4話
旧題 兄弟
一息ついたメルさんが話し出した
「ゼロさんの兄弟を見たという話はかなり噂になっています」
「もっとも、ゼロさんのお兄さんという認識ではなく、伝説の勇者としてですが」
「まぁそうだろうな、当時の俺は無名も同然だ、誰も知ってるはずがない」
隠していたわけではなく、特に公に言うことでもなかっただけだ
「ゼーレは兄貴のこと知ってるか?」
「もちろん知ってるわ、二人とも伝説の人だもの」
「リリアは多分あの人たちの強さに憧れたのよ」
ゼーレは外を眺めながら言っていた
「僕もあの人たちの強さには興味があってね~、よく遠くから見ていたものだよ」
ルイも過去のことを思い出しながら語っていた
ゼロには兄弟が二人いる
冷静だが優しく世話焼きな長男スタール
明るく感情豊かな次男トラークだ
スタールは魔術、トラークは体術の代表的な強さを持っており
二人で世界の危機を幾度となく救ったため伝説の勇者達と呼ばれていた
「そしてお兄さんの目撃情報は...」
メルさんが遠くにある塔を指さした
「あそこです、あの塔に入っていく姿を見かけているそうです」
広い平地に一つの塔が建っていた
以前は何もない場所だったが、最近現れたらしい
「さっきの爆発みたいな音も塔の方からしていたな」
「どうやら近くには結界が張ってあるようでして」
「近づこうとすると強烈に弾かれるみたいです」
「あの音は弾かれてる音なのか...派手すぎるぞ」
「結界を解こうとしている人たちもいるんですが...上手くいってないみたいですね」
ゼロはしばらく考えた
「...よし!俺が行ってくる」
「一人で行く気!?」
ゼーレは酷く驚いた
「あぁ、今回は一人で行かせてくれ」
「じゃ、僕は地下からゼロを見ておくよ」
「サポートしてくれるのか?なら助かる」
「もちろん!僕に任せなさい!」
ルイは胸を張った
「ゼーレもルイについて行ってくれないか」
「連れてはいけないがせめて見ていて欲しい」
「はぁ...わかったわ、そうする」
ゼーレが納得してくれると、ルイが何かを渡してきた
「ゼロ、こいつを持って行ってくれないか」
「これは?」
「魔力を利用した無線機だ」
「こんな小さいものが無線機なのか?」
「すごいだろ~!魔力で操作、送受信を全て行えるようにしたんだ」
「だからサイズも最小限!なんとたったの1センチ!!」
「ただ、正確な操作をするには慣れが必要でね、今のうちに慣れてほしいんだ」
「慣れか、わかった」
「詳しい事は省くけど、慣れれば無意識でも使えるはずさ」
「なるほど、それで?どこに付ければいいんだ?」
「そいつには魔力に反応する磁石みたいなのがある」
「それを耳たぶの裏辺りに付けるんだ」
「声は全て直接聞こえるようになってるから音漏れなしだ」
「こう、だな、よし付けれた」
「それじゃ、気を付けろよ~」
「あぁ、行ってくる」
ゼロはゼーレの方に向いた
「ゼーレ、行ってくるよ」
「必ず、戻ってきてね」
ゼロは笑顔で言った
「もちろんだ!」
俺はギルドを出て塔の場所まで向かった