拾伍
速度落ちないよう気を付けますね。
セイはにこりと笑い
「じゃあ、問題無いだろ?君が決めた選択だ。こんなことに、僕の発言で惑わされちゃ駄目だから。」
「惑わされてないだろ?」
セイの口から笑みが消える。
「これから何があってもその決意が変わらないと言える?」
「多分...?」
「多分じゃダメだ。君がもし揺らげば付け入られる隙を作る。強い意思を持て。博愛の主にふさわしい、何にも囚われない意思を持て。」
「主?」
「あぁ、そうだ。僕は君の臣下だ。従者でもいい。だからもっと相応しくなれ。雑多の愛も本物の愛も全て受け入れられるように。そして弱音は死んでも口にするな。」
「死んでも?何で?」
「言霊がつく。」
「そんなものを信じてるのか?」
半分バカにしたような口調
「僕と言う存在の前で、それを馬鹿にするの?」
顔こそ笑顔なものの口調からは怒りが溢れ出ている。
「あのね。君が揺らぎ、弱音をはいて感情を害して、本質が変わったら僕の力が弱まるんだ。弱まるだけならまだいい。最悪の場合は消えるんだよ?」
セイは怒っているのではない。震えているのだ。
悲しくて、そして怖くて
消える。それは人にとって死ぬと同義。
セイが震えるのも無理はない。
「分かった。約束する。弱音をはかない。意思を揺らがせない。」
「それでいい。それでこそ主だ。」
先程の震えが嘘のようにセイは元の調子を取り戻す。
「さて、そろそろ談話も終わろうか。」
「...そういえば、ここはどこなんだ?」
「君の精神みたいなとこかな。現実ではまだ多分30分くらいしか経ってないよ。」
少なくともさっきまでの体験は体感時間だが、何十時間もあった気がする。
「便利な世界だな。」
「原理は走馬灯みたいなもんだよ。じゃあ楽しい夢の時間も終わろうか。さあ目覚めの時間だ」
「まぁ、楽しくは無かったけどな。」
目の前が揺らぐ。
懐かしい匂いが鼻を劈く
読んでいただき感謝です。