51. 消えたキョウスケ
ゲームセンターから戻ってきたキョウスケの表情は、どこかスッキリとしていた。
その様子を見て、他の三人は口には出さなかったものの、「ゲーム中毒者め」だの「よほど楽しんできたんだな」といった呆れ混じりの感想を抱いていた。
再び合流した四人。
十分に休息は取ったということで、一行は次の目的地へと移動を開始した。
二番目の場所に到着したが、ここでも最初は順調だった。
すでに何度も繰り返してきた作業であり、実質的な進行はアヤノが担っている。
残りの三人は、ただその場に控えているだけでも、護衛としての役割は果たしていると言えた。
だが、キョウスケは今までとは違うアメリカ側の「違和感」を敏感に察知していた。
「おい、何かおかしくないか?」
彼は自分よりも探知能力に長けているアキに歩み寄り、声をかけた。
「何がだ?」
「あいつらの動きだよ」
キョウスケが顎で米軍の方を指し示す。
するとアキは、珍しいものを見るような目で彼を見返した。
「ふむ、遊びに呆けているのかと思っていたが……一応、仕事はしているようだな。お前の言う通りだ。以前ならアメリカの覚醒者たちは遠ざけられていたはずだが、今は姿を見せない程度の距離で、我々を包囲するように展開している」
現在、一行がいるのは建設現場のど真ん中だった。
周囲を囲むフェンスが視界を遮っているが、アキの言葉が正しければ、そのフェンスのすぐ向こう側に奴らが潜んでいることになる。
キョウスケは眉をひそめて言った。
「なんだ、気づいてたのか?」
「ああ」
「だったら教えてくれてもいいだろ」
「教えたところで何が変わる。かかってくるなら殺す、それだけだ」
「ちっ。相変わらずの性格だな」
「二人で何を面白そうに話しているんだ? 仲間外れにしないで、俺にも教えろよ」
ゲンドが茶化してきたが、キョウスケは「別に何でもない」と受け流した。
アキの言い草は癪に障るが、確かに知ったところで状況が変わるわけではない。何か不測の事態が起きても、ここにいるメンツなら対応できるはずだ。何より、起きてもいないことに過剰に反応して、余裕のない姿を見せたくはなかった。
しかし、「一人だけは、少し危ないかもしれない」と考え、キョウスケはアヤノの傍へと歩み寄った。
自分の隣に来たキョウスケをアヤノがちらりと一瞥したが、彼女は何も言わずに自分の作業を続けた。
残る対象はあと20人ほどになった時だろうか。
アヤノが額の汗を拭うのが目に入った。
と、同時に。
遠くで日光を反射してキラリと光る「何か」を、キョウスケは目撃した。
それは恐ろしい速度で飛来する。
「危な……っ!」
アヤノに向かって飛んできた「それ」を、キョウスケは手のひらで遮るように防いだ。
だが、次の瞬間。
キョウスケの姿はその場から消え失せ、あとに残されていたのは一個の「あんパン」だけだった。
「!!」




