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いつかきっと  作者: 原田楓香
21/53

21.  温かく強く


 『ドラマ、めっちゃ、よかったです!!

  英子さんも想太も、みんなで、

  終わった瞬間、テレビの前で拍手喝采!!でした』


 佳也子の送ったメールには、!マークが踊っている。

!マークをもっと山盛りつけてもいいくらいの気分

だから、これでも我慢したほうだ。

仕事中だといけないから、とりあえず、メッセージを

送っておく。


演奏会のシーンを巻戻して、3回目を見終わってから、

佳也子たちは、自分たちの部屋に戻るために、

立ち上がった。

「よかったねえ~。またらいしゅうも、いっしょに見ようね」

想太が、ニコニコしながら、英子に言う。

「そうだね。また一緒に見ようね。じゃあ、おやすみなさい」

英子の笑顔に見送られ、佳也子と想太が居間を出ようと

したときに、電話が鳴った。

急いで、英子が出ると、思った通り、圭だ。


「圭くん! 見たよ、見たよ。すっごくよかったよ。

ドラマ自体も楽しいし、面白いし。それに何より、

ピアノのシーン、すっごく素敵で感動した!」

英子が急いで、電話をスピーカーモードに切り替える。

想太が力いっぱい電話に向かって言う。

「圭くん!よかったよ。めっちゃピアノうまかった!

かあちゃんもおばちゃんも、ないてた!まきもどして、

なんかいも見た!」

圭の嬉しそうな声が答える。

「そうか。ありがとう!そんなに気に入ってくれて、

嬉しいよ」

佳也子も言う。

「ピアノのシーン、ほんまによかったですよ!

それ以外にも、いっぱい、いろんな表情があって、1時間が

あっという間でした!」

「うん。演じてても楽しかったんで、楽しんでみてもらえて、

ほんとよかった~」


「あの会場で歌ってたお客さんたち、みんなほんとに、

自然に泣いてる感じがしたんだけど」英子が言う。

「わかります?あれね、演技とかじゃなくて。

ピアノの演奏にあわせて歌う、とだけは、台本にも書いて

あってね。会場のお客さんたちにもそうお願いしてたんだ

けど、歌いながら、みんな自然に泣いちゃったって言ってた。

大合唱になったでしょ?あれも、あそこまで、みなさんが

歌ってくださるとは思ってなかったから、びっくりしたんだ。

だから、俺もつられて泣きそうになった。ほんとに、

ピアノ弾きながら、めちゃくちゃ、感動した」

「やっぱり。・・・あれ、演技じゃないよね、って話してたのよ」

「ほんまに、あのシーン、つられて泣いちゃいましたよ」

「ぼくもぼくも」想太がアピールする。

「そうかぁ。・・・よかった。頑張ったかいがあったよ。

まだ、撮影残ってるから、がんばってくるね。ほんとに、

・・・見てくれて、ありがとう」

圭の声が、かすかに揺らぐ。

「こちらこそ、ありがとう!」

「ほんまに素敵なドラマをありがとう!」

「圭くん、ありがとう。さつえいおわったら、またあそびに

きてね」

「うん。きっといくよ。待っててね。・・・じゃあね」


名残惜しそうな声で、圭の電話が切れた。

圭以上に、名残惜しさを感じたのは、佳也子たちだった。

いくら伝えようとしても、伝えきれない。

感動を言葉にするのは難しい。

言葉は、ときに無力だ。そう感じる。

でも、ほんの少しでも、誰かの力になることもある。


電話のすぐあと、圭から、英子と佳也子のスマホに

メッセージが届く。

『ありがとう。めちゃくちゃ元気出た。

疲れも吹っ飛んだ~』

そして、

スマホの画面で、アリが、10匹ダンスを踊っている。


佳也子もダンスしているアリを返す。


(なかなか会われへんけど、

私たちは、元気だよ。

いつもここにおって、ずっと、応援してるよ)


応援していると思うことで、

佳也子の気持ちも温かく強くなる。


不思議だけれど、

応援は、

する方の心も

される方の心も、

温かく強くする力があるのかもしれない。

佳也子は、そう思う。



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