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魔導書を拾う  作者: kjms
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13. 温泉であったこと

桜島火山のオーガとの戦いが終わった後、私たちは疲労を癒すために旅館に来ることになった。

なぜそこに?と思って尋ねると、防衛隊が運営する旅館があるのに、九州まで来て手ぶらで帰るつもりかと返された。


耳寄りな提案だ。

無料で泊まれるというのか。

それなら行かなければ損ではないか。


そうして今泊まっているのが、生まれて初めて訪れた高級旅館だった。


「レオ、休暇は今日から差し引かれるぞ。」

「え?ユウマや他の人たちはどうなんですか?」


つまらないことで私まで巻き込もうとするレオ助長の言葉に、ぶっきらぼうに言った。


「なんで私を巻き込むんですか。」


もちろん、私が他の人に比べて何もしていないことは認める。

それでもマサヒロ隊長を補佐し、心の中で防衛隊員を応援した私の気持ちが加わって、少しでも勝利に貢献したのではないだろうか…?


「みんなオーガの処理で苦労したんだから、次に向けて活力を回復する必要があるんじゃないか?まさかすぐに投入しろとは言わないだろう?」

「うーん…私は飛行機から飛び降りたんですが、それならもっと休暇をもらうべきではないですか?」

「俺はもっとやろうと思ったんだが、お前が一週間でいいって言ったんだろう?」

「…じゃあ、追加で一週間だけください。」

「もう決済したから、撤回するのは難しいな。ダメだ。」

「あー、もう。」


温泉にも入った。

しかし、温泉がこんなに熱いとは。

最初は何も知らずに足を入れたら、皮膚が焼けるかと思った。

他の人たちはちょうどいい温度だと言って喜んでいたが、感覚がおかしくなっているのではないか?


温泉から上がって食事をしようとしたが、部屋に料理を運んでもらうルームサービスと、レストランで好きなものを自由に選んで食べるビュッフェ式のどちらかを選べた。


私は当然、ビュッフェ式を選んだ。


夕食をたらふく食べて部屋に入り、のんびり横になっていると、熱くて入れなかった温泉を思い出した。


ここまで来て、ただ帰るわけにはいかない。

私は酒をたらふく飲んで倒れているレオ助長を部屋に放置し、温泉へ向かった。


湯気が立ち上る温泉に。

私は心の準備をしてつま先を浸した。


「あー、熱いっ…」


熱い。

大人はこんなものが好きなのだろうか?

それでも今回は足を引っ込めずに、じっと我慢してみた。

お茶を一杯飲むほどの時間が経つと、それなりに湯の温度に慣れた。


慣れたというよりは、自己拷問のようだが、まあいいだろう。

つま先から膝を通り、太ももまでゆっくりと温泉に体を浸した。


ものすごく熱い。

このままだと私の黄金の玉が煮えてしまうかもしれない。


石に頭を凭れかけた私は、空を見上げた。

街から遠く空気が澄んでいるせいか、夜空の星がよく見える。


あの黄色くほのかに明るい星が北極星だったか。

何も考えずにこうして温泉に浸かっていると。

人々がなぜ温泉を好むのか、わかるような気もする。


このままだと中毒になるかも……


チャポン。


誰かが温泉に入ってくる音が聞こえた。

こんな時間に私以外に誰か来る人がいるのか?


顔を上げて見ると。


「隊長、こんな時間にどうなさって…?」


私は急いで席を立った。


「私もこの時間に人がいるとは思わなかったな。立っていないで座れ。」


マサヒロ隊長が私の隣に来て座った。


なんだか気まずい。

個人的に会うのは何度か経験したが、こうして温泉に二人きりだと、以前のように楽しめそうになかった。

そろそろ出て牛乳でも飲もうかと考えていると、彼が話しかけてきた。


「今まで成果はあったようか?」


主語のない言葉だったが、何を言っているのかは分かった。

きっとレオ助長のことだろう。


「まだ特異な行動は発見していません。」

「そうだろうな。スパイなら諜報に自信のある者を送ってくるだろうし、そうでなければ何も出てこないだろうからな。悪く聞こえるかもしれないが、防衛隊に入って間もない君には大きな期待はしていないから、そのことで心の負担を感じているなら、下ろしてもいい。防衛隊員が何人か抜けたからといって、軋むようなお粗末な組織ではない。」

「…はい。私も仕事で負担を感じるタイプではありません。」

「なら、よかった。」


口では「必要ない」と言われたが。

その中に込められた温かい心が感じられた。


私もレオ助長と一緒にいると、時々隊長の任務を思い出すが。

実力や経験から見て、たとえ彼がスパイだとしても、見破るのは難しいだろうと思われる。


ただ心の中でそうではないことを願うばかりだ。


事務的な話が終わると。

あくまで私の気分に過ぎないが。

温かい体とは裏腹に、雰囲気が気まずくなったような気がして。

雰囲気を変えようと、マサヒロ隊長が使った能力が何だったのか尋ねることにした。


「以前、オーガを一撃で殺した時の昇天する龍?昇龍と仰っていましたが、あれが隊長の能力ですか?」

「能力と言えば能力だし、そうではないと言えばそうではない。」


能力なのか、違うのか?


「どういうことですか?」

「ハハ、どういうことかというと…覚醒する時に一つずつ能力を得るだろう?」

「そうですね。」


私だけでも覚醒能力で念力を使えるし。

おまけに身体能力も見た目とは裏腹に格段に良くなった。


「私は覚醒能力で霊波という技術を使う知識を得た。だから、どちらでもないと言ったのだ。」


つまり、本源能力ではなく技術?

ものすごく強かったし、もし学べれば戦力は幾何級数的に上がるだろう。


欲が出た。

高揚した声で尋ねた。


「技術なら他の人も学べるんですか?」

「学ぶことはできるさ。」

「じゃあ、私に教えていただけませんか?」

「しかし、誰でも学べるわけではない。」

「やっぱりそういうのは弟子じゃないとダメなんですね……」


私が学べないと言ってしょげていると、彼が豪快に笑って言った。


「ハハ、そうじゃない。私も防衛隊員に教えたいのは山々だが、霊波を学ぶのに適した人が別にいるからな。」


ああ、そういうことだったのか。

確かに、そんな技術に制約がないはずがない。


「残念ですね。色も綺麗だったし、学べたらよかったのに。」


心から残念だった。

もし私にもっと力があれば、レンにそんなことが起こらなかったかもしれないから。


「今何と言った?」

「え?」

「今何と言ったのかと。」


笑いながらの会話はどこへやら、急に変わった雰囲気。

マサヒロ隊長が真剣な顔で問い直した。


「えっと…学びたかった、と?」

「いや、その前だ。」

「よく覚えてないけど…色が綺麗だった…?」


ガシッ。


痛い。

隊長が私の肩を掴んで、どれほどの力を入れているのか、血が通わなくて痺れるほどだった。


「ど、どんな色だ?」


目を剥いて尋ねるが。

言わなければ殺すような目つきだったので。

私は記憶をたどって、彼の周囲にあった色を思い出した。


「赤と紫だったような気がしますが、合ってますかね。」


私の言葉に、マサヒロ隊長の口から呻き声が漏れた。


「正確に言えば、赤い波動がもっと多かったはずだ。」

「そうだったような気もしますね…?」


見ても分からなければ、そんな区別はできない。

しかも、混乱した状況でそんなことまで確認する暇はなかった。


「私もまだ 제대로使いこなせない技術だから、制御がうまくいかないんだ。二つの力のバランスを取らなければならないが、それがなかなか難しいことなんだ。」


完成した技術ではないのに、そんな威力を出すと……

学ぶのに条件が必要だと言われたから、余計に学びたくなった。


しかも、いつもより何か好意的な感じがした。

今なら普段履いているパンツの色も全部教えてくれそうだけど…?

しかし、私が男のパンツの色を尋ねるほど堕落してはいなかったし、別のことを尋ねることにした。


「オーガを殺した時に抜刀術をしながら技の名前を言っていましたが、その…昇天する龍とか?」

「昇竜。」

「ええ、それです。何か意味があるんですか?」

「ハハ、いや。その技を使った後、残った波動の余波が俺の目にはそう見えるからつけた名前だ。技の名前を言いながら発動すると、イメージをつかむのにも役立つし。全部、俺が未熟なせいだな。」


彼の話を聞くと、残った波動の余波が昇天する龍のように見えたような気もする。


「一度学んでみるか?」

「…?」


何を?

しばらく頭の中でバッファリング。

どういう意味か考えているうちにその意味を悟り、驚いて聞き返した。


「霊波のことですか?」

「そうだ。」

「誰でも学べないって言ったじゃないですか。」

「そうだったな。だから今まで俺が技を教えたのは一人だけだった。ユウマ、お前は霊波を学ぶのに必要な第一段階をすでに通過した。」

「……」


私がいつ?何もしていないのに?

私は人差し指で胸を指しながら尋ねた。


「私がですか?」


頷くマサヒロ隊長。


「そうだ。霊波の入門は他の者の波動を見ることから始まる。視界に捉えられなければ、始めることもできない。水がない場所で魚が泳げるか?」

「できませんね。」

「そういうことだ。」


ドクン。

ドクン。


彼の言葉を聞くと、胸が激しく高鳴った。

マサヒロ隊長が抜刀術をしながら放った破壊的な光景が脳裏に蘇ったのだ。


私は紅潮した顔で言った。


「学びます。隊長の技、霊波を。」


彼も私の答えに満足したのか、豪快に笑った。


「ハハ、よろしい。始めが肝心と言うが、一番難しい過程は通過したから、残りはすぐに終わるだろう。だが、その前に一つ教えておくことがある。霊波は人の生命力を蝕む技術だ。使えば使うほど、使用者には負担が蓄積される技術だ。それでも学ぶか?」

「……」


だから最初から前に出なかったのか。

確かに、ハンディキャップがなければ隊長一人で全て解決していただろう。


彼が言った身体への負担がどれほど大きいかは分からないが、力がないせいでやられたり。

力がないせいで仲間を見送ったりするよりは、学んでから後悔する方が良いと思う。


少なくとも、自分にできることは全てやったということだから。


そもそもマサヒロ隊長も私がそんなことを気にしないことを知っているから提案したのだろうし、教える気がなければ最初からハンディキャップのことについて言っただろう。


「だからこそ、もっと学ぶべきだと思います。防衛隊にいて感じたんですが、平凡なだけでは長く生きるのは難しいだろうと。」

「…否定はしないな。」


霊波を学ぶには何をすればいいのか尋ねた。


「目は開いたのだから、次の段階へ進むためには波動を感じなければならない。」


波動?

波動を感じろと?どうやって?

海に身を委ねろとでも言うのか?

そんなことどうするのか尋ねようとした矢先。


「…ん?」


彼が首を回して片隅を見た。


トコトコ。


暗くて顔はよく見えないが。

私たちのいる場所へ近づいてくる人がいた。


「こんな時間にどうした?」

「お伝えすることがございます。」


聞こえてくる聞き慣れた女性の声。

何度か聞いたことがあるので、誰か察しがついた。

すぐに闇の中からマサヒロ隊長の秘書が姿を現した。


「はっ。」


そういえば、ここは男女が別々に入る温泉じゃないか!

私は急いで潜水し、頭だけひょっこり外に出した。


「こ、こんにちは。」

「ご苦労様です。」


軽く頭を下げて挨拶する隊長の秘書。

私がいることなど気にもせず、二人は本題に入った。


「何事だ?」


マサヒロ隊長の言葉に、秘書が私を見た。


「対外秘でなければ構わない。」


彼の許可に秘書が口を開いた。


「ユキオさんが亡くなりました。」


ヒュウ…


瞬間、闇の中でさえずっていた虫の声がピタリと止まった。

熱かった温泉には、ひやりとした空気が染み渡るようだった。

彼が冷たい声で言った。


「…今すぐ東京に戻る。」

「準備いたします。」


パッ。


消えた秘書。


険しい顔の隊長が、温泉に浸かっていた体を起こした。


「私は先に失礼する。今日の話は後日改めて続きをしよう。」


温泉を出ていくマサヒロ隊長。

彼の後ろ姿を見ながら、私はまたどこかの防衛隊員が死んだのだろうなと思った。

故人のために心の中で哀悼の意を表した私は、時間も遅いし、もう温泉を楽しむ気分でもなかったので、簡単に体を洗い、コーヒー牛乳を飲んでから眠りについた。


翌日。

レオ助長と食事をするためにビュッフェへ行った。

テーブルにはキングクラブとタラバガニが山盛りに置かれていた。

私たちは手に付いた水気を拭う間もなく、カニの身をほぐして食べることに熱中した。


「美味しいですね。こんなに食べても大丈夫なんでしょうか。」

「たくさん食べろ。これ全部、国民の税金だぞ。」

「それならもっと大切にすべきではないですか?」

「いや、むしろ逆だ。俺たちがたくさん食べて元気出すのが、税金を払ってくれる人たちのためなんだ。」


なんだか矛盾しているような言葉だが。

聞いているうちに、そうかもしれないとも思えてくる…


指についたカニの身を吸いながら食べていたレオ助長が周囲を見回し、一言言った。


「…ちぇっ、しかし隊長が見えないな?」

「あ、用事があると言って行かれましたよ。」

「そうか?何だって?」

「秘書のお姉さんが誰かが亡くなったと言ったら、顔を顰めて先に東京に行くと言ってました。誰だったかな…ユキオさんって言ってたような。」


ガタッ。


「俺も用事があるから、先に失礼する。よく遊んでこいよ。」


椅子から立ち上がったレオ助長が去っていった。


休憩を終えて東京に戻った私は、ユキオという人物が誰なのかを知った。

日本の防衛隊が設立された当時の初期メンバーであり、マサヒロ隊長の弟子であり、レオ助長の同期だった。

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