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魔導書を拾う  作者: kjms
22/54

22. 意外な人たち

クワァァン!


イ・ミンホの槍が氷の壁を砕き、雪女に直撃した。

雪女に大きなダメージを与えたのはもちろんのこと、翼が引き裂かれたモンスターは回復不可能な傷を負い、地面に叩きつけられた。


「よし!」


イ・ミンホは自身の攻撃が成功したことに喜び、拳を握りしめた。


「俺はやるべきことはやったから、後は勝手にしろ。行くぞ」


手を振りながらその場を去ろうとする彼に、僕は後ろ姿を見ながら尋ねた。


「どこへ行くのでしょうか?」

「武器を回収しに行くんだろう」


武器?そうだ、あの槍は回収しなければならないだろう。

正直なところ、彼に何か期待したわけでもなかった。

他国の人だから日本のことにどれだけ関わってくれるかと思っていたが、実際に協力してみると、これほど助けになった人もいなかった。

これだけでも十分なのに、これ以上望むのは厚かましいことだろう。


「それより、あそこを見ろ」


僕はレオ班長が指差す方向に視線を向けた。

そこには傷を負った獣たちが互いに牙を剥き出しにしていた。


雪女が傷ついたモンスターに近づくと、回復する暇も与えずに氷の塊に変えてしまった。

やがて足で胴体を踏みつけると、氷は千の破片となって飛び散った。


ゴクリ。


残ったのは地上のモンスターだけだったが、そいつは雪女を極度に警戒する様子を見せた。


僕でもそうしただろう。

少し前まで一緒に戦っていた仲間が殺されたのだから、次は自分の番だと感じたのだろう。

そいつは運が良かったのか直撃は避けたが、大きな傷を負ったのは同じだった。


雪女が残りのそいつに視線を向けた。

すると相手はもう駄目だと判断したのか、後ろも見ずにその場を去った。

雪女も無理に追いかけようとはせず、逃げ去るそいつから視線を外し、僕たちがいる場所を眺めた。


その様子を見たレオ班長が言った。


「マコトさんたちと、今逃げたモンスターを追ってください。ここは私たちが引き受けます」

「大丈夫ですか?相手は雪女ですよ」


マコトさんが心配そうな顔で聞き返した。


「逃げたやつをあのままにしておけば、日本に二体目の規格外モンスターが生まれるかもしれません。ですから、傷を負っているうちに捕らえるのが良いでしょう」

「確かにそうですが……」

「雪女も力が弱まっていますから、以前のような強い攻撃は使えないでしょう。お願いします」


マコトさんがしばらくためらう様子を見せたが、


「ハァ…分かりました」


レオ班長の頼みで、一緒についてきた二人の隊員と共に、モンスターが逃走した方向へ素早く追いかけていった。


「やれるか?」

「いや。弱体化したとはいえ、格の違うやつだから勝つことはできないだろう」


ジョンの問いに、レオ班長は事実をそのまま答えた。


「他の場所へ行かせないように食い止める。予期せぬことが起こったが、そのおかげで時間を稼げた。もう少しすれば他の隊員がすぐに到着する」

「うーん……あまり信じすぎじゃないか?来なければ死ぬぞ」

「私たちは防衛隊員だ。仲間を信じるだけだ」


その言葉を聞いたジョンは、爽やかに笑って僕の肩を叩いた。


「ハハ、いいな。行動が東洋人らしくなくて気に入った。本当はジャブだけ出して見物するつもりだったが、こんな男を見て身を潜めていたら、俺がアメリカ人じゃなくてイギリス野郎だ。やってやろうじゃないか!」


そう言いながら、胸ポケットのケースを開け、飴を一つ口に入れたではないか。


「フワァ、辛い。辛い!」


舌の先がヒリヒリするのか、口を開けて手で風を送っている。


唇が腫れているようにも見える。

戦う前に何かを食べるタイプなのか?いや、彼の能力を知らないから、まだ早とちりするのは早かった。


鼻の先からピリッとした匂いがする。

眉をひそめるのを見ると、辛いものを食べたようだ。

辛さに弱い西洋人らしく、顔に汗をかいた状態で言った。


「行くぞ!」


先に走り出すジョン・ブラウン。


「ユウマ。ここにいて、後続隊が来たら状況を伝えろ」


僕に一つの任務を任せたレオ班長が、その後に続いた。


パン!


それから間もなく、ジョンがいる場所で爆発が起こった。


「……?」


何だ?レオ班長は硬質化で体が鋼鉄のように変わる能力だし、雪女はこれまで見たところ氷に特化した能力だった。

音が鳴るような状況ではないはずなのに……僕の疑問は、すぐに立て続けに起こる音にかき消された。


パン。

パン。


ジョンの体から爆発が起こった部分の服が破れ去った。

爆発の中でも傷一つない彼の姿を見て、それがジョンの能力だと悟った。


爆発と同時に起こる彼の動作は驚くほどしなやかで、ジョンは予期せぬ方法で雪女の攻撃を避けながら接近した。


ここまで来る中で見せていた自信が単なる蛮勇ではなく、自分の能力を確実に制御できるという事実から来ているのだと分かった。


雪女の鼻先まで接近したジョン、彼が拳を繰り出すと、凄まじい音を伴い、ビルが崩れてもおかしくないほどの爆発が起こった。


雪女の姿からは少なからずダメージを受けているように見えた。


キャァァー


人間に攻撃を許したのが悔しかったのか、雪女が悲鳴を上げると、ジョンの周囲が凍りつき始めた。


雪女を攻撃しようと近づいていたジョンはその攻撃を避けきれず体が凍りついたが、すぐに氷のある該当部位に局所的な爆発を起こしながら体に張り付いた氷を振り払った。


感嘆するほどの能力活用だ。

さすが銃と爆弾が好きなアメリカ人らしいと言うべきか。


そうしてレオ班長とジョンは互いを補完し合いながら雪女を攻撃した。

レオ班長の体が凍りつく気配を見せるとジョンが近づいて凍った部分を壊し、比較的防御が弱いジョンの代わりに大きな攻撃はレオ班長が先陣を切って引き受けた。


どれくらい時間が経っただろうか。

最初よりも体力が落ち、集中力が低下してミスが増えてきた頃、僕が待っていた人が近づいてきた。


マサヒロ隊長だった。


「状況は?」


僕は急いでこれまでの状況を彼に伝えた。


「ところで、お一人でいらしたんですか?」

「来る途中でモンスターウェーブが発生して、私一人だけ別に来た。残りもそれを処理すればすぐに到着するだろう。だが、それまで待っていられる状況ではないようだな……」


確かにマサヒロ隊長の言う通り、もう見守っている僕ですら手に汗をかくほどだ。

最初よりも危うい状況が時折起こっていた。


「ご苦労だった。今度は近接戦で行くしかないだろう……残りは私に任せろ」


そう言いながらポケットの中を探り、飴玉ほどの大きさの玉を取り出した。


ジョン・ブラウンもそうだったが……こうなると、高位覚醒者が戦闘前に行う暗黙のルールではないかという、呆れた考えが浮かんだ。


マサヒロ隊長らしくもなく、少し躊躇する様子を見せた後、その玉を口に入れてごくりと飲み込んだ。


すると、少し前とは全く違う気迫を見せた。

もし見守っていなければ、前と後で全く別人だと思っただろう。


「ゴクリ」


間近で見守っていると、緊張感に自然と唾を飲み込んだ。


スランー


剣を抜いたマサヒロ隊長が前へ走り出した。


「道を開けろ!」


彼の叫びに、レオとジョンがちらりと振り返った。

言葉を交わさずとも、一瞬の視線交換で互いの意図が伝わったのか、全力を尽くして奮闘する様子が見えた。


雪女に近づくマサヒロ隊長の剣から、零波が姿を現した。

以前見たものとは異なり、剣から感じられる気運は、まるで……制御不能な自然の力が込められているかのようだった。


彼が通り過ぎた地面が引っ掻かれたように傷を露わにする様子から、どれほど強く乱暴な気運が剣に宿っているかが如実に見て取れた。


レオ班長とジョンの援護を受け、雪女に接近したマサヒロ隊長が剣を深く突き刺した。


クワァァー


これまで見た中で最も苦しむ雪女。オーガであればあっという間に死んだであろう攻撃を、しぶとく耐え抜いた。


そのためか、死にゆく中でも人間に対する敵意を燃やし、最後のあがきを始めた。


雪女の行動を見たレオ班長が慌てて叫んだ。


「剣を離して避けるべきです!」


雪女は体奥深くに剣が突き刺さっていることを意に介さないのか、自ら剣をさらに深く押し込みながら、マサヒロ隊長を捕らえるために距離を詰めた。


雪女が何をしようとしているのか察した僕も、釣られて叫んだ。


「あいつに触れたら、瞬時に氷の塊になりますよ!!」


タック。


しかし、僕たちの切なる思いが届かなかったのか、マサヒロ隊長は雪女に捕らえられてしまった。


「!!」


こんなことを考えてはいけないが、すぐにマサヒロ隊長が氷の彫像に変わる姿が頭に描かれた。

しかし、考えとは違い、マサヒロ隊長は体に零波を纏い、雪女の攻撃に抵抗した。


戸惑う様子のモンスター。

それが雪女が最後に見た世界だった。


マサヒロ隊長は突き刺さっていた剣を深く押し下げ、その反動を利用して剣を上へ引き上げた。

それに伴い、氷が砕けるような音と共に、雪女の体は正確に二つに割れた。

光の残骸のように散らばった氷の破片が空に舞い散る。


その光景に、僕は長かった一日が終わったのだと感じた。


「うわぁぁーっ!!」


レオ班長が両手を高く上げ、喜びの奇声を上げた。

彼はマサヒロ隊長に向かってぴょんぴょんと跳ねながら、喜びを全身で表現していた。


僕もその場を離れて合流しようとした、その時――。


風の中に混じった見慣れない気配を感じた。

本能的に首を回した。


片隅をじっと見つめるが……錯覚だろうか?

防衛隊員であればとっくに姿を現しているはずだ。


僕は軽く頭を振って、今日の主役たちがいる場所へ足を進めた。

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