敗残兵、剣闘士になる 104 ハラスメント
ディニトリアスに昨日の一言伝えると興奮覚めやらぬといった感じでヤキモキしていた、今すぐにでも作り始めたいがここではそうもいかないからだろう、帰ってからゆっくりと作って頂きたい
今日は戦車レースの日なので皆は骨休めだ
グラウクスにマッサージされてみたり訓練したりと皆様々な過ごし方をしていた
明日出場はハーランドとイフラース、オニシフォロスの3人だがオニシフォロスの姿はいつも通り見当たらない
ハーランドとイフラースは掛かり稽古を少しした後に最後の仕上げを自主練習、終わったらグラウクスにマッサージされていた
マクシミヌスに相手を聞くとハーランドの相手はトゥラケスで同じく上がりたてで情報は少ない
イフラースの相手はセクトールだが曲剣を使う厄介者なんだとか、イフラースも十分に厄介だがそれは言わなかった
オニシフォロスの相手はかなりの人気者で明日の最終戦で戦うのだとか、オニシフォロスはメディオラヌムでも名を知られており軍務系貴族の息子という肩書もあって大体最終戦になるんだそうだ、そしてメディオラヌムやローマ首都で闘うときには負けたことがないんだそうだ
マクシミヌスの話を全員で「「「ふーん」」」と聞き流した翌日、準備万端でアンフィテアトルム(円形闘技場)を練り歩く
会場に向かう道に並ぶバザーや立ち飲み屋なんかで飲んだくれる人は2種類、明らかに落ち込んでいる人と羽振りの良い人と両極端だった
「キルクス(戦車レース)のあとはこんなもんだ」
マクシミヌスが言うには公営賭博でもあるようでそうなっちゃうんだとか
闘技会でも賭博することもあるそうだが余りにも悪目立ちするためやっているとしても場外で公営では無いらしい、取締りについては分からないんだと嘘っぽい顔で言っていた
3日目はアンダバタ(目隠し闘士)の闘いから始まった
目隠しして馬に乗って棒で叩きあう、はっきり言って遊びだが見ている側はバカバカしいことが面白いらしく笑い声が響いていた
マリディアーンが始まると上手い具合に拮抗した試合が多く負傷者の治療に忙殺されたが会場のボルテージは最高潮だ
昼の休憩時間にはグラディアトリクス(女性闘士)の闘いが催され男共がヤイノヤイノ言う野太い声が響いており心の底から見たかったがそれどころではない野戦病院状態だった
運ばれてきたグラディアトリクスは筋骨隆々で女性ボディビルダーのような肩と足だが十分に脂肪がついており4人運ばれてきた全員が艶めかしいボディラインをしていた
担当したグラディアトリクスは板の上に乗せられて運ばれてきた、右の腋の下を深々と切られており出血量も多かった
「小円筋と肩甲下動脈も切れてますかね」
「そうだな、まず洗おうか」
編み上げている髪の毛は金髪、うなじのホワッとしたアホ毛と少し太めの首筋が色っぽい、汗の匂いも芳しい、ツンとした張りのある乳房が露出していることもあり心臓が高鳴り目のやり場に困るが今は治療に集中だ
腋の下を洗い流し傷を確認、既に腫れ始めているがなんとか血管まで確認出来た
「筋肉は完全に断裂してるな、血管も断裂、神経は細いのは切れてるけど大丈夫だろう
髪の毛10本くらい煮てくれ」
「はい」
マシュアルがお湯で煮て汚れを取った髪を持ってきた
先ずは動脈の吻合、細めの動脈なので4針入れて箸で焼いてくっつけた
筋肉は小円筋という形で言えば鳥のササミに近い形の筋肉で同じく筋内腱が長く意外と太いので髪の毛でしっかりと縫合し筋線維も大雑把に縫合し筋膜を縫い付け細かい出血点を焼く、最後に皮膚を縫い付けて完了
乳房の横の傷も洗い流したがあまり深くなかったためヌワンゴの軟膏で治療を済ませた
「かなり痛かった筈ですが頑張りましたね」
「はひぃぃ」
顔は真っ赤になっており青い目の周りは赤く充血し涙と鼻水とヨダレというフルコースをタレ流しへの字に曲げた口から声が漏れた
女剣闘士は乳房を切れた服に押し込み胸元を押さえながら走って消えた、走り方はしっかりとスプリントだったがキュッと上がっているお尻のエロスは半端でなかった
「マツオの鼻息と目付きは犯罪ですね」
「そんなに!?」
「ん、ん、んんぁはぁ〜
ん、ん、んんぁはぁ〜
なんて生暖かい息を胸に吹きかけられたら逃げますよ」
「そりゃ犯罪だな」
「最後なんて優しい手付きで乳房を揉みしだいたんですよ?今すぐに刺されても文句言えませんね」
「いや、あれは軟膏をだ」
「分かってます、さっきの人も治療自体は適切だと分かって受けてましたよ
顔と息だけ変態だったというだけです」
「顔は…生まれつき…?だから…残念だな」
凹みすぎてその後の記憶は少し飛んでなくなった
暫くしてからマシュアルの一声でやっと正気を取り戻した
「マツオ、ハーランド出ましたよ」
「おう!」
隙間から闘技場を覗き込みハーランドの雄姿を見ようじゃないか




