00-01
好きな物を書きたいがために書き始めた新連載。
今度こそ書き切るという強い意志と共に、実際こんなゲームがあったらなぁ、と思いつつ。
よろしくお願いします!!
「……ん」
緩い眠りから覚めたかのような錯覚を覚えつつ、意識が覚醒する。
左右を見たり、軽く手を握って動作確認。驚く程違和感が無い。
ここは電脳世界と呼ばれる、作られた世界だった。
しかし、現実と遜色なく動けるだけに、本当にそうなのかと疑問が湧いてくる。
「お身体に異常は御座いませんか?」
聞き慣れない声を投げかけられ、音源の方を見やる。
「特に」
――強いて言うのなら、違和感が無いことに違和感を感じるくらいだ。
そう続けようとして口を閉じる。
それは光球だった。いや、球状かは分からない。
ただ、光がそこにあり、どうやらそれが喋っているようであった。
「それでしたら良かったです。今後なにか不具合などを感じることがあれば、是非私共にお伝え下さい」
何せ、初めてですから。
そう続ける光は、何が面白いのか、体を(と、いうか光を)震わせる。
こちらとしては置いていかれているようで、あまり面白くない。
「では、問題がないようですので、設定に移らせて貰います」
光はひとしきり震えたあと、満足したのかそう切り出してくる。
問題は無いので続きを促す。
楽しみにしていたのだ、早く遊びたかった。
「お願いします」
「まず、アバター設定の前に、種族設定ですね。種族によっては大きく体型が変わる事もご承知下さい」
「それはもう」
ファンタジーなのだ。そのくらいは想定済みである。
「ご理解いただけたようで何よりです。では、」
そう言って光が大きく弧を描くと、その軌跡上に3つの影が表示される。
影の大きさは3つともまちまちで、右が1番大きい。
随分と凝った演出だ。
「向かって右が獣人種、中央が人類種、左が亜人種です」
「何が違うのですか?」
「はい。大きく、能力と待遇の2つが違うと思ってください」
「待遇?」
「ええ。舞台となる惑星アーノルドでは人類種の数が圧倒的に多く、次いで獣人種、亜人種の順になっており、中には獣人種や亜人種を人類として認めていない国も存在しています」
「……亜人種は能力が人類種より高かったり?」
「しますね。獣人種も似たようなものです。まあ詳しくはゲーム内で確認してみてください」
成程。
個の亜人種・獣人種と、集の人類種。
話しぶりからすると、強者に対する恐怖心が、そのまま迫害につながっている様な印象を受けた。
どうやらどの世界でも、そこら辺の事情は変わらないらしい。
何はともあれ、これだけの情報では決められない。
「それぞれもう少し詳しく教えてください」
そうして教えてもらった情報を軽く要約すると以下のようになった。
人類種。最も総数の多い種族であり、全体の八割は人類種であるという。
人種の概念があり、地域によって大きく能力が変わるらしい。
獣人種。獣の特性を取り入れた人間で、その特性上力が強くなる傾向があるらしい。
反面魔法の適性はゼロに等しくなり、一切使えない可能性もあるとか。
亜人種。魔獣の特性を取り入れた人間で、唯一魔力を持っている種族。
聞いた限りだと、力も魔法も使える万能型のようだ。
「お決まりになりましたか?」
「1つ質問を。これは選んだ種族によってプレイの有利不利が大きく変わりますか?」
この答えによっては、今考えている種族を諦めることもありうる。
確かにゲームは楽しみだが、積極的に修羅の道に進みたい訳では無いのだ。
「ありえないと言ったら嘘になります。ただ、」
「ただ?」
「ただ、どれを選ばれても楽しんで頂けるよう調整しております」
そういうことを聞きたい訳では無いのだが……。
だが、どうやら問題ないらしいと判断し、決断を口にする。
「では、亜人種でお願いします」
Tips:亜人種-01
惑星アーノルドに存在する三つの人種のうちの一つ。
その正体は遠い過去、●●に対抗する為、人体実験を繰り返した末に作られた、人造人間の末裔。が、その情報は既に失われている。その為、普通の人類種に比べ、筋力・魔力・その他ありとあらゆる面で優れている。
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