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雨の匂い
「ねぇ? あなたも?」
突然、雨の匂いがした。
会社からの帰り道、残業代も出ない。ブラック企業の権化とも言えるような会社に精神をすり減らし毎日二酸化炭素を吸っては吐く。そんな毎日の繰り返し。
こんな筈じゃなかった。なんてきっと数年後。僕は人に言うだろう。
真夜中の都会の光と藍色の空をふと見上げる。
コンビニのドアに反射した自分は、他人かと思う程、この日々にすり減らされたと言わんばかりに窶れていた。
なんの変化のない毎日が繰り返される、人生でn回目の、数えられないデジャヴュで溢れ返った夜に、
僕は出逢った。