34話
翌日、完治したリリアと共に城から出てきたゼロ達はテリアに見送られていた
「さて、これからどうしたもんか...」
と、ゼロが頭を悩ませていた
ゼーレは続ける
「すぐにでも遺跡に向かいたいけど...ルイの館の方も心配ね」
「そうだな、遺跡に行くにも準備する必要あるしな」
「なら私が遺跡、潰してきてあげようか?」
長い髪を揺らしながらゼロにウインクした
「あのなぁ...お前洗脳されたばっかだろリリア、まだ体調も万全じゃないだろうし」
「い、いけるわよこれくらい!」
どこから湧いてくるのか分からない自信を持っているリリア
それを軽く流しながら、ゼロは今起こっているある違和感についてルイに相談するため館へ向かった
ルイの館にて...
「え、記憶が消えてないのかい...?」
ゼロから話を聞いたルイは驚いていた
「ああ、洗脳されていたことが記憶に残ってる、普通ならなにより先に場所を聞くはずなんだ、リリアはそれがなかった、洗脳が解ける前の行動も知ってるようだった」
「いったいなぜ...関わってる人物が違うとか...?」
「洗脳した奴は同じだと思うんだよなぁ、特徴も一致してたし」
「さすがに今の情報じゃ何も分からないね、リリアさんに直接聞いてみたいけど...」
ルイとゼロはリリアの方を見る
リリアは離れた部屋でゼーレやメイド達と話したりメイド服を着せられたりしていた
「なんか、今は申し訳ないね」
「だな、触れづらいぜ」
と、二人が話していると不意にゼロの袖がクイっと引っ張られた
「げんかん、だれかきたみたいだよ~」
ゼロが振り向くと引っ張っていたのはユアだった
ルイとゼロは玄関の方を見るが誰もいない
もう一度ユアの方を見ると小さく首を振る
「もうすぐくる、あとちょっと」
玄関の扉が開き、入ってきたのは
「こんにちは~!誰かいますか~?」
「メルさん!」
「あ!ゼロさん!こんにちは!」
笑顔で挨拶しに来たのはギルドの受付嬢、メルだった
「驚いたよ、まさかあなたがここに来るなんて」
「ルイさん!前に聞いてた館がどういうものなのか気になりまして~!」
「......」
「あら?」
メルはもう一人見つけ、しゃがみこんで視線を合わせた
「初めまして~、私はメル、あなたは~?」
「......」
「?なんだか睨まれてるような~?」
ゼロの後ろに立ち様子を窺っているユア
ゼロは何かを察したのか、ユアの頭を撫でながら言った
「ユア、この人は敵じゃないよ」
「そうなの...?」
「ああ、俺たちの味方さ」
ユアは前へと出てきた
「わたしユア、よろしく」
「はい!よろしくお願いします~」
ユアと挨拶したメルは何故かニヤニヤしながらゼロの方に近寄る
「な、なんです...?」
「いたなら言ってくれれば良かったのにな~」
「へ?」
「可愛い娘さん、ですよ~」
「なっ!?」
不意を突かれたゼロは慌てる
「ち、違うよ!この子はその...!!」
「あは、あはは~!」
いつになく慌てている様子を見たメルは爆笑する
「は~っ、わ、分かってますよ~、違うんですよね」
「分かってるのか...」
メルは書類を取り出す
「ええ、一つ一つの事象や依頼は、終わりまで含めて全て書き示してありますから~」
「そうだったのか...はぁ、マジで焦った」
「そういえばユアちゃん、あなたはずっと一人なの?」
「...?しぇりあおねえちゃんといっしょだよ」
「その前はどう?そう、お母さんとか!」
メルの発言にゼロも言及した
「俺も気になってたんだそれ、なあユア、両親はどこに?」
「......」
「......」
(ま、まさか...)
ユアの無言から察したゼロ
「いや、やっぱいいや」
ユアはその言葉を聞いて少し安心したような表情を浮かべた
「ところでメルさん、一体どうしてここに?ギルドはどうしたんですか?」
「ギルドは少し空けています~、大丈夫ですよ、あそこのお客様は優しい方ばかりですから~」
「ほんとに大丈夫なのか...?もし襲撃とかあったら...」
「私が出かけるときはいつもギルドの周りにバリアを張ってますので~、それに、お客様達は」
「実力者揃いってことか」
「そういうことです!例え酔っていたとしてもボッコボコですよボッコボコ!」
「あ、あはは」
「...っと!そうでした!」
「ん?」
「次はどちらに行かれる予定ですか~?」
「ああ、次は少し準備をしてから古代遺跡に向かおうと思ってる」
「古代遺跡...あの結界で守られた遺跡ですか?」
「そう、もう結界はないかもしれないけど一応それも含めての準備をね」
「なるほど~、今回はおひとりで?」
「ああ、そう考えてはいるが」
ゼロがそう答えた時、後ろから声が聞こえた
「待って!」
ゼロが声のした方へ振り向く
「私も行かせて...!」
「ゼーレ...」
そこにはゼーレが立っていた
「姉さんを救いに行った時、私は何もできなかった...だから!」
ゼーレはスカートを握りしめながら言う
「今度こそ、あなたの役に立ちたい...!!」
「だがゼーレ、リリアはどうするんだ?まだ完全に治ったわけじゃ...」
「そ、それは...!」
言葉に詰まるゼーレ、するとゼーレの後ろから一人の声がした
「私は平気よ、ゼロ...行かせてあげたら?」
「リリア...!」
「姉さん!」
リリアは振り返ったゼーレに言う
「私が成長したようにあなたも成長、したんでしょ?」
「...うん」
涙を堪えながら返事するゼーレの手をそっと握るリリア
「じゃあ、次はあなたの番、成長したところ、しっかりお姉ちゃんに見せて?」
「!...うん...ありがとう...ありがとう...!!」
泣き崩れたゼーレを抱きしめながらゼロを見るリリア
ゼロは無言で頷きメルの方に向き直る
「...そういうことだ、今回も、俺とゼーレの二人で行くよ」
「分かりました...!くれぐれも、お気を付けて」




