身体性と精神性
「僕はずっと僕なのだろうか?」
と僕は呟いた。
「あ、サトルがまたわけわかんないこと呟きはじめた」
「え?だって気になるよね?」
と僕は美少女剣士のミカに問い掛ける。
「まぁ、気になるんだけど・・・言わなくてもわかると思うけど、私達いま戦闘中よね?『ブラックベア』と!」
とミカが言う。
「この状態のサトルに何かいっても無駄・・・」
と小さい魔法少女リンが言う。
「そうね・・・もう私達だけでやるしか・・・」
といつものように、もう一人の魔法少女のカナコも言う。
「いや、でもさ、どこからどこまでが僕なのか気になるよね?」
「どこからどこまでってどういうこと?サトルは一人しかいないじゃない?」
とミカが訊ねる。
「あ、ミカが食いついちゃった・・・」
と小さい魔法少女リンが呟く。
「これは止まらないわね・・・」
とカナコも言う。
「いや、だって子どもの時とは、もう考え方違うよね?いつから僕は今の僕になったのだろうか・・・」
と呟く。
「うーん?確かにそうね?でもそんなに昔と変わるかしら?」とミカが考えこむ。
「じゃぁ、逆に考えよう」
「逆?」
とミカが訊ねる。
「そう、次に考えたいのは身体性だ」
「身体性?」
「そう。例えば、身長が20センチ伸びたりとか、目がいきなり2.0になったりとか、そういうプラスのことがあったとしたら、精神に影響が出そうじゃない?」
「あー。力持ちだったら、人にやさしくできるとかそういうこと?」
とリンもミカも考えて答えた。
「そう。いまの自分の思考は、体とかなりつながっていると思うんだよね。男女でも違うだろうし、身長でも違うだろうし・・・」
「なるほど、ということは10年前の自分とは身長が二倍くらいになっているわけだから、精神も大きく変わるということね?」
と、ミカが答える。そう、彼女は実は頭が良いのだ。
「そう、逆に、この後は特に身長が伸びたりするわけじゃないから、ずっと同じ思考なのかもしれない・・・」
「なるほど、でも40歳すぎたら、腕が上がらなくなったりとかするから、また、かなり変わるかもしれないわよ?」
「そう、そこでロボット技術だよね!自分の体をサポートするマシンがあったら、子どもの時と同じ動きがずっと出来るかもしれない・・・そしたら、ずっと同じ精神を保てるのかも・・・」
と僕は言う。
「うん、おもしろいけど・・・『身体性が変わらなければ同じ精神を持てるのか』、と『身体性が変わると精神性が変わる』という話が、お互いにどのくらい影響するのかわかりづらいから、結構難しい話ね・・・」
とミカは言った。
「そう、1つずつ検証していかないといけない!」
と僕は言いながら、この世界最強の武器。
聖剣『アロンダイト』を振った。
その聖剣は光り出し、この世界最強の力を存分に発揮することになった。
ドカァァァァンという音と共に、『ブラックベア』を倒したのだった。
「そう、1つずつ検証していかないといけないんだ」
僕の思考と異世界の旅は続く。