cocotte
cocotte
【名詞】【可算名詞】
1ココット 《小型耐火なべ》.
2《古語》 高級売春婦.
【語源】
フランス語から
「・・・・・・ひろ?・・・弘?・か弘・・・。たかひろ・・・。」
ゆっくりと眼を覚ますと、そこは僕はベットの上だった。うつろな目を声する方に向けると、母がいた。昨日はあのまま帰宅したらしく、ご飯をも食べて、シャワーを少し長めにして寝たらしい。どうも、夢の中で僕は海を見ていたらしい。時計を差し出されて、見てみると出勤前の一時間前だった。
朝のご飯を何気に食べて、支度するだけして、後はただ時間になるまで仮眠をした。4時半を回ったころ、セットしてある携帯のアラームが鳴るのと同時に僕は玄関を飛び出した。
朝から、お客さんのご飯を製造している。どんなに美味しく作ろうと思っても、どこか気が遠くに行ってしまって上手くことが運ばなかったり、てこづったりと身が入っていかなかった。
そんな日でも、お客さんは絶えずやって来て、商品を見ては通り過ぎたり、またいつものを手にしたり…
そして、いつも幼い紺色の作業を着て金髪頭の、右ピアスの背の少し高い男性がお馴染みの商品だけを手にしてレジに並んだ。特別に好意などないのだが、ただ、どことなく漂うそこに隠された闇の深さだとか、振る舞いだとか…気になることが多く僕は見惚れていた。あの寝起きのまま来ているかのような無防備な跳ねた頭。毎日毎日、違うところを髪を跳ねらかさせて、買いに来る姿を見ていたら『今日は、どんな所にツノが?』だなんて笑えに励みになりかけている。
たまに、夜に見かけるけれど…その時はいつも忙しい。
女性よりもいい。じっと見つめても、イヤらしい眼だとか言われないから。むしろ女性に魅力感じるよりも、自分にない魅力を持っている男性を見ているほうが楽しい。落ち着く。だからなのかもしれない、男性が愛しいのは…そのためなのかもしれない。
ゆっくりと時間をかけて、自分を知っていけばいい。5年前の酷いキズたちも、時間をかけて消えていけばいい・・・そう思いたい。
僕がこの世に産まれたのは、誰かを困らせたいわけじゃない。
だけど、困らせているって知っているから。
でもね、僕はそれ以上なんていらないと願っている。
ねたんでいくけど、欲しくはない。
皆、『幸せであって欲しい』と。