#4 ジンジンさせちゃうよ
【怨霊成敗師】
弱み嫉み怨み辛み人間、誰しもが抱え込。その思いが主を亡くし怨霊となる。
その彷徨う怨霊を後世まで成敗し続けてきた。 云わば陰陽師が枝分かれした一族。その怨霊成敗師が、今この目の前にいる女の子だと?
想像していたのとはまるで違う。 俺はてっきり初老の様ないでたちで、神主の様な格好を想像していた。それが目の前にいるのは、今風の十六歳の女の子……こんな若年で怨霊成敗師とは家系なのか。
考え込んでいるとジンは立ち上がり、先ほどよりは落ち着いた様子で語り始めた。
「私は、怨抜刀十八代目怨霊成敗師の……」
そう言いかけた時、小鳩の奴が水を差してきた。
「ちょ! あなたもしかしてモデルやってるジンジンだよね?」
突然、何言い出すのやら……
ジンは、恥ずかしそうに小さな声で俯き答えた。
「そ、そうだけど?」
「でしょぉ ノーメイクだから気づかなかったけど、ずっと誰かに似てるなって思ってたのよ! やっぱそうだったんだ。有名人よ!しちみ知らないの?」
「ああ 全然知らねぇよ『あの状況でそんなつまらん事を考えてたのかコイツ』」
この空気の読めない女、少しイラっとしたが正直そんなことはどうでもいい。
昔から、少しミーハーなとこはある。ジンに近づいてはしゃいでいる阿 呆な女はほっといてジンがこの学校に来たってことは……
小鳩の持っているリボルバーにふと目がいく『あのリボルバーのせいか、それともあの時の蔵での出来事 』【Abuse Revolver】その銃と怨霊成敗師。これまで正直なにもわからないままで謎ばかり。
ジンはなにかを知ってるのかもしれない、少なくとも此処にいる意味は怨霊退治。
『…………』
しかし、これだけの情報では考えても結論は出ない、結局わかったことといえばジンが怨霊成敗師なだけだし考えるだけ無駄な気がした。
ほおって置いた小鳩の方を見るとジンは当然の如くミーハー女に質問攻めに遭っていた。
小鳩は、ジンの廻りをジロジロと舐める様に眺めている。
「へぇやっぱ、モデルしてるだけあって可愛い。肌とか綺麗だし顔も凄く整ってるよね」
その小鳩の行動を嫌そうに俯いているジン『…………』
「あ!そうだ、あのCMに一緒に出てるブサカワ犬の名前なんていうの?」
「え……バ……バックドロップ」
「ぶっ!!!あははははバックドロップって マジで!凄く凶暴そうな名前じゃん」
小鳩は、お腹を抱えて大笑いすると同時に、ジンの顔が段々と赤くなり怒りに満ちてくる。
「じゃあさ、あれやってよ。CMで言ってる台詞聞きたーい」
「えーと、今日もジン子が、みなさんをジンジンさせちゃうよ!ってやつ」
『おいおい、なんのCMだよ』
小鳩のその言葉でジンの怒りが頂点に達した。
「言わねぇよ!糞おしゃべり女!」
その瞬間、隣にいた小鳩が一瞬のうちに俺の腰から、またリボルバーを引き抜きジンの頭に突きつけ 同時に、ジンも腰に付けてある短刀を鞘から引き抜き小鳩の首へ刃を突きつける。
「先輩に、そんな口聞いてっと今度こそ、頭打ち抜くぞコノヤロウ」
「やってみろよ先輩」
一触即発に見えるが、あまりにも内容が、子供過ぎる。
「止めろ二人とも、小鳩、そのリボルバーは預かる。 ジンもだ、短刀をしまえ、また斬られるのは御免だ」 そう言って二人の間に入った俺は、小鳩から奪い取った、リボルバーを腰のホルスターに戻し、ジンは俺の言葉を聞いて素直に短刀を鞘にしまった。
どう見ても、納得してなさそうな顔の二人だが、両者を引き離し俺は溜息をつく。二人の争いがこの程度で済んだことは、よしとしよう。
―――だが、大きな問題が残る。
「誰が、この教室を片付けるんだぁぁぁぁ」
怨霊成敗師のジンジンですw
モデルもしてるということでモデルバージョンです。
普段は、モデルやってる16歳のジンちゃんでした。