂下さん」

 マキが坂下に近づいてきた。あまり普段ないシチュエーションに彼は動揺してしまった。

 「坂下さんから女性の匂いがします」

 「そんな匂いする?」

 「はい。します」

 「どんな匂い?」

 「具体的な匂いがするわけではありません。女の勘です」

 「まいったな。当たり」

 「ほ~ら、やっぱり。なんかあったんだ~?」

 「大したことじゃないよ」

 「ふ~ん」

 マキは自分が勘を当てたことに満足して、またみんなからは距離をとった。まったく不思議な少女ばっかりだ。

 「いい女でも見つかった?」古沢が目を細めて彼の瞳を覗き込んだ。

 「いやいや、そんなんじゃないですよ」

 「つまんね~の」

 「あ~メビウスの香りかな~」杉原が納得したという空気で歌を口ずさむ。彼は作詞が一段落したのか煙草に火を付けた。喉が渇いていたのかコーヒーをグビグビ飲んだ。

 「杉原さん、作曲は一段落?」古沢が気になって聞いた。

 「そうっすね~。なんとか形になりました。散歩の時間が終わったらプレイヤーに録音します」

 「いいね。みんなでレコーディング聞こうか」古沢は嬉しそうな顔をした。

いや~、もう春日和ですね。二月の終わりは三寒四温がやってきて、寒の戻りが三回あるそうですね。次の寒で終わりだといいな~。

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