11. レオ vs オーガ
超音速飛行機に体を乗せていると、スピーカーからオーガが視界に捉えられたという知らせが流れてきた。
オーガの移動速度を元に経路を予測し。
私たちが地上に降りたところで遭遇できるよう移動するとのことだが。
計画通りにいけばどんなに良いだろうか、世の中はいつも計画通りにはいかないものだ。
予期せぬ状況に人々はひそひそと囁き合った。
「私たちが遅かったのか?」
「オーガが速いんだよ。」
「隊長、どうしますか?」
「このままだと、私たちが地上に降りる頃にはオーガが予想場所を通り過ぎてしまうのでは?」
すべてのスケジュールは、私たちが桜島火山から出てきたオーガより早く動くという前提で立てられたものだ。
このままでは、オーガを都市で相手にしなければならないかもしれない。
そうなれば、戦場となる福岡市の被害規模は想像すらできないだろう。
画面にオーガの姿が現れた。
ものすごい速さで動き、行く手を阻むものは木であろうと車であろうと構わず、容赦なく突き進んでいた。
シンイチロウ隊長は考えを終えたのか、口を開いた。
「レオ、お前が行け。」
「…そうしましょう。ただし、私が死ぬ前に来てくださいね。終わったら休暇も一週間ください。」
頷き。
マサヒロ隊長の許可にレオは歓声を上げて席を立った。
休暇とはそんなに良いものなのだろうか。
「ユウマ、俺は先に行くから、ゆっくり来いよ。」
「え?」
どういう意味だ?
ここは飛行機の内部。
私たちがいるのは空の上だ。
高速道路のような場所ではない。
パラシュートのようなもので降りていくということだろうか?
しかし、レオ助長の姿にはパラシュートを装着する気配すら見えなかった。
立ち上がったままドアの前に立つ。
そして私はすぐにレオ助長が言った言葉の意味を理解した。
ガタン。
フワーッ!
ドアが開いた瞬間。
爆発するように押し寄せた風が機内をかき乱した。
目を開けられないほど風が吹き荒れる。
その中で、機内のドアを開けた当の本人は、聞き取れない言葉を残して姿を消した。
「アディオスー」
◇
レオはドアを開けて飛び降りようとした瞬間。
どこかで聞いたことのある外国式の挨拶を思い出した。
「アディオスー」
こうするんだったか?
そして飛行機の外へジャンプ。
「イエーイ!」
刃のような風が全身を包み込み、地上で絡まっていた足枷を断ち切った。
胸がすくような解放感を満喫していると、雲間を落下する視界の下、人間が作った建造物と自然の光景がまるで一枚の絵のように広がった。
本当に美しい光景だった。
飛行機から飛び降りるのは初めてだが、たまにはこうして気分転換をするのも良いと思えるほど爽快な気分を後にし、レオは自分の任務を思い出し、今回の作戦目標であるオーガを探すために目を転がした。
しかし、あまりにも高い高度と、目がくらむほど強い風圧が邪魔をした。
レオは、砂漠で針を探す方がこれより簡単だと確信した。
遠くて識別が難しいなら、近づけばいい。
低い高度に降りるために頭を下に向け。
矢が射られたように、大地に向かって真っ逆さまに突っ込んだ。
以前より加速した落下速度にもかかわらず、レオは超人的な集中力を発揮して地上を掃討した。
そして、戦車のように荒々しく疾走しているオーガを見つけ出した。
目標を見つけた瞬間、覚醒能力を使用。
ユウマやレンに見せた一部の変形とは異なり。
今回は全身を鋼鉄へと変化させ、体を丸めた。
落下速度と質量による一撃を与えるためだった。
飛行機から飛び降りたが、自殺を望んだわけではない。
衝撃に備えるため頭を抱え、まもなく来る衝撃に備えた。
レオが体を丸めて空から大地へと落ちる瞬間。
鋼鉄でできた体と、前だけを見て疾走していたオーガとが正面衝突した。
クワアアアアン!
隕石が大地を強打したかのような衝撃に、大地が先に揺れる。
砂と土、小さな岩が嵐のように飛び散り、空気は衝撃波を発生させた。
小石が弾丸のように飛び散り。
砂埃が舞い散る修羅場に。
レオは丸めていた体を広げた。
「ぺっ、ぺっ……」
臓器を保護するために少し口を開けていたせいで、口いっぱいに土が入ってきて気分が悪くなったが、オーガの状態を確認するために急いで体を起こした。
半壊したオーガ。
いくらA級モンスターとはいえ、途方もない質量と速度には耐えられなかったようだ。
一瞬、レオは一人でA級モンスターを倒せるかもしれないという考えが頭をよぎったが、オーガの能力が不明な状況で油断はできない。
それでも外見から見ればパワー型、少しは期待しても良いのではないかと思う。
上半身の半分が吹き飛んだ時点で、終わったも同然だから……
ボコボコ。
「!」
「もしかしたら」という懸念が現実となった。
速いとは言えないが、傷口から赤いオーラがあふれ出し、肉が盛り上がり始めたのだ。
さすがA級…いや、これならその上の段階であるA+級に格上げすべき相手だ。
さらに時間が経てば規格外モンスターに発展する可能性もある。これが福岡へ向かうものではなかったとしても、日本のためにはここで処理すべき相手だと、レオは悟った。
一人で来るべきではなかった……
彼が手に負えない相手だと確認すると、喉がひどく渇いた。
パワータイプに見えたが、回復能力も優れている。
相手にするには厄介な部類で、まだ負傷の回復が完全に終わっていないのに、どれほど頑丈なのか、殺気に満ちた眼差しで近づいてきた。
レオは空から落ちて負った負傷を回復するため、周囲を見回した。
彼の能力は身体変化。
たとえ鋼の体にしかなれなくても。
力は飛躍的に上昇し、回復にも優れた能力を発揮した。
レオの目に留まった道路のガードレール。
手を伸ばし、ガードレールの鋼を吸収した。
インゴットとして直接食べるよりも効率は良くないが。
この程度の量なら、差し迫った事態を乗り切れるだろう。
いつの間にか近い距離まで接近したオーガ。
数歩も経たないうちに、巨大な体には傷一つ見えなかった。
力では相手にするのは厳しいだろう。
回復能力のせいで殺すこともできないのだから。
このまま逃げて時間を稼ぐかとも考えたが。
そうなると、追いかけてこなくなった場合、これまでのことは何の意味も持たなくなってしまう。
彼の役割は、仲間たちが来るまでオーガをこの場に食い止めることだ。
レオは不確実なことに冒険せず、ここで勝負を決める覚悟で、まずはぶつかった。
ドスン。
二つの存在が衝突すると、人間とモンスターが素手でぶつかったとは到底思えないような鈍い爆音が連続して鳴り響いた。
鋼鉄に変化したレオの拳は破壊力を増し。
オーガの岩のような筋肉は、彼の攻撃を容易に受け止めた。
一歩押し込まれれば、すぐに反撃が返ってくる。
アスファルトがへこみ。
街路樹が折れ。
空気までも振動する乱打戦。
衝撃に意識を失いそうになったが、レオは歯を食いしばって拳を振るった。
時間が経つにつれて、相手もダメージを受けたのか、オーガは口から黒い血を吐き出した。
ここにはもはや技術も戦術もない。
ただ、ぶつかり合って互いを倒そうという意思だけが残った。
オーガを食い止めるという考えも忘れ、互いにダメージを与えるだけの戦いをしていた最中、彼の名を呼ぶ声にレオは限界まで追い詰められていた意識を失った。




