21. 時には思い通りにならない
私たちは車道から外れて、争う音がする場所へ移動した。
道中見える都市は、建物と道路の区別さえ無意味なほど完全に破壊されていた。
人間覚醒者だったなら、塵も残さず消滅しただろう。
いや、A級程度のモンスターでさえ、圧倒的な火力の前には膝を屈したはずだ。
ここは、私たちがどんな怪物を相手にしているのかを改めて思い起こさせるだけだ。
そもそも規格外モンスターと名付けられたのは、人間の認知を超えているからつけられた等級なのに。
単一の個体の力が地形を変え、天候を変化させるのに、それを生物の範疇に入れられるだろうか?
近づくにつれて、争う音が大きくなった。
「もうすぐだ。万一の事態に備えろ。」
レオ班長が言った通り、骨組みだけになった建物を回り込むと、画面でしか見たことのなかった雪女が見えた。
しかし、一人ではない?
防衛隊員と雪女が戦っていると思っていたのに……他の人はどこへ行ったのか、モンスターだけがいた。
一体でも手一杯な今、二体も増えた!
いや、待て……仲が悪いのか。
初めて見る二体のモンスターが雪女を敵視していた。
一瞬、僕の目が間違っているのかと思って目をこすって見直した。
しかし、空を飛ぶ奴と、下にいる正体不明のモンスターが雪女を攻撃しているのは変わらなかった。
「どういうことですか?」
「…さあ?」
「金を踏み倒して逃げようとしたのがバレたんだろ。」
「俺もこんなケースは初めてだ。」
途中に変な言葉があったような気もしたが、聞かなかったことにした。
僕より経験豊富な彼らも初めてのことだと言うのだから、今起こっていることは一般的な状況ではないだろう。
激しい戦いにこれ以上近づいたら、巻き込まれるかもしれないので、私たちは遠く離れた場所から見守ることにした。
「おいジョン、誰が勝つと思う?」
「うーん、奴らは今互角に戦っているように見えるが、やはり数の劣勢は無視できない。それだけ見れば雪女が負けそうだが……かといって、基本的な体格差を考えればまた分からないな。」
「誰が勝っても確率は半分ってことか。じゃあ、賭けでもする?」
おい、僕たちは今遊びに来たんじゃないんだぞ。
「賭け?」
「俺は雪女が勝つ方に1億円賭ける。」
「いいだろう。俺は反対側に1億円賭ける。」
いくら同盟国だとはいえ、僕たちは命をかけて戦おうとしているのに、平然とそんなことを言うのを聞くと、腹の底から怒りがこみ上げてきた。
自分たちの国で起こっていることじゃないから、冗談を言い合う余裕があるってことか?あいつらを……
その時。
カサッ。
「誰だ?」
残骸を踏みつける音に、私たちはすぐに警戒態勢に入った。
しばらくして音がした場所から、覚醒者らしき人々が敵意がないとでも言うように、手を上げて姿を現した。
先頭の人物が代表して言った。
「東北地域防衛隊から支援に来ました。マコトです。」
「レオです。しかし……」
レオ班長が周囲を一度見回し、慎重に口を開いた。
「人員は皆さんだけですか?」
東北地方と言えば雪女に最も近い防衛隊が位置する地域、しかしそれにしては見える人員が少なかった。
マコト氏を含めて三人だなんて……福島から来た私たちよりも少ない人数ではないか。
「モンスターウェーブが各地で発生し、人員が分散しました。」
「ああ……」
その一言で少ない人員しか到着しなかったことが説明された。
「私たちもモンスターウェーブを経験しました。」
モンスターウェーブが全国で発生したようだ。
福島から出発した私たちが最初に到着したということは。
今後支援が来ても、ずっと後になるかもしれないということだろう。
不吉だが、なぜかそんな予感がした。
「雪女を除く二体のモンスターは初めて見る種類です。」
戦場の状況に目を向けたマコトが呻き声を漏らした。
「どこかに隠れていたんじゃないか。」
この人、本当に……さっきから言うことが気に入らない。
「これまで姿を現さなかった連中です。」
「ああ……俺はこの状況が分かったぞ。これあれだろ。空に二つの太陽はあり得ない。だから雪女という名の王が弱った隙を狙ったんだ。もっともらしいだろ?」
イ・ミンホの言葉よりもジョンの言葉が当たっている気がする。
そうでなければ、二体のモンスターが力を合わせることもなかっただろうし。
これまでそうだったように姿を現すこともなかっただろうから。
なぜ今なのかを考えてみると。
これまで雪女が怖くて様子を伺っていたが、ミサイル爆撃を受けて力が弱まった今、正気を失っているようだから、食い荒らすのに良い獲物に見えたのだ。
戦いの状況を見れば、実際にそのように見える。
しかし、レオ班長の反応から見て、本当にあの連中がいることを知らなかったようだ。
日本全域に影響力を行使する防衛隊が、その存在の有無さえ知らなかったということは、あの二体のモンスターも雪女に劣らず危険だということではないか。
「どうせ俺たちにとっては、三体で戦って自滅するのが一番良い選択肢ってことだろ。」
彼の言葉に、全員が小さく頷いた。
怪獣たちの戦いに割り込むのは無謀な行動だったからだ。
私たちはモンスター同士が自滅するのを待つことにし、適切な場所を見つけて身を隠し、成り行きを見守ることにした。
そう決意してどれくらいの時間が経っただろうか。
「状況はそう簡単にはいかないようだな。」
戦場を見ていたイ・ミンホがそう言うと同時に、槍で地面を突きながら立ち上がった。
「二体の動きが消極的になり始めている。」
僕には大して変わらないように見えるのだが。
他の者たちも彼の言葉に同意しているのを見ると。
僕にはまだまだ学ぶことが多いということだろう。
私たちの中で唯一立っているイ・ミンホが、私たちを見下ろして言った。
「冷めた愛に再び火をつけてくれる奴、いるか?いないか?俺がやる。」
イ・ミンホが彼の専用武器である連環槍を手に取った。
以前見た姿を再び見ることができるのだろうか?
彼が気に入らないこととは別に、なぜか胸がドキドキした。
僕もすっかり戦う男になったものだ。
ついこの前までは、家と学校を行き来するだけの普通の高校生だったのに。
「うん?」
しかし今回は、以前とは違う攻撃が続いた。
イ・ミンホの周囲に槍が浮かび上がらず。
彼が持っている連環槍が微かに震え始め。
しばらくすると、目に見えてはっきりと分かるほどの震えが、槍を握る手から伝わってきた。
チチチ―
加えて、槍を握る手からは火花が散っていた!
雷が槍を包み込むように流れ込んでいたのだが、それが槍の能力なのか、あるいは元々の彼の能力なのかは分からなかった。
「ゴクリ。」
感じる。
そこに込められた力がどれほど絶大なのかを。
以前は多数の敵を相手に力を分散させたもので。
今回は単一の個体を狙う攻撃だから。
今こそ本来の戦力に近いだろう。
パーン!
ピンと張った弓の弦を放つように、イ・ミンホは槍を投げた。
彼の手を離れた瞬間、槍は雷となって的へと飛んでいく。
空気を切り裂き、ソニックブームを巻き起こした槍は、爆音と共に目標へと突進した。
モンスターたちは異変に気づいたが、攻撃を避けるには遅すぎた。
雪女は避けるのを諦めたのか、残りの二体のモンスターが逃げられないように妨害した。
見守っていた誰かが叫んだ。
「やった!」
その瞬間、雪女はミサイルを止めた時と似たような攻撃を繰り出した。
違いは、今回はその時よりも威力が強く広範囲で。
その結果、白い霜が爆発するように広がり、周囲の空気までも凍りつかせた。
ガリガリ…!
氷壁にぶつかった槍が火花を散らして止まった。
槍の穂先からは鉄板を削るような金属音と共に赤い火花が舞い散る。
その火花は、目標を貫くまで勢いを失わないという意思のように燃え上がった。
ズズズッ――!
「!!」
そうして雪女が繰り出した氷壁に亀裂が入り。
ついにイ・ミンホが投げた槍が鉄壁のような壁を突き破り、目標へと向かっていった。




