15. W.D.C 世界防衛評議会
エレナを送り出し、地獄のような修練の日々を送っていた最中。
マサヒロ隊長が私を呼んでいるという知らせに、慌てて駆けつけると。
以前教えかけていた零波を教えるために呼んだのだという。
「ここでですか?」
彼のオフィスは狭くはないが。
何かを教えるには適した場所ではないのだが……
「ハハ、何を考えているか分かるが心配するな。波動を見たなら次の段階は感じるものだと言っただろう。広い空間は必要ない。一度手を伸ばしてみろ。」
テーブルの上に両手を差し出した。
すると私の手をがっしりと掴んで言った。
「波動を流したんだが、その流れを感じることに集中しろ。」
握られた手を伝って微かな温もりが広がる。
やがて波動が穏やかな波のように起こり。
すぐに手から腕へと波打つように押し寄せてくるではないか。
赤い糸がうねるのを見ると、血脈が脈打っているかのような錯覚さえ覚えた。
「私がいつまでも手を握っているわけにはいかないから、波動を感じて体に刻み込め。」
私もおじさんが手をつないでいるのは嫌だ。
全力を尽くして波動を感じようと集中した。
お茶を一杯飲むほどの時間が経っただろうか。
後でどうなるかは分からないが、波動が鮮明に感じられるようになったと言うと、彼は喜び、今度は少しチクっとするかもしれないから驚かないようにと言った。
チクっとする?
痛いと言ってもどれほど痛いものかと一瞬思ったが。
かなりのチクチクとした感覚が伝わってきた。
これまでは赤い波動だけだったとすれば。
今度は紫色の波動が手を伝って上がってきた。
「うぅ……」
思わず漏れる呻き声。
隊長はこんなものをまとって戦っていたのか。
少し前まではまろやかな味だったとすれば…今はかなりスパイシーな味だった。
「覚醒者の能力は、大小を問わず、何の対価もなしに与えられるわけではない。見えないものより、むしろ目に見える欠点がある方が、使用者に反動が少なく来るものだ。波動も同じだ。これくらいの少量しか発散せず、体内に留めるなら大きな反動は来ない。感じて分かっただろうが、赤い波動だけでは出力が出ないから、紫色の力を適切に混ぜなければならない。理想的な割合は5:5だが、そこまで精密な調整は難しいから、それは私もできない領域だ。だから、お前がまずすべきことは、今回のように私が助けなくても、波動を感じてそれを現実で具現化しようと練習することだ。」
彼の言葉通り、訓練場のような広い場所は必要なかった。
見て感じることが霊波を学ぶのに必要な全て。
マサヒロ隊長によると、一度学んでから自分でできないようでは。
見る才能があるだけで、いくら努力しても実戦で使えないだろうから。
これ以上本人が教えることはないと言い、覚醒能力を磨くよう助言した。
一つの波動だけでも成功させる期間は一ヶ月だと言われ、目を開けている限り波動を感じようとしないことはなかった。
ヨガや密室での無心になる瞑想まで試みたが、そうすればするほど頭の中は複雑になり、焦るばかりだった。
そうしているうちに、ついに最後という気持ちで滝に身を任せたところ、幸いにも私に才能がないわけではなかったのか、一ヶ月よりも早い時間内に指先から赤い波動を放つことができた。
ただ、紫色の波動はできそうでできない、私の胸をくすぐるようだった。修行の日々を送る中、レオ助長からW.D.Cに行こうという話を聞いた。
「私もですか?」
「ああ。お前も連れて行けと言われたぞ。」
どうやら以前オーガ討伐に同行すると言った際の私の言葉のせいで、レオとくっついていろと一緒に行かせるようだ。
今回はあまり行きたくないが、まだ霊波を完全に習得できていない。
しかし、どうにでもなることだろうか、末っ子は言われた通りにするしかない。
半分の修練成果にそれなりに満足した私は、レオ助長とともに世界防衛評議会が開催される場所へと移動した。
「東京でやるんじゃないんですか?」
「そうだったんだが、今年は違う。」
どういう意味かと尋ねると。
以前にテロ予告があったのだという。
「覚醒者たちがいる場所でテロをですか?」
「ああ。」
私の常識では理解できないのだが?
アラーを探す場所でもないし、そこでテロが可能だというのか?
「本来ならそのまま開催してもよかったんだが、どうせ東京で開催することだから、民間人が巻き込まれる可能性もあって中止になったんだ。今回、日程が再び決まって行くことになったんだ。」
評議会が開催される場所で爆発物と地下トンネルが発見されたという。
言葉だけではなく、本当にテロを起こそうとしていたようだ。
だから以前の評議会が中止になり、そこへ行ったレオ助長が途中で帰還したのだと。
私はレオ助長とともに東京を離れ、今回の目的地である福島市へと向かった。




