敗残兵、剣闘士になる 000 プロローグ
初投稿
を修正
四国で特攻隊の指揮官の補佐をしていたという方(百超え、認知機能OK)にインタビューが出来たので修正しました
白菊4機はムリ20前後が普通、最低16機と突っ込まれました
なにより隊長機もしくは誘導機以外は無線ついて無い、両翼に爆弾ついてっから隊長以外は雲の上はムリとのこと
ボロい白菊でも空中分解はしない…筈、練習中は稀に有ったけど自分の居たところの特攻機はしっかり整備していたから大丈夫、他は知らんけどと
音速超えられたら空中分解は分からんけどエンジンのパワーで言えば100〜120ノット(時速180〜220キロ)で限界だったから音速はムリと
上官機か誘導機なら上がれるだけ上がって垂直落下でエンジン吹かせても150ノット(時速277キロ)がやっとくらいだと思う、そんな奴は居ないけどとのことでした
読んでいただた皆様のご指摘の裏付け取れました、ありがとうございました
特攻機の無線のON/OFFについては当初はONだったらしいけど自分が入ったのは終戦ちょっと前でその頃はOFFにしていた筈…とのことでした
「神風特別攻撃隊、君達はもう命を捨てた神であるから、何の欲望もないであろう
ただ自分の体当りの戦果の戦果を知ることが出来ないのが心残りであるに違いない
自分は必ずその戦果を上聞に達す、国民に代わって頼む、しっかりやってくれ」
1945年6月26日、知覧(鹿児島県南九州市)から愛機(練習機白菊)に乗り込み沖縄へ飛び立った
燃料は後部座席に追加のタンクで積載しているが飛行するには極めて少ない
知覧から沖縄を経由し台湾を目指し、アメリカの敵艦隊を見つけ次第、垂直滑降でなるべく空母を狙うことが今回の目標だ
髪を束ねて遺書に包み、一杯の酒を飲み神を宿したこの体で敵を挫くのだ
一週間程前に台風が通り、暑い日が続いた昨日も海軍から出撃し25機の未帰還が出ている
今日は生憎の天候だがそれが功を奏すだろうと出撃となった
出撃は16機、今回も白菊のみだ
天候が思いの外悪かったため12機は順に滑走路へ降りていくがその間、先導機であった私含む3機は未だ上空で警戒を続けていた
練習の成果か次々と友軍機は降りていくが徐々に雲が低くなってきたため雲の上をアメリカ軍の機体が通っていないか気になり切れ目を縫って上がってみることにした
「雲上へ偵察に上がります
燃料は不十分ですが同3機よりは多少は積んでいます」
「了解、異常があれば報告されたし」
「了解」
型式の古さと運転席の狭さで無線機の設置が見送られている白菊だが、自分の白菊にのみ無線機が積まれている
雲の切れ目をぬいながらほぼ垂直に上昇、雲海を望んだ
地表こそ見えないが雲の目から海上を観察する
幾つかの穴を確認していくと海上に浮かんでいる灰色の船が見え双眼鏡で確認すると短い滑走路に敵爆撃機が並んでいるのが見えた
「管制、敵艦を発見、未出撃の模様
予定通り突撃します」
「待て、白菊隊発進する、距離と方向を」
「東北東、地平線」
「了解」
特攻時に基地と無線が繋がったままになっているのは音を聞くためと聞かされていた
戦果報告のためとも遺書の代わりとも噂されていたが上官からは何のためか本当のところは聞かされていない
白菊隊を誘導し目標位置を確認、敵艦の操舵室らしき一番高い部分を目指し40度の落下角度で特攻せよと教えられてきていたが海軍の砲手に聞くと45度までは狙いやすい角度だと言う
『最悪なのは直上に近い方だが船も動いているから特攻するには難しいだろう?』
とのことだった
ならば見つからない高さから音速を越えた垂直落下でならば破片が当たるだけでも大打撃になるだろうと考えていた
「基地へ、敵艦は殆んど動いていない
上空より垂直落下する」
「御意」
他人行儀だがまあいい、その一言でもう無線は入らなくなった
他の特攻機は続々と船に向かって飛んでいくのが見えたが自分だけは燃料のギリギリまで練習機の限界を超えて高度を上げる
横を見れば地球のなんと丸いことか
「とくと見よ!」
目一杯操舵管を押し込み海面に垂直に加速しながら落ちていく
最早、他の友軍機は見えない、残るは自分一人になったようだ
分厚い雲を切り裂き雲から出れば敵艦の直上、重力に逆らえない血液の逆流で意識を飛ばしそうになるもガタガタギリギリと軋む機体の音で寸でのところで意識を繋ぎ留める
「馬っ鹿野郎ーーーーーー!」
加速し続けたエンジンは黒い煙を吐き、動きを止めた
燃料が尽きたのだ
舵さえ切れれば後はそれでいい
そう思っていた
速度に機体が耐えきれるかギリギリの状態に思える振動で何かが当たったのか分からないが操縦席のガラスにヒビが入ると一気に拡がり吹き飛んだ
風の当たる向きが変わり少しずれたのを舵で補うが今度は操舵管が遊んでいるようで効かない
「おいおいどうすんだよ!」
あと数十メートルだ
「もう大丈夫だ」
そう思ったときだった
『バンッ!』という音と共にシートが浮き後ろのタンクから油が飛び散った
「不味い、不味いぞ」
機体に掴まり押さえようとしたがもう遅かった
機体に衝撃が走りシートが外れ機体が散らばり始めた
「もう少しだったのに」
ギリギリでベルトを外しシートとお別れして空中に投げ出されたところで液体と撒き散らしながらも機体が空母に直撃、爆発の余波で殴られたように吹き飛ばされ意識を失った
投稿はなるべく頑張ります
誤字脱字はすみません