人はどこからきて、どこに行くのか
「人はどこからきて、どこに行くのか」
と僕は呟いた。
「いきなり、重い!!」
と、隣にいた、美少女剣士のミカが僕に突っ込んだ。
「いや、だけど、気になるよね?我々はどこからきてどこに向かうのか、なんのために生きてるのか」
「うん、サトル!それはもちろん気になるんだけど、今はそれどころじゃないよね!?目の前のモンスター『ビッグタイガー』を倒さないと、全滅しちゃうよね?」
と、彼女は早口で子どもを諭すように言う。
「サトルのいつものが始まった」
と、小さい美少女魔法使いのリンが呟いた。
そう僕はこの世界に来てから、わりとずっとこの調子だったのだ。伝説の剣『アロンダイト』を持ち、モンスターを倒しつつ、美少女戦士達と旅を続けていた。
そして、僕は構わずに続きを考えていた。僕らはどこからきてどこに行くのかについて、だ。
「そして、ここは異世界だ。そもそも地球に生まれたのだってよくわからないのに、あろうことかここは異世界だ・・・僕は何のために生まれ・・・」
「のあぁぁぁぁぁ!」
と、僕が考えている間に攻撃してくる『ビックタイガー』。
美少女剣士のミカが飛び出して、『ビッグタイガー』の攻撃を防いだ。
「ありがとう」
と僕は素直にお礼を言った。
「ありがとうじゃないわよ!」
とミカは言う。
ミカのファインプレイにより、『ビックタイガー』と対峙してもいまのところ無傷だ。
「ありがとうじゃなくて、その無敵の聖剣『アロンダイト』で倒しなさいよ!」
「なるほど・・・そういう説もあるね・・・」
と僕は上の空で頷いた。
そう、人類はどこから来てどこに向かうのかを考えていたのだ。
「そういう説もあるわねじゃないわよ!!」
と、ミカのテンションは高まる。
「サトルくんがそういう状態になっちゃったら、もう無理ね!私たちでやりますか!」
と、もう一人の魔法使いカナコが笑っていった。
「いや、でも、もうすぐで何かかが掴めそうなんだ」
と、僕はさらに呟いた。
そう、そろそろ何かが分かりそうなのだ。
我々はどこから来てどこに向かうのか、そして僕は何故異世界にいるのか・・・。
そして・・・はっと気がついた。
これはそう簡単にわかることではないんだ!
「そうか、それを考えるために、僕は異世界に来たのかもしれない!」
と僕は口に出した。
「あ、サトルがやる気だした」
と、魔法使いの少女リンが笑う。
「やれやれ」
と、美少女剣士のミカが首をゆっくり横に振る。
「スイッチ入ったわね!」
と、もう一人の魔法使いカナコも笑った。
「じゃ、行きますか!」
と僕は聖剣『アロンダイト』を振った。
その聖剣は光り出し、この世界最強の力を存分に発揮することになった。
ドカァァァァンという音と共に、『ビッグタイガー』を倒したのだった。
「これから、人生について考えていこう。この異世界で!」
僕の思考と異世界の旅は続く。