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命の灯  作者: 坂上きつね
第一章ー--坂下ー--
14/46

迷い子1

 「じゃあ、ウチに行こうか」

 「うん」

 二人は銭湯を出た。駅までの道を並んで歩いた。彼女はジーパンに茶色のコートを着ていた。駅に着くまでの間、会話はなかった。

 新大久保駅に着いた。彼は改札に入ろうとすると、お餅は彼の袖を握った。

 「どうやって電車に乗るの?」

 「そりゃあ切符を買って入るのさ」

 「私、電車乗ったことない」

 「まさかぁ」

 「切符の買い方教えて」

 「本気で言ってるの?」

 彼女は恥ずかしながらうなずいた。やれやれ、一体どんな人生を送ったら電車に乗らずに済むんだ?

 彼は切符を彼女の分買ってやった。彼女に渡すと、不思議そうに切符を眺めている。

 「改札のここの部分に入れてみて」

 「わかった」

 彼女は切符を改札に入れるとそのまま立ち尽くしていた。彼は彼女の背中を押した。

 「改札が開いたんだから中に入らないと」

 「中に入っていいの?」

 「もちろんさ」

 二人は何とか駅のホームに降り立った。全く不思議な少女だ。

 ほどなくして電車が来て、二人は電車に乗った。彼女は電車内を不思議そうに観察している。

 電車が発進した。電車の揺れとともに彼女は転倒しそうになった。

 「うわっ!」

 彼は彼女の腰に手をまわして彼女を支えた。

 「この宙にぶら下がっている丸いものは何?」

 「つり革だよ。転ばないようにこうやってつかむのさ」

 彼女は彼を見てつり革につかまった。

 たった一駅だと言うのに彼はひどく疲れた。

 目的の駅に着いた。

 彼女が唐突に言った。「お腹すいた」

 時計を見ると11時40分だった。もうお昼だ。

 「何か買ってこうか」

 二人はスーパーに入った。各々弁当を選んだ。そうだ、キャットフード買っていかないとな。

 会計を済ませ、二人はグループホームに向かった。

 グループホームに着くとにゃあにゃあと子猫が玄関の前で待っていた。子猫はひどく汚れていた。

 玄関を開ける。彼女は一緒に入ってきた。子猫は一緒に入ってきた。

 濡れタオルで子猫を拭いた。子猫は彼女に興味を持っている。彼女は子猫を観察し始めた。彼女に持ち上げられると、子猫は抵抗しなかった。

 「この子、メスだ」

 「そうなの?」

 「うん。ペニスがついてないもの」

 子猫は彼女から逃げた。彼の元へやってくる。子猫はにゃあにゃあと鳴いた。

 彼はキャットフードを開け、皿に入れた。子猫はすごい勢いでキャットフードを食べ始めた。

 「お嬢」

 「何が?」

 「この子の名前」

 「まあ、メスだからいいんじゃないか」

 「お昼食べましょ」

 「そうだね」

 二人はテーブルに弁当を広げた。お嬢が彼の足元に寄ってきた。彼は目玉焼きをお嬢にあげた。

 二人は弁当を食べ終えた。彼は煙草に火を付けた。彼女も火を付ける。

 「そろそろ帰る」

 「ああ、お疲れ様」

 お餅は煙草の火を消すと、手を振って帰っていった。

 その後、一週間サウナに通ったがお餅の姿を見かけることはなかった。

 こうして彼は一週間の体験入所を終え閉鎖病棟へ帰った。

歯の治療してもらいました~。

いや~、生きてるって幸せ。

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