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いつかきっと  作者: 原田楓香
19/53

19.  エール


 最近、圭たちのグループの活躍がこれまで以上に、

目立っているような気がするのは、気のせいか。

もしかしたら、前以上に佳也子が気にかけているせい

かもしれないけれど。


雑誌などで見ていると、いつも、メンバーの誰かが、

ドラマや映画に出演しているし、雑誌のコーナーに

行くと、HSTのメンバーがグループ全員で、表紙を

飾っている。

圭も、爽やかな笑顔でポーズをつけている。


いつ撮った写真なのかはわからないけれど、

少し、ほっぺたの肉が落ちているような気もする。

忙しくて、大変なのかもしれないな。

最近は、電話は少ない。

たいていは、短いメールが届く。

ライブツアーが終わって、ドラマの撮影が本格的に

始まったらしい。


(どうしてるのかなあ)と思っていたら、

その夜、遅くに、圭からのメールが届いた。


『撮影で、名古屋に来ています。

前に話してたこと、結構いい感じに

実現してる』


『ほんと?撮影は、楽しい?』


『めっちゃ楽しい。地方ロケとかも多いから、

移動とかけっこう大変なんだけど、その土地の

名物もいっぱい食べられるし』


「忙しいのに、そんな時間とれるん?」


『それがさ、ドラマの中で、グルメの食べ歩きシーン

とかもあるんだよ~。いいでしょ』


『そっか~。ラッキーですね。

じゃあ、ピアノに謎解きにグルメに、

めっちゃ見どころいっぱいのドラマになりますね』


『そうそう』


『ピアノ演奏、慣れました?』


『うん。技術的にはまだまだ。でもね、

はじめのうちは、ピアノ弾くシーン、

かなりドキドキして不安いっぱいだった。

でも、今は、さあ、弾くぞ~嬉しいって、

なんかすごく幸せな気持ちが湧いてきて、

知らないうちに、顔が笑ってたりする』


『そうなんやあ。いいね』


『うん。やから、忙しいけど、めっちゃ楽しい。

あ、ちょっと待って、

今一瞬だけ、電話していい?』


『もちろん』


すぐに電話が鳴る。

「もしもし、あ~やっと久しぶりに声聞けた。

時間遅いから、ちょこっとメールだけって

つもりだったんだけど。

元気?想ちゃんも先生も元気?」

「みんな、元気ですよ~。圭くんこそ、ちょっと

痩せてませんか」

「え?なんで?」

「雑誌の表紙で、少しほっぺのお肉が落ちてた

ような・・・」

「あ~。そうか。あれか。あのときは、ツアーの

合間だったから、確かにちょっと痩せてたかも。

でも今ね、美味しいもんばっか食べてるから、

逆にちょっと太ったかも」

「じゃあ、ドラマ見てチェックしましょう。楽しみ」

「へへ。よろしく。想ちゃんと英子先生にもよろしくね」

「了解です。じゃ」

「おやすみなさい」「おやすみなさい」

そう言った二人の声が重なる。


少しして、モフモフしたヒヨコが『おやすみなさい』と

お布団にもぐりこむイラストが届く。

佳也子も同じヒヨコを返す。


久しぶりに声が聞けた。

ほっと穏やかな気持ちになる。


ピアノに向かう圭の嬉しそうな笑顔が浮かぶ。

きっと、とても素敵な音を出してるんだろうな。


圭は圭の場所で、

佳也子は佳也子の場所で。


『がんばれ』という代わりに、

佳也子は、圭に、

『応援してるよ』

心の中でエールを送る。



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