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敗残兵、剣闘士になる  作者: しろち
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敗残兵、剣闘士になる 081 やるだけやってやりっぱなし


 1月までに防具を作らなければならない



「貰ったんじゃないんですか?」


「まあな、ちょっと足の方が大きかったんだよ」


「短いですもんね」


「お、おう」



 マシュアルの言葉が刺さる、心臓をエグられるかのようだ

 ガレルスは大丈夫だがオクレアはヒザ下の長さが合わず足の甲にカツカツ当たるのだ

 こっちに来てから皆脚の長いのか長ズボンを買いに行っても丈が合わず踵が擦り切れているズボンをカットして丁度いいくらい

 道ですれ違う人の足の長いこと長いこと、人種の違いなのは分かる、オココなど自分より小さいのに足の長さはオココの方が長いくらいだ



「理不尽だ」


「何がですか?」


「人種による足の長さの違いがだ!」


「摺足するには短い方がバレにくくていいんじゃないですか?」


「良いこともあるか」



 いや、よく考えるとそれ以外無い気がする



「まあ、足の長さに悩むことはやめよう

 それよりも素材だ」


「自分で作るんですか?」


「そうだ」


「素材は何で作るんですかあ」


「草と葉っぱ、貝殻と大麦だな」


「えぇぇ」



 シュロの木はディニトリアスのところに行くまでに大量に生えている、金貨20枚を握りしめ刀を頼むついでに葉をいっぱいと樹皮を一巻きくらい取ってこようと思う



 ハルゲニスに一言告げてからディニトリアスの工房に向かう、12月と言えどシュロの葉は青いところがある

 樹皮は柔らかいタワシの原料なので二巻程度頂く、葉は間引く程度に葉を頂いても両手に抱えられないくらいになった



 ディニトリアスの工房に着いてから気付いたのは帰るときにやれば良かったということだ、最早どうしてみようもない



「ディニトリアス!久しぶりだが刀を打ってくれないか!?」


「マツオ!戻ったか!」



 鍛冶場からカウンターに出てきたが特に煤けても居なかった



「ああ、武器も防具も手術道具もないのはなかなかに寂しかったぞ」


「スマンな、山火事はどうしようも出来なくてな、その代わり焼け残って焦げた木は買い取る算段をしてきたんだ

 もう少ししたらまた刀を打てるようになるぞ」


「そうか、1月は要らないがその次の機会までに打ってくれれば良い」


「あい、分かった」


「先に渡しておく金貨20枚だ」


「おう、期待しておけ!鉄も集まったから後は燃料が来ればいい」


「頼むぞ」


「防具はどうする?」


「左腕はガレルスを貰ったんだが、オクレアは合わないし刀にするなら右腕にも防具が欲しいんだ」


「右はマニカにするか?足はどうする?」


「良いの有れば買うが無ければ作るつもりだ」


「古いのが幾つかあるがどうする?作るったって難しいぞ」


「見せて貰っても?」


「来いよ」



 鍛冶場の奥の素材置き場に行くとちょっと古ぼけたマニカがかなりの数置いてあり素材構造とも多種多様だ


 1つ目は曲げた板や革が少しずつ重なった鎧戸の様な形の物

 2つ目は魚の鱗のように金属板もしくは木の板が縫い付けられている鱗衣

 3つ目は金属の輪っかが繋がれている所謂鎖帷子と呼ばれる物だ


 どれも重い、しっかり縛り付ければ問題ないとは言うが重さもあればカシャカシャ擦れる音も聞こえる


 なるべく軽く且つ衝撃を吸収するような素材が望ましいので金属ではやはり難しい、木でも軽い桐の様な軽くて丈夫な素材は中々に少ない...



「あっ!思い出した、アレ使えるんじゃ!?」


「なんだ突然に」


「木でもマニカとオクレア作れるか?」


「作れなくはないがどうしてだ?」


「軽い素材で邪魔しないのが良いんだ、多少切られたり打たれたりしただけで壊れてくれるくらいの物がいい」


「何でだ?丈夫な方がいいだろ?いちいち直すのは手間だぞ」



 ディニトリアスはよく分かってないので首を傾けて困った顔をしている


「丈夫過ぎると中まで響くのさ、何で気づかなかったんだー、毎日見てたのに、取ってくる!」


「おい!」



 ディニトリアスが何かを言っていたが最後まで聞かずに飛び出し取り敢えず採取した素材を抱えて走って戻り、ヨーレシに断って漂流物の薪を一本拝借してダッシュで工房へ向かった



「これだ!これで作れるか?」


「軽っ!サリクスじゃねえか、すぐ壊れるぜ」


「良いんだ、後で上から松ヤニ塗るか火で炙って焦がしてもいい」


「焦がすか、それはいいかも知れんがコレは使えん、ちゃんとしたサリクスを切ってくる方が安全だ」


「なぜ?」


「腐食しやすいし虫食いされているのが多いのが特徴の木だ、伐採した物を使わせてもらう

 そうだな曲げ難いから作るとしたらマニカは鱗型でオクレアが一枚板の削り出しか鱗型かどっちがいい?」


「なるべくなら鱗で頼む」


「分かった、仕上げは試しに炙らせてもらう

 そうだな銀貨5枚もありゃ十分だろうな、そこらの婆さんの小遣いにするよ」


「良心的だな、あいよ」



 銀貨5枚を渡しておく



「じゃあそうだな出来上がったら持っていくが文句は言うなよ?」


「大丈夫だ、ありがとう」




 柳のような木目だった、そう言えば川沿いに生えていたような気がする

 柳行李みたいにしても防具として成立するのか?試してみてもいいかも知れないがグラディウスの突きには耐えられないだろうな

 その点柳なら少し汗を吸ってくれれば刃の通りが悪くなるので丁度良さそうだ(柳の生木は何故か刃がダメになりやすいです)



 今度は治療小屋に戻り細かく切ったシュロの葉を乾燥させる工程から開始

 生乾きの状態で壺に入れて白くなった貝殻の粉末とともに煮崩すこと半日、大分ドロドロになったので一度冷まして濾し出来上がった繊維を更に手でほぐし木の棒で叩きファサファサの状態にする

 水にほぐしいつぞやマクシミヌスに買わせたコンニャク芋の粉末をお湯で煮たドロドロを混ぜて繋にして着流しを一時的に紙漉きのスノコ代わりに使ってちょっと厚みのある半紙サイズの紙を10枚作った

 またコンニャク糊の出番がある、乾燥させた紙にもう一度コンニャク糊を塗り乾燥させ強度と表面の艶出しをした


 最終的に作りたいのは段ボールなのだが波打たせる方法が皆目見当もつかない

 なので紙の筒を作ってサンドイッチする方法に変更し脛の形に成型し切り出したが、ここで問題発生



「どうやって固定すんだ?コンニャク糊で痒くならないか?」



 散々やった挙げ句、意味のない状態になってしまったのは言うまでもない



「とりあえず取っておくか」



 段ボールモドキの脛当ては残しておくことにした

 次はシュロの樹皮でタワシを作る

 樹皮の繊維をほぐし輪にした藁縄を左右の足の親指に引っ掛け間に縦に並べて詰めていく

 詰め終わったところで切り揃え捻って捻って捻ってカチカチに締めた棒を作り丸めて縛って亀の子束子の完成だ


 お湯に浸して体を擦って気持ちいい〜


 さーて明日から何するかな〜




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― 新着の感想 ―
[気になる点] 『なるべく軽く且つ衝撃を吸収するような素材』なら革が一番だと思うですが、柳の上に張るのは効果ありますか? [一言] もしかして作刀依頼で残り金貨0枚では・・・
2022/01/16 13:35 ケンタッキー
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