ごしゅじん
私が覚えてるなかで、一番最初の記憶は
優しく撫でてくれた暖かい手の感触だった
私が生まれた時、この家に引き取られたらしい
まだ目は空いてなかったけど、優しくされていたのは覚えてる
私が少し大きくなったころ、この家に子供が生まれた
自分と同じくらいの大きさだった
その子が大きくなってからは、私が一番の友達だった
一緒に遊んだし、ご飯も食べた
自分が年をとって、だんだんと動けなくなってからも
その子は一緒にいてくれた
自分が寿命で死ぬとなった時、
その子は泣きながら抱きしめてくれた
泣いて別れたら悲しいから、
舐めてあげたら、笑ってくれた
私は犬
この家に引き取られて、本当に良かった
このご主人に会えて、本当に良かった
第3段です