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第一話 -最弱の少年-

年末です!


まだプロローグしか書いてませんが、今年もありがとうございました。

バース・クローバー・インベルシオンことバースは少しくたびれた制服を身にまといながらティーフ学園に向かって歩いていた。


ティーフ学園は【人界】でいう「高校」である。

場所は中央大陸アンヴェルスの南部のティラリア。

【才能】(スキル)育成学校の一つである。


【才能】(スキル)とは、魂が肉体に格納されるときにつけられる傷跡にエネルギーが通過することで発動される、いわゆる【超能力】である。


今日は始業式。

「ふぁあああぁ…………」

と、いうことで昨日は休みだったため、調子に乗って徹夜でゲームをしてだいぶ眠い。

バースは視線を青空から学校の正門に戻す。


「ゲッ……!?」

「他人の顔を見た最初のセリフがソレ!?」

と、なんともまぁテンプレっぽく登場したのはこのティーフ学園生徒会長ことファナリア・アスル・アヴニール、ファナリアである。

相変わらずのきれいな長い金髪である。周りの人も思わず二度見するほどで、「あれが生徒会長……」と、声が漏れ聞こえてくる。

バースにとっては威厳も何も感じないのだが。

「いや、年度の初めからめんどい奴に会ったなぁと。」

バースはやる気なさげな声で言う。ファナリアはただのめんどくさい幼馴染だ。

「なんですってぇ……!?」

ぴしぴしぴしと音を立てて地面が凍っていく。

ぴしぴしぴしと周りの人の好感度も下がっていく。

ファナリアの【才能】(スキル)、【凍結】である。

それによって、好感度……ではなく地面の温度が低下し、凍ったのだ。

どちらかというと温度低下ではなく「停止」に近いらしい。ブラウン管運動を「停止」まではいかないものの、抑えることで温度を低下させるそうだ。


「おっと」

バースはわざとらしく凍った地面を避けながら教室へ向かった。



--- - --- - ---



2-Cと書かれた教室に入る。

「よっ!また同じクラスだな、バース」

「またかよ。いい加減飽きるぞ、カイト」

教室に入るなり声をかけてきたのは茶髪の男子、カイト・ディエトロ・トレス。バースの幼馴染兼親友である。

【才能】(スキル)は【爆裂】。液体を瞬時に気化させる能力である。それによって莫大な熱が発生し、文字通り爆裂するのだ。水が武器という感じである。

「まぁ、今年もよろしく!……あ、ファナリアもこのクラスだったな。」

「げえぇっ!?」

ガラガラガラ!!

「バースウウゥゥ!?」

「ヒイイィィィィィイイィッッ!?」

人型の氷柱が一本出来上がった。



--- - --- - ---



放課後。

今日はほとんど必要書類の確認やらなんやらで授業はなかった。

バースが学園長の先生を聞きながら寝て足元を凍らされるという事件はあったものの、概ねいつも通りである。

「ほら、さっさと帰るわよ!」

「別に一緒に帰らなくてもよくね?」

いつも通り、バースはファナリアと合流して帰ることになる。カイトは用事があるようなので今日はいない。

「別にいいでしょ!?」

「……生徒会の仕事は?」

「もちろん終わらせたわ!」

ふふん、と胸を張って答えるファナリア。

「俺の迷惑も考えろよ……」

思わずつぶやくバース。それもそのはず。周りの視線が痛い。

「おお、あれが生徒会長様……」

「美しい……」

「あれ、隣にいるのは……?」

「『最弱』だよ。チッ、なんであんな奴が一緒に……」

この通り、ファナリアへの賞賛から一転バースへの陰口がすさまじいことに。

「やっぱり俺が隣にいると迷惑なんじゃ……?」

「いいのよ、気にしなくて。……私が一緒に帰りたいだけなんだから」

声が尻すぼみになっていくがバースにはバッチリ聞こえている。

バースは鈍感系主人公ではないのだ。多分。

「まったく、ツンなのかデレなのかはっきりしろよな…………」

バースは誰にも聞こえないように呟いた。



--- - --- - ---



『最弱』のバース。

それもそのはずである。

バースは、最もレアだが最も使えない【才能】(スキル)をもっているのだから。


「そうそう、私、この前【才能】(スキル)のレベルが上がったのよ」

ファナリアはそう言って右手を振る。

すると、サァァッという音とともに半透明のカードが空中に出現した。



【凍結】 (【氷結】→【凍結】)


ランクA Lv.3(Max10) 任意発動

冷却時間:15秒(スキルレベルによって変動)


効果


Lv.1

対象(物体もしくは半径5メートル以内の空間)のブラウン管運動を抑制し、冷却する。(最大温度変化・精密性・対象数(初期値5)・対象に入る最大体積がスキルレベルによって変動)

【技】(テクニック)・【氷盾】、【氷槍】を取得。

Lv.2

【氷盾】、【氷槍】を統合し、【技】(テクニック)・【氷造形】を取得。

【派生才能】(アビリティ)・【冷気】、【氷盾展開】を取得。

Lv.3

同物体なら10個まで1対象として【凍結】の効果を発動できるようになる。

【技】(テクニック)・【氷操作】を取得。

【派生才能】(アビリティ)・【冷却物強化】を取得


【技】(テクニック)


【氷造形】

水を【凍結】で凍らせた場合、好きな形に加工することができる。

冷却時間:20秒

【氷操作】

水を【凍結】で凍らせた場合、自由に操ることができる。(操る場合の最大速度・最大距離・最大数はスキルレベルによって変動)

冷却時間:10秒


【派生才能】(アビリティ)


【冷気】

Lv.2(Max5) 任意発動

冷却時間:40秒(アビリティレベルによって変動)

周囲の全ての物体の温度を低下させる。(低下数・効果範囲・効果時間はアビリティレベルによって変動)

効果時間中は自身の冷却時間が3秒減少する。


【氷盾展開】

Lv.2(Max5) 自動発動

冷却時間:3秒(アビリティレベルによって変動)

自身が攻撃された際、氷による盾によって防御する。(強度・最大展開枚数はアビリティレベルによって変動)


【冷却物強化】

Lv.1(Max10) 常時発動

スキルにより対象が冷却された際、対象の強度を増加させる。(増加係数はアビリティレベルによって変動)

この効果は任意によって解除できる。



「相変わらずすごいな、これ」

バースは一通り見てから言う。

「そう?」

ファナリアは嬉しそうに笑った。

「まぁ、俺がおかしすぎるんだけどね」

バースは苦笑いしながら右手を振った。



1【生者の力】


ランクSS Lv.1(Max5) 任意発動

冷却時間:0秒


効果


Lv.1

【死者の国】でのみ発動可能。

自身が認識した対象の因果を逆転させる。(3回まで)(回数制限の最大数はスキルレベルによって変動)

回数制限は世界を移動したとき全回復する。



2.【乱数能力】


ランクF- Lv.7(Max10) 任意発動

冷却時間:効果時間終了より15分(スキルレベルによって変動)


効果


Lv.1

ランダムに能力が使用可能になる。

効果時間は30分。冷却時間は0.5秒。

Lv.2

能力ラインナップ追加

Lv.3

能力ラインナップ追加

Lv.4

能力ラインナップ追加

Lv.5

能力ラインナップ追加

Lv.6

能力ラインナップ追加

Lv.7

能力ラインナップ追加


「一つ目は使えないし、二つ目は微妙すぎる…………」

【死者の国】というのは死後の世界のことである。【生者の力】なのに死なないと使えないとはどういうことだ?

【乱数能力】は使い勝手が悪すぎる。たまに「頭から花が咲く」とか何に使うのかわからないやつになるし。いいところは冷却時間が0.5秒だということぐらいだ。


「まぁ、【才能】(スキル)関係なしのところに就職するからいいんだけどね。【モンスター】が出てきても街の中心部ならそうそう襲われることもないだろうし」

バースがそう言うと、ファナリアは少し申し訳なさそうな顔をして、

「大丈夫よ、いざというときは、その……私が守ってあげるから。」

「……。まぁ、その時は頼むよ」

女に守られるって……と地味に落ち込むバースだった。



--- - --- - ---



「じゃあ、また来週」

電車で25分ほど揺られ、バースの最寄り駅に到着。ファナリアはもう一つ先の駅である。

今日は金曜日なので明日と明後日は学校はない。

月曜から始めろよ、と思いつつバースは電車を降りて家への道を歩き出す。

バースは一人暮らしだ。父親は国軍の兵士で、母親は軍医であるため、ほとんど帰ってくることはない。

「あ、夕飯の野菜買っていかなきゃ」

帰り道の途中でスーパーによっていく。

「しばらく保つし、カレーを大量に作っておこうかな……」

年度の初めは何かと忙しい。まとめて作っておいたほうが楽だ。

そんなことを考えながら、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎと、野菜類をカゴに放り込んでいく。

肉類やカレールーは家に残っているはずだ。

「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

精算を終えて家へと歩き始める。家まであと15分くらいだ。



--- - --- - ---



-+*【ウロヴォルディア】への侵入を検知。対応プログラム起動。*+-


-+*エラー。プログラム停止を確認。対応策を検討中……。*+-


-+*迎撃システムs4:z(凍結)を起動準備。*+-


-+*抽出。運命変転。完了。システム起動開始。*+-


-+*システムの破壊を確認。さらなる対応策検討中……。*+-


-+*【ウロヴォルディア】への浸食率45%*+-


-+*迎撃システムped"#7katoを起動準備。*+-


-+*抽出……失敗。エラー。対応するプログラムが未完成です。*+-


-+*【ウロヴォルディア】への浸食率80%*+-


-+*特殊プログラム|k4l#9hc4c"4《能力創造》を起動。*+-


-+*許可コード……確認。起動。*+-


-+*迎撃システムped"#7katoを創造します。*+-


-+*創造完了。迎撃システムped"#7katoを起ど…………*+-


*+*+*+システム浸食完了。制御開始。+*+*+*


-+*迎撃システムped"#7katoを抽出。*+-


*+*+*+抽出物物体化……完了。創造主へ転送します。+*+*+*


*+*+*+システム完全浸食を開始。+*+*+*


*+*+*+完了。情報抽出を開始。同時に、同化処理・システムコントロールを行います。+*+*+*


-+*全情報開示要求。……許諾。転送開始*+-


*+*+*+転送完了。同化浸食完了。再起動します。*+*+*+


…………………………………………………………………………。


-*+*+再起動完了+*+*-


-+*+*今後【ウロヴォルディア】は【ヘイトス】によって制御されます。*+*+-



--- - --- - ---



「……!?」

一瞬立ちくらみがした。

なんだったのだろうか?


「……やぁ」

突然後ろで声がした。

「【種】がなかなか芽吹かないからね。見に来たんだよ。」

嬉しそうな声。だが振り返れない。動けない。

「と、思ったらなんか面白いことが始まってるし、もう芽吹きそうだね」

意味が分からない。【種】?芽吹く?面白いこと?

いや、それよりなんだこれは。なぜ動けない?

「ほら、始まった。」

バースに光が降り注ぐ。白く、黒く、色のない光が。

「また、面白いものを見つけた」

バースは自分の【運命】(ナニか)が捻じ曲がるのを感じた。

次の瞬間、バースの魂はこの世界から消えた。

魂を失った【肉体】(うつわ)だけが力なく倒れる。


もう、その家には誰もいなかった。



ただ、切り刻まれた野菜たちが転がっているだけである。

さぁ、なんかいろいろ出てきましたね(笑)


次回投稿は年末年始のため遅れると思います。

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