20分の3話 迫害の少女
この世界の貨幣単位を載せておきます!
1ナル=10ニル
1ニル=10ヌル
1ヌル=10ネル
1ネル=100ノル
1ナル=1,000,000円
1ニル=100,000円
1ヌル=10,000円
1ネル=1,000円
1ノル=10円
「ところで、この店はかなり銃弾の種類が豊富そうに見えますね。」
「そうだろう!そこだけが胸を張って言えることなんだよ笑。」
「いえいえ、そんなことないですよ。あそこにおいてある銃もかなりの年代物ですし、向こうにある槍もかなりの技術を持ってして作られています。それに皆さん親切です。」
「ふふっ、ありがとう。」
「そこでなんですけど、ここにある銀製の銃弾と鉛製の銃弾を交換してくれませんか?」
「ぎ、銀製!?た、確かに私らの店の売りは銃弾の種類だがそれは本当に久しぶりだな~!だが、鉛弾と銀弾は数じゃ釣り合わん。鉛弾はそれなりの数になる。」
「そうなんですか?えーとじゃあ、あの棚の左から3番目の箱で……」
「ん?この店にある全部の鉛弾と交換できるのだが……?」
「あ、じゃあそれで……。」
「ふふっ、承知しました。」
軽く笑みを浮かべて在庫の鉛弾を取りに行った。
「ユーテルさん!リボルバーは問題なかったよ!ピペットもあと少しだから~!」
「あっはいっ!引き続きお願いします!」
しばらくかかるって言ってたけど思ったより早いな……。
「ユーテル君、鉛弾持ってきたよー」
「えっ……?そんなに……?」
彼の目の前にあったのは木箱が6つ。
「1箱どれくらい入ってるんです……?」
「んーと、300……いくつだったかなー20かな25かな?」
20、25じゃなくて、300って……しかも6箱も……
「これ全部いただけるんですか?」
「もちろんとも。」
「あ、ありがとうございます……。」
「どういたしまして。でもこれでも足らん。お釣でいいかね?」
「あ、はいっ!」
「はい。じゃあこれね。」
そう言って2ニルもらってしまった。
「え?これお釣ですよね?」
「そうだとも。」
「ど、どうも。」
なんか申し訳なさすぎる。
「よしっ!これでピペットの修理は終わったよ~。代金はいらないからね~!」
「わかりました……。あの、その使い方ってご存じですか?」
「修理してみたけどひとまわり大きい普通のピペットだね。だからこうやって液体を入れることも出すこともできるよ。」
この筋肉バキバキ奥さんがピペットを持つとかなりの違和感を感じてしまう。
「はぁ。わかりました。いろいろとありがとうございました。」
でも、ただのピペットではないはず。
そうじゃなきゃ所長は渡さないだろう。
「気を付けて旅をしておくれ。私たちからのお願いだよ。」
「はい。二人ともお元気で!」
別れを告げた後、木箱を全部馬車に乗せて出発した。
「さっきの続きのですけど、何が原因かは分かっているんですか?」
「いや、はっきりとはしていないのですが……。」
「ということは、何か思い当たることはある。ということですか?」
「……噂ですが、ある少女が原因だとか。」
「少女?」
「はい。その子が生まれたのもちょうど17年前でその年は彼女しか生まれていないのだとか。」
「ふーん。」
しょうもな。
でもそれだけ深刻なのかもしれない。
何かのせいにしないとやっていけない。
何か生け贄を作らないとやっていけない。
そうなのかもしれない。
「わかりました。ちなみにあなたはどこまで来てくれるのですか?」
「御者は向こうに滞在するのは禁止になっています。あなたが降りるまでですね。」
「木箱を運ぶまでお願いできません?」
「そこまでだったら仕方ないですね。いいでしょう。」
助かった。でも、次の移動手段を早めに考えないと困るな。
「着きました。ビヒテン国です。」
外観はすごく奇妙だ。壁は剥がれてるところがあるし、誰も外にいない。まだ昼を少し過ぎたくらいなのに。
しばらく馬車で走っているとある一軒家の中にいる人がこっちに手招きしている。
「行ってみますね。」
彼らは一軒家の近くで降りて木箱をそれぞれ3つずつ持った。
中にいた人が少しだけドアを開けて
「お早く。」
とだけ言って手招きした。
よっぽど外の空気を吸いたくなさそうだった。
二人は中に入ると同時に15分ほどかけて念入りに消毒された。
「いきなり失礼なことをして申し訳ありません。これは疫病対策でして。
「いえ、かまいません。あの、この国について少しお話聞かせてもらっていいですか?」
「はい。この国は17年前皆がとても元気に健康に過ごせた時期がありました。病院もがらがらになるほどです。ですがそれが2週間続いたある日を境にいきなり病人が日に日に増えてしまったのてす。死人さえ出ました。」
「その原因というのは……?」
「はい。おそらくですがあの少女のせいでしょう。彼女が生まれたのも17年前でその年に生まれたのは彼女だけですから。しかしそれに納得のいかない医者たちが本当に彼女が原因なのか確めたところ一人を残して全員亡くなりました。皆同じ疫病で。そこで我々はほとんどその少女のせいであろうと確信したのであります。」
「残りの一人は今はどこに?」
「今もこの国で他の人々の病を治すために働いております。」
なるほど迫害ではないのか。
「事情は分かりました。その子は今どこにいるのですか?その子に会わなくてはいけません。」
次回から少女に迫っていきます!
お楽しみにしてください!
読んでいただきありがとうございました!