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魔導書を拾う  作者: kjms
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23. 後にあったこと

私はまた夢を見ている。

普段なら目を覚ましてから「ああ、今のは夢だったのか」と気づくけれど、今回は違った。


以前見た研究員が再び目の前に現れたから、夢だと分からないはずがなかった。

あの時は大したことないと思って流していたことが、私にとっては印象深かったのだろうか。

その男を見た瞬間、自分が夢を見ているという事実にすぐに気づいた。


しかし、雰囲気がおかしかった。

以前は希望に満ちた雰囲気が多少あったとすれば、今は人々の顔に影が差していた。

人数も少し減ったような気もするし……


瞬時に画面が変わった。


二人の男女が寄り添っている。

キスでもするのかと「お、こいつはやることをやってるな、ちょっと見てみるか?」と近づいてみたら、いざ近くで見ると机の上の物を巡って議論していた。


しかも、以前夢で見た物。

防衛隊では魔導書と呼ばれているものだった。


「効果はありますが、覚醒者の能力の一部を抽出したものですから、オリジナルに比べて出力が落ちます。」

「劣化しているということですか?」


二人とも深刻な顔をして話を続けていた。


「劣化というよりは…大事に育てていたゲームキャラクターが死んでレベルが下がった状態だと思ってください。」

「ゲームキャラクターか…それならオリジナル能力と同じくらい成長することも可能かもしれません。」

「計画通りに進めば、おっしゃるように不可能ではありません。これまで登録された能力の持ち主も、最初は取るに足らないものが多かったので。もちろん、完全な能力ではないので各自のスタート地点は異なりますが。我々は未来のための種を蒔くだけです。」


断片化された内容を映画のように一つの場面だけ見る夢なので、何を言っているのか理解できない部分が多かった。

覚醒者に関する内容だということ以外に、人によって覚醒能力の出発点が違うという事実くらいしか理解できなかった。


マサヒロ隊長の言葉通りなら、他の人も私と同じ経験をしているのだろう。


そうして二人の隣で話を聞いていると。

画面が次第にぼやけていき、目を閉じて開けると家だった。


窓を見るとまだ日が昇っていない。

また寝ようかと思ったが、スマートフォンを見るとあと一時間ほどで朝食の時間だった。

どうせ夢のせいで眠れる気分でもなかったので、頭を空っぽにするつもりで瞑想することにした。


どこかに良いと聞いてやっているのだが、思ったより難しい。

まずは床に座り、ベッドに背をもたれて胡坐をかいた。


雑多な考えを一つずつ消し、息を吐き、吸うことに集中した。

不必要なことを忘れようとした瞬間、マサヒロ隊長に関する出来事が頭に浮かび、穏やかだった心に波紋が広がった。


先日彼と会った日のことが思い出された。


雪女を退治したその日。

日本を脅かしていた存在が消えた。

しかし、それと同時に最強の覚醒者を失った日でもあった。


マサヒロ隊長が死んだという意味ではない。

再び活動したとしても、以前のような活躍は期待できないというだけのこと。


最後の決戦での雪女の攻撃に抵抗したが、その余波は両腕にそのまま残り。

回復能力者の助けを借りて腕を回復したとしても、以前と同じような活動を続けるのは難しいと彼の口から聞いた。


そして彼との対面で、私は衝撃的な言葉を聞いたのだが……



「……私は大激変があった直後から今まで日本を守ってきた。その過程で零波を無分別に使うこともあった。しかし、それは私の寿命を削る行為だったんだ。」


この人、今何を言っているんだ。

怪我をして、これまでの辛さが爆発してしまったのだろうか?


「対外的には治療を受ければ問題なく活動できると公表するだろうが、他の人には言えないことを君に話す。」


私の知っているマサヒロ隊長は、こんな話をするような人ではなかった。

針で刺しても血一滴出ないような人が弱い姿を見せるので、どんな話をしようとしているのか、聞くのがためらわれた。


「私が病院を出たら、オーガや雪女の時のように力は見せられないだろう。」

「……なぜですか?」

「今回の戦闘がある前から、私は覚醒者として活動するには限界に近かったんだ。」


これまでの彼の姿と重なって見えて、彼の言葉だとは信じられなかった。


「私が零波を教えた時、体に負担がかかると言ったのを覚えているか?」

「はい。」


当然覚えている。

私が零波を学べば、二つの特性を扱うことになるのと同じだったから。


一人の人間が特性を二つも使う?

ある程度の損害が伴っても、それを受け入れるだけの価値はあった。

欠点一つよりも、学ぶことで得られる利点の方が多かったからだ。


しかし、次に続く言葉は私の予想を超えていた。


「零波を学べるということは、祝福であり呪いでもある。自身の覚醒能力を超えるもう一つの力を手に入れたということだから。しかし、そこには大きな欠点が存在する。」


マサヒロ隊長は人差し指で自分の頭を「トントン」と叩きながら言った。


「ここが壊れるんだ。」

「頭…ですか?」


学ぶ前に体に負担がかかると脅されたけれど、それが頭を意味していたのだろうか。

そうだとしても、防衛隊隊長という立場にある人物なら、他の方法があるはずでは?


「回復能力者の助けを借りればいいのでは?」

「私も脳に異常が生じることを知ってから、回復能力者を招いて試してみたが、それは不可能だという結論に至った。回復能力といえども万能ではないんだ。」


脳機能に異常が生じることで、認知能力が以前よりも低下したり。

限界以上の動きを見せると、脳が自身を保護するためにスイッチを切るように意識が飛んでしまうという。


「私は分かる。私の脳が限界に達していることを。退院しても以前のように活動していたら、現場で意識を失うだろう。私が心配しているのは戦闘中に死ぬことではない。その後のことだ。」


これまで国内外で覚醒者たちの暴動を抑制しているのは、日本に防衛隊があるからでもあるが、マサヒロ隊長自身が第一線で活動していることも一因だと言われていた。


そんなことを言って恥ずかしくないのかと思いつつも。

その言葉を言ったのがマサヒロ隊長だったから。

私も首を縦に振って納得するしかなかった。


「本来なら誰かが私の後を継ぐまで時間を稼ごうと思っていたが、今回、精髄を使ったことで脳に回復不能な負担を与えてしまった。」


精髄。

ごく稀に自然の中でしか生成されないもので、モンスターたちが熱狂する代物だ。

純粋なエネルギーで発見が容易ではないため、日本でもごく少量しか持っていないと教わっていた。


これまで知られている用途はただ一つ。

覚醒者が使用すると、能力の出力が上昇するというもの。


しかし、人間に適したエネルギーではないため、使用時に副作用が発生する可能性があると聞いていたが、彼はそれを「使う」どころか、完全に「食べて」しまったのだから……


当時は直接見たことがなかったので、「なんで飴を食べるんだろう?」と思ったけれど。

今になってみれば、無理をしてでも一気に処理するために精髄を服用したのだった。


話を聞いた私は、一つ聞かずにはいられなかった。


「脳に異常が生じることを、今教えてくださる理由は何ですか?」


彼を責めているわけではない。

もちろん、何らかの異常があることを知りながらきちんと教えてくれなかったのは彼の過ちだが。

この事実を知ってあの時に戻ったとしても、私は彼から零波を学んだだろう。


私が疑問に思うのは、なぜその事実を今になって言うのかということだ。

黙っていれば、私が零波を完全に習得し。

使用するまでは、そんな副作用があるとは知らなかっただろうに。


私が修練を止めたらどうするつもりで、こんな話をしたのだろうか?


「むしろ、今のような時局だからこそ話すんだ。そうでなければ、君が零波を全て習得した後で話していただろう。」


今のような時局か……

レオがスパイだったことと、アヤノさんが姿を消したことを言っているのだろうか。


以前、マサヒロ隊長から任務を受けたことがある。

レオがどこかのスパイではないかと疑わしいので。

私に何か兆候が見られたら、すぐに知らせてほしいというものだった。


正直、最初は冗談だと思った。

その後もレオを観察したが、彼がスパイであるという状況は見られず。

誰よりも率先して戦う人物だったので、私の記憶の中でマサヒロ隊長から受けた任務は曖昧になっていった。


……しかし、雪女討伐が終わった後。

魔導書管理人のアヤノさんが姿を消すと、彼は動いた。


これまで隠してきた本性を現したのだ。


「私は日本政府の所属でもある。一箇所に権力が過度に集中すれば、誰かの誤った選択で国が混乱に陥る可能性がある。私はそのようなことが起こらないように、監視役を担っていたんだ。日本を思う気持ちは同じだから、悪く受け取らないでほしい。そして正直に言うと、君を教えている間は本当に楽しかった。もし君がよければ、私と一緒に来るのも悪くないだろう。」


こんな様々なことがあった。

しかも、先日あったモンスターウェーブの余波で、人手まで減ったという。


マサヒロ隊長が頭を撫でながら話を続けた。


「……これまでユーマ、君を見てきて、君がどういう人間か分かった。私の基準では、信頼に値する人物だ。どこかで誇りに思っていい。私は見た目と違って、基準が厳しい人間だからな。」


いえ、厳しそうに見えますよ。


「私は君が真実を知っても、それを受け入れる準備ができていると見た。私は求心点となる人物が必要だと考えていたし、ちょうど零波を習得できる条件の人物が現れた、それがユーマ君だった。」

「僕が隊長さんの最後の希望とか、そういうことですか?」


私の言葉を聞いたマサヒロ隊長がフッと笑って言った。


「まさか。君が途中で挫折したとしても、防衛隊には優れた人材が大勢いる。君はその中の一人に過ぎない。しかし、私は君がうまくいくことを願っている。そういう意味で一つ忠告をしよう。君の能力の本質と向き合うのが良いだろう。」

「……?」


本質と向き合えと?どういうことだ?

私が理解できていないという馬鹿な顔をしていると、彼はさらに直接的に言ってきた。


「覚醒者の能力は、正しい方向へ進む時に成長が著しい。潜在力が高くても、間違った方向へ枝を伸ばせばすぐに枯れてしまう。レオから報告を受けた時、覚醒能力は念力だと言っていたが、そうなのか?」

「以前、対練した時にそう言われました。僕の能力は念力だと。実際に無形の気も使えます。」

「だが、ユーマ君は形態変化も可能だろう?」

「!!」


ぐいっと入ってくるマサヒロの言葉に、私は驚いた。

レン以外誰も知らないはずなのに…確信に満ちた様子を見ると、言い訳しても通じそうになかった。


私は震える心で口を開いた。


「どうしてそれを知っているんですか?」


自ら認めた。彼の言葉が正しいと。

できるだけその事実を隠し続けるつもりだったのに…いざもう終わりだという気がすると、なぜか気が楽になった。


「君に初めて会った時に見た。」


彼が言うには、私がレンの家族と旅行に行った日に見たという。

モンスターに襲撃された時、私が能力を使っている場面を目撃したらしい。

彼が来るまで、私が念力を使って少女を保護していたと。


私はユイが途中に乗っていたから即死しなかったのだと思っていたのだが…そうではないようだった。


「では形態変化と念力はどういうことですか?覚醒能力が二つあるということですか?」

「そう見えるだろうが、一つの形態だということだろう。ユーマ君がすべきことは、その共通点を見つけて能力を発展させることだ。そうすれば、今とは比べ物にならないほど強くなるだろう。」


その後、私たちの間で多くの言葉が交わされた。



「……最近覚醒者の犯罪が増加しているため、市民の皆様は特に安全にご留意ください。続いてのニュースです。統一韓国が東京時間昨夜10時21分頃、月へ向かう有人宇宙船を成功裏に打ち上げました。これに関する詳しい話を聞くため、専門家をお招きしました。渡辺裕太さんです。」

「渡辺裕太です。どうやら過去の北朝鮮の技術を基に作られたものと思われますが。日本も過去に月探査を単独で行った経験があるだけに、韓国の技術的達成については確かに称賛すべき点があると思います。

ただ、月着陸競争はすでに数十年前に終わっています。他の国々も技術がないから行かないのではありません。行けるけれども今はあえてする必要がないから行かないのであって……」


ピーッ


「ご飯を食べる時はご飯だけ食べなさい。」


テレビを見ながらあまりに食べるのが遅いとケイコに一言言われた。

出勤準備をしようとしていたので、私はもう会社に行かなくていいんじゃないかと言った。


「そのお金はあなた稼いだんでしょ。将来のために貯めておきなさい。」

「僕、お金稼ぐの得意だし。」

「今お金を稼げているからといって無駄遣いしようとしないで、貯めておきなさい。人の人生、どうなるか分からないんだから。」


どうせ使い道もない。

防衛隊から支給される給料の通帳を見せながら。

これまで私を育てて大変だっただろうから、ゆっくり休んでと言っても、私の言葉を聞く耳を持たなかった。


ケイコおばさんには、私が覚醒した事実を知らせた。

彼女に話した理由は……前回のことを経験して怖くなったからだ。

もし戦闘中に死んでしまったりしたら、ケイコにまで連絡が届くだろう。

何も知らない状態でその知らせを聞いたら、衝撃がもっと大きいだろうと思ったからだ。


もちろん、死ぬつもりはない。

だが、そんなことを経験すると、いろいろなことを考えてしまうものだ。

そうして事実を知らせると、最初は戸惑って慌てていたが、今では何事もなかったかのように以前と同じように私に接してくれた。


彼女らしいと思った。


「いってらっしゃい。」


ケイコがドアを閉めて出て行くと、家の中はすぐに静かになった。

私も簡単に朝食を済ませてから、防衛隊に行くために家を出た。

防衛隊に到着すると、紹介したい人がいると言って私を会議室に呼び出した。


会議室のドアを開けて入ると、すでに数名の隊員が席に座っていた。


「こちらはユーマ。皆さんの新しいチームメイトです。」


瞬間、部屋中の視線が一斉に私に向けられた。

私も新しいチームメイトに会うということをすでに聞いて知っていたので、彼らに「はじめまして」と挨拶した。

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