第五話 -使えなかったはずの才能 その1-
ま、間に合った……。
◆ 受注可能クエスト:4 ◆
◇ スキルチュートリアル1(特) ◇
◇ スキルチュートリアル2(特) ◇
◇ スキルチュートリアル3(特) ◇
◇ システムチュートリアル(特) ◇
スキルチュートリアルを順に受けていこうか。
◇ スキルチュートリアル1 ◇
スキル【生者の力】の使い方を理解せよ。
種別:特別クエスト
受注条件:なし
期限:受注後24時間まで
報酬:QP×20、EP×10
受注しますか? Y / N
クエストを受注するとやはりウィンドウが切り替わった。
◇ スキルチュートリアル1 ◇
【生者の力】では、5回まで因果逆転を使用することができます。
因果逆転で有名なものといえばクー・フーリンの使用したゲイ・ボルグでしょう。
通常は「心臓めがけて槍が放たれる」から「心臓が貫かれる」という事象が発生するのに対し、ゲイ・ボルグは因果を逆転させ、結果を先に発生させることで「心臓が貫かれる」から「心臓めがけて槍が放たれる」という事象が発生したのです。
因果逆転は望みの結果を先にもたらすことで必要な代償を後払いするというスキルだと言えるでしょう。
結果が先にもたらされるため、原因は強制的に発生します。
例えば、「1トンの力で敵を殴る」という結果を発生させるとします。この時、敵を1トンの力で殴ることが出来ますが、それには当然「拳を敵に1トンの力を与えられる速度で振り抜いた」という原因がついてきます。確かに、世界の強制力で普段自分が拳を振るう時よりも力の入れ方などが効率的に出来るかもしれません。しかし、それに必要なエネルギーや拳の強度は自分自身のものに依存します。つまり、この通りの事象わ発生させると敵は1トンの力で殴られる代わりに自分のエネルギーは枯渇し、拳や腕の筋肉はペチャンコになるというわけです。
しかしながら、この代償はある意味ではとても有効です。
なぜなら、原因は強制的に起こされるからです。
「敵Aが敵Bを1トンの力で殴る」という結果を先に発生させれば敵を相打ちにさせることが出来ます。
このスキルを使うにあたって注意しなければいけない点は、原因をしっかり指定しなければいけないという点です。
なぜその結果が発生したのかを明確にしないとスキルが不発・暴走するか、予想外の原因が発生する可能性があります。
先ほど述べた相打ちの話でも、「敵Aが敵Bを多少なりとも恨んでいる」ということがないと原因が発生せずに失敗するでしょう。
原因を明確にすればするほど望みの結果・原因を得ることが出来ます。多少曖昧でも世界が勝手に補完してくれますが、どう考えても無理がある場合は発動に失敗します。スキルはあくまでも世界が人間に与えた力なので、世界が壊れるようなことは発生しません。
このスキルは上手く使えば結果も原因も操ることができ、過去・現在・未来すら操れる力ですが、使い方を誤ると自分の身を滅ぼすことになるスキルです。
では、実際に使ってみましょう!
◇ 次へ ◇
「……『では、実際に使ってみましょう!』じゃねーよ…………。」
怖いわっ!
下手したら体がドカンやん……。
とりあえず足元に落ちていた石を拾う。
「【生者の力】!!」
▷【生者の力】◁
◇ 石を投げた ◇
↑↓
◆ 50m石が飛んだ ◆
体が勝手に動き、石を投擲する。
石はちょうどぴったり50m飛んだ……はずだ。
まぁ、測る物を持ってないんだけどね。
じゃあ他のことを。
▷【生者の力】◁
◇ 草が土から栄養を吸った ◇
↑↓
◆ 草が50cm成長した ◆
ボコッと音がして草が一気に成長する。
周辺の土は栄養が吸収され尽くしたのか、灰色になっている。
あ、そうだ。もっと分かりやすい方法があった。
▷【生者の力】◁
◇ 石を投げた ◇
↑↓
◆ さっき投げた石にぶつかった ◆
体が勝手に動き放たれた石は先程の石にぶつかりカツンッと音をたてた。
「ふっ、さすが俺のコントロール能力」
…………。
誰も反応してくれなくて寂しいです。
「とりあえず使用回数制限はあと2回だよな……」
使えば使うほどスキルのレベルは上昇し強くなる。使い切っといた方が良いだろう。
同じように石を投げて残り2回の使用制限を使い切る。
「っ!」
体の中で熱いものが暴れまわるような感覚。
スキルのレベルアップだ。
【生者の力】
ランクSS Lv.2
種別:任意発動
冷却時間
回数制限が残っている場合は無し。
世界を移動すると回数制限全快
効果
死者の国でのみ発動。
5回まで指定した対象の因果を逆転
Lv.2になっても特に変わったことは無い。
強力なスキルにはよくあることだ。もっとレベルが上がれば新たな効果が追加されるだろう。
◆ クエスト達成 ◆
◇ スキルチュートリアル1 ◇
上記のクエストを達成しました。
QP×20、EP×10
上記の報酬を獲得しました。