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敗残兵、剣闘士になる  作者: しろち
53/111

敗残兵、剣闘士になる 051 11月の興行


「次の興行は11月イードゥース(小の月なので13日)の次の日から2日間

 場所はアレラーテ(現アルル)だ

 闘技会参加予定は

 昼にニゲル、マツオ、ハーランド、ビョルカンで夜はルクマーンとカヒームだ

 各々準備しておくように!」



 9月の終わり頃、ハルゲニスが皆に布告した


 いい加減面倒なことだが日付の数え方が面倒だ

 基本的な数え方が月の1カレンダエが基本

 イードゥースは大の月(1,3,5,7,8,10,12月)なら15日、小の月なら13日

 ノーナエはイードゥースの9日前なので大の月は6日、小の月は4日となる

 それ以外の呼び方は「〇〇の何日前」か翌日くらいの呼び方でとても大雑把なのだ

 慣れれば大雑把で十分だ、だって何にもすることないし



 グラウクスはもちろんのこと、ディニトリアスとヌワンゴも一緒に行く予定になっていると夕飯を食べながらグラウクスから聞いた

 マシュアルもグラウクスと一緒に来てもらいメディケとして活躍してもらう予定だ





 興行が発表された翌日、ハーランドとビョルカンからいつもの質問が出た



「どうやって行くんだ?」


「武器は?」


「武器は自己調達だ、闘技場の倉庫で漁っても良いけどろくな物は無いからハルゲニスに借金して武器を作るんだ、鍛冶屋は専属が居るから案内するよ

 アレラーテがどこにあるのかも俺も知らない、オココ知ってるか?」


「ドライオスに聞けば良いんじゃないか?」


「そうだな」



 朝の武術の教練の後にドライオスの筋力訓練と基礎の立木の訓練が待っている


 それが始まる前にドライオスに聞いてみた



「アレラーテは海沿いに西へ随分行ったところだ

 そうだな〜多分今回は馬車になると思うが8日くらいはかかるだろう

 歩いていってもいいが日の出ている時間歩き続けても10日前後はかかるだろうな」



※サンーア(現サヴォナ)からアレラーテ(現アルル)まで最短の道のりで約400キロあります



「そんな遠くまで行くのか!」


「馬車だといいな」


「40歳目前に野垂れ死ぬな、ハーランドとはそこでお別れか」


「ビョルカンは年寄り扱いしよって」



 ビョルカンのハーランドいじりは結構頻繁でハーランドもあんまり怒ってはいない



「マツオの武器も無いだろう?どうするんだ?」



 ドライオスに聞かれて刀を献上したのを思い出したがコペシュがあるのも同時に思い出した



「確か古いコペシュがあったと思うが」


「そんな骨董品を持ってきてたのか」


「血錆もない綺麗な物だったよ」


「それは掘り出し物だったな

 で、ハーランドとビョルカンはどうするんだ?」


「斧と盾が欲しい」


「槍と盾だ」


「早めに頼まないと間に合わないぞ

 盾はどんなのだ?」


「四角の大盾だ」「同じく」


「ルクマーンの古いのがあるかもな、貰うのも有りだぞ」


「ルクマーンと言うのが誰か分からないんだが」


「ああ、そうか

 あいつらは別の所でやってるからな、訓練終わりに会わせてやるよ

 武器の方は休み時間にマツオからディニトリアスのところに案内してもらえ」


「おう」




 ドライオスの脳筋な筋トレと立木への打ち込みを終え朝飯前にドライオスは2人を連れてルクマーンのところに向かった


 朝飯のあとは手術道具を持って2人を連れてディニトリアスのところへ向かった



「ディニトリアスまた来たよ、今回は2人の武器をお願いします」


「おう、マツオか

 2人は新顔だな」


「ハーランドだ」「ビョルカンだ」


「この2人に武器を頼む」


「それはいいが金は?」


「いくら掛かるか聞いてからのほうがいいかな」


「なるほど、聞こうか」



 ハーランドは万能斧と呼ばれる柄が80センチと長くS字にわずかにカーブがあるもの、斧身は刃渡が8センチ程度で刃腹5センチ、長さ20センチ弱と結構普通の斧だった


 柄になる木があれば金貨で10枚、なければ12枚だそうだ



 ビョルカンは柄が2メートル、穂先20センチ程度の笹の葉のような穂先のハスタだ

※ハスタというのは槍全般を指すのだそうです

 

 こちらも柄があれば金貨10枚、なければ13枚だそうだ



「ついでに聞いてもいいかな」


「なんだ?マツオ」


「ビョルカンのより少し長いくらいの柄で両端を六角か八角の穂先を付けた棒を作って貰うといくらなる?」


「鋼じゃなくていいなら金貨で5枚だな

 それこそただ硬い木で作れば鉄なんかいらないんじゃないか?」


「まあそうだけど」


「それなら金貨3枚もあれば大丈夫だろう」


「なるほど、それお願いできるかな?」


「大丈夫だ、持ち手まで角でいいのか?」


「両端は八角で持ち手は少し滑らかにお願いします」


「承った」


「マクシミヌスに槍ダメと言われただろう?」



 ハーランドがばらした、言わないのが暗黙の了解だろう?ディニトリアスが渋い顔してるじゃないか



「棒はダメと言われてないぞ」


「棒で良いのか?」


「槍だろうが棒だろうが人は死ぬぞ?」


「ビョルカンも死にかけたからな」


「チッ、ハーランドも受けてみればいい

 あのときは本当に死んだと思ったくらいだ」



 ビョルカンが少し凹んでちょっと皆がどんよりしたところでお暇することにして、自分の分だけ前金で3枚支払って棒の受け取りはそんな武器を注文する奴居ないから大丈夫とのことだ



 ルドゥスに戻り血管と神経走行の話をしながら刺したり切ったりする時の最適な位置や動かす方向を指導してマクシミヌスの前で実践練習、攻撃や防御の時に最適な体の運びになるように途中で「止め!」をかけては動きを一個ずつ修正していく



 夕飯時にハーランドとビョルカンは借金をしにハルゲニスに頭を下げ新たに借金を嵩ませて凹みながらも自分の専用の武器を作れる喜びを噛み締めていた


 夕飯後、徐々に暗くはなるが完全に日の沈むという時間は遅くなってきていたためディニトリアスのところに支払いに行けてしまい宵越しの金すら持てず散財し不貞腐れて帰ってきた




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― 新着の感想 ―
[一言] ファンタジー馬なら指摘しませんでしたけど、馬車の1日の走行限界は50キロ程度なので、 「馬車になると思うが3日くらいはかかるだろう」 400キロなら8日かかるかと。馬はそこまで万能な生物…
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