このスケベ教師、教育委員会に訴えてやる!
次の瞬間、俺はあることを思いついた。
浅井の方を向き、決してパンツを見たから心変わりしたと覚られないように真剣な顔で言う。
「確かにあいつらは甲子園に行けるレベルではない。だが、俺が鍛えれば可能性はないわけではない」
「先生! もしかして監督を引き受けて下さるんですか!?」
浅井の瞳がキラリと輝いた。
さあ、ここからが肝心だ。慎重に攻めなければならない。
「ああ、ただし、引き受けるには条件がある」
「条件……?」
俺はガックリと肩を落として演技した。
「さっきお前が言ったとおり俺は野球と向き合うのが怖いんだ。向き合うにはそれなりの覚悟がいる。
だから浅井、お前にもそれなりの覚悟を見せてもらいたい」
「覚悟……?」
「そうだ。お前の身を捨てる覚悟だ」
俺は浅井の目を見て言い切った。
「もし俺があいつらを甲子園に行けたら、俺とエッチしてほしい!!」
ずいぶん強引な論理だが仕方がない。これが脳筋の俺が考え出せるすべてだ。
一方、浅井は混乱していた。
「エッチって、あのエッチですよね? 鉛筆のHじゃありませんよね。えっと……、あの、その……」
やっぱり、こいつ、ヴァージンだな。そして、20秒後――
「えええーーーーーっ!?」
ヤバい! 俺はすかさずフォローする。
「浅井、俺だってスケベな気持ちで言ってるんじゃないんだ。ただ、お前の覚悟を…」
「スケベな気持ちで言ってるでしょうが!」
「浅井、誤解だ。俺はただ…」
「じゃあ、そのズボンの前は何なんです!?」
浅井が名探偵のようにビシッ! と俺のズボンを指さした。
し、しまったぁ……!
俺の無法者が外からでもわかるくらいに大きくなっていた。
いくらヴァージンでもこれくらいのことは知っているらしい。
動かぬ証拠を突きつけられてうろたえたが、ここは引き返すわけにはいかない。
敢えて開き直る。
「じゃあゴマかさずに言うが、抱きてえんだよ、JKを!」
「このエロ教師! 校長先生と教育委員会に訴えてやる!」
「いいじゃねえか! 減るもんじゃねえし!」
「はあ?」
「まあ、お前の気持ちはわかるよ。お前はヴァージンだから、セックスが怖くてしょうがないんだろ? これだから小便くさい女はイヤなんだ」
「誰がおしっこくさいよ! 私だって、私だって……」
「ヴァージンじゃないって言うのか?」
「え……」
「あんな色気のない純白パンツを穿いてるお前がヴァージンじゃないって言うなら、小学生全員、ヴァージンじゃないぜ!」
「ふんだ。あたし、ベッドじゃすごいんだから!」
「ウソつけ! ベッドで震えて、丸太ん棒のようになって何もしないお前の姿が目に浮かぶぜ」
「じゃあ、試してみなさいよ!」
「よし、決まった。そうしよう!」
「えっ? 今のはちょっと、あの、勢いで言っただけで……」
「やっぱりヴァージンでオトコが怖いんだな」
「そ、そんなこと! こう見えて、あたし、結構遊んでるんだから!」
こうして俺と浅井の契約が締結された。
途中、ヤバイ場面もあったが、浅井の負けず嫌いが幸いして俺にとっては最高の、浅井にとっては最悪の結論に達することが出来た。
やっぱり物事には勢いが大切だ。
浅井はかなりうろたえていた。
後悔が渦巻き、出来れば取り消したいと思いが表情にあらわれていた。
しかし今更、「実は私、ヴァージンでセックスが怖いんです」「ヴァージンは好きな人にあげたいんです」と頭を下げるわけにはいかない。
「ふんだスケベ教師……! あたしをそんな目で見てたなんて可愛い所があるのね」
浅井は強がって、遊んでる女を必死に演じていた。
強がりながら足がガクガク震えている。
それがなかなか可愛い。
「さあ、浅井がどんなテクを見せてくれるか楽しみだぜ」
「ったく、た、楽しみにしてなさい……」