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2羽 俺は悪くないと思います

ザラザラ・・・ザラザラ・・・ゴリッ

ゴリゴリゴリ・・・・

 コーヒー豆をミルで挽きはじめる。対面ケースをあらかた揃えて、朝のひと息タイム。

コーヒーと言ったけど、こっちの世界にもあるんですね~。

 なんちゃらかんちゃらの豆、って言ってたけど、味も香りもコーヒーそのまんまなんだよね。だからコーヒーと呼ぶことにした。

 こっちの世界の食文化はびっくりするぐらいに、ほとんどあっちと変わらない。

 変わらなさ過ぎてココは日本のコスプレ会場かと思う事が今もある。


 ピ~~。


 ん、湯が沸いたみたいだ。ちょうど豆も挽き終わったとこ。ちょうど何々がって、なんとなく嬉しいよね♪

 カップを3つ並べて湯を注ぎ温めておく。

そろそろパート二人が来る時間かな?


「おはよう御座います~」

「おはよう御座います~。あ、いい香り♪」


ジャスト!やるね俺。


「アネゴ、おはよう御座います。お勤めご苦労です」


「ハア?」「ちょっと!」 サワリとアミアミの二人が同時に俺を軽く睨んでから更衣室へ入って行った。


「スミマセン」即座に謝る。俺は立場が弱いのだ。


「ねぇ、アミちゃん明日ゾーキン必要って知ってた?ウチのリイナがプリント見せてなくって~。もう、朝から口ゲンカよ~」


「アタシ知ってた。息子のカバン漁ったからね」


 更衣室からお母さんあるあるが聞こえてくる。そう、サワリもアミアミも素敵なオクサマなのだ。二人とも幼なじみの同い年。お子様までもが同い年。どちらも「人妻です」と言わなければ、大学生位にしか見えないんだけどね。


「はい、コーヒーどうぞ♪」


更衣室から出てきた二人にカップを渡す。ソーサーには水切りヨーグルトにイチゴジャムを添えて。昨日、俺が作ったのだ。


「ありがとう御座います♪

 ん、美味しいーー!!コレ、昨日お客様から頂いたイチゴですか!?すっごく美味しいですっ!」

「コーヒーも美味しいね。いつもありがとう御座います」


ああ!二人の笑顔に癒やされる~~!

 特にサワリは本当に美味しそうに食べてくれるので作りがいがアルデンテ♪


 カラン、カラン


本日最初のお客さんの来店だ。


「おう!マスター!!悪ぃんだけどよ、コレ、捌いてくんねぇかな!?食えるよな?こいつ!毛はむしっといたんだけどよ」


「え!?あぁ、はい」


・・・なんだ・・・この生き物・・・まんまるの・・・鶏??キウイ・・・かな?食えるかって・・・またメンドくさそうな・・・。


「マスター、甘いの好きだろ?コレ食いなよ」


そう言って差し出してきた箱・・・これは!スモーマンのシュークリームではないですか!!カスタードクリームが絶賛でやや硬めのシューがサクッときて、そんで中からトロッときて・・・


「任せて下さい!」


はい。見事に釣られました。頑張ります。

 そいじゃ、まず

「ステータスオープン!!」

ふ~ん、毒・・・は無いようだな。内臓にも危ない器官・・・無し!と。()()()ね!

 まずは肛門付近をくりぬき、内臓を掻き出す。それから仰向けにして両脚・・・モモ肉を胴体から引き剥がすように包丁で切り取る。

 次に背中部分、クビからお尻にかけて一筋切り込みを入れてあばら骨に沿って削ぐように開いてやる。この時、ムネと背骨?にあたる部分の間に笹身が付いているので、そこは指でなぞるようにしてやると、上手く剥げる。

 ムネから手羽元、手羽先と切り離せばあらかた終わりよん。

 ん~、ほぼ、ニワトリと一緒、かな?手羽が片側二枚ずつ、つまり、羽が四枚の鳥だったって事を除けば。

 俺がこの世界で、見たこともない食用獣?をさばき、肉屋をやっていられるのもこのスキルのおかげだ。

 “転生ボーナス”

と呼ばれるアレね。

 俺の場合、その獣のステータスを開くと筋肉がどう付いているのか、筋がどう入っているのかが透けて視えるのだ!深度を上げれば骨まで透ける!んー、社畜特化スキル・・・だね。


「二人ともさ、今度おじさんとモーテル行こうべよ!」


こら!そこっ!俺の店でヘンなナンパしないで!まったくもう・・・。たま~に来店されて、結構高額なお買い物されていく方なのだが、助平でセクハラアウト!なおじさんなのがたまにキズ・・・。

 でも二人とも、差し入れが詫び金だとさ。()()()なのはいつの世も女性だね。


「うわあ♪やわらかそうなお肉ですね」


 バラしたキウイ?を部位別に葉にくるんでいると、サワリがお客のおじさんからさらっと逃げるように隣へやって来た。・・・薄めのラベンダー・・・か。俺はとっさにまな板に視線を落とした。


「うん。確かにやわらかそうな・・おっぱ・・ゲフン」


 両手を後ろで組み、前かがみで俺を見上げるサワリを直視できない。ビコーズ、ふちにレースの付いた上品な上下お揃いの下着姿なのだから!!

 ・・・このスキル、発動中には服も透けてしまうという、なんとも困った?仕様なのよね!体感で三十分位は消えないし。

 チラッ・・・ああ、眼福なり~~!!

じゃなくて、これは不可抗力で、仕方がなくて!そんでもって!!

 神さま。ありがとう御座います。

発動深度を上げると、まずいことになるんだろうな・・・・あえてはやらん!人として。


「お待たせしました!解体料1000イェンになります。あ、こちらのお肉も?ありがとう御座います!え~と、全部で・・・一万二千イェンですが一万でオッケーです!なに、いつもお世話になっていますから♪」


会計が終わり、嬉しそうに帰るおじさんを見送り終えると、アミアミが不機嫌だ・・・。


「ちょっとぉ!サワちゃん何でひとりだけ逃げるの!?ズッコイよ!!」


頬を膨らませたアミアミはスポーティーな白のブラに、下は白のTバック・・・。タイトなパンツにラインが出ないようにだろうが、

少年のようなプリプリのお尻が、とてもお子様がいるとは思えない位にはじけるフレッシュ・・・なに言っているんだ?俺は!!


「だいたいテンチョーが!」

「そう!テンチョーが悪い!!」


下着姿の人妻に挟まれて怒られている俺。

嬉しいやら、悲しいやら・・・。

 俺のせいですか!?

たまのハプニングがあるから、いつも店を開けていたい。営業してると、二人とも、もしくはどちらかが、絶対に出動してくれるのだ!

 毎日が、楽しい~~!!


「聞いてます!?」


あ、ほっぺ、つねんないで⤵⤵





 


  


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