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Abuse Revolver  作者: 鈴呂
一章 Abuse Revolver 
3/41

#3 怨霊成敗師

 ジンが、小鳩の持っているリボルバーを見て薄ら笑みを零す。

「そんな、骨董品のおもちゃで、私を倒せるとでも?」

 ジンの言う通り、このリボルバーは弾ですら不思議な物質でできている不可解な銃だ。『撃ったらどうなる』でも確実な俺の中の結論。


 ―――撃ってはいけない。


 しかし、小鳩の方へ目をやると、別人の様に微笑を浮かべ、リボルバーの照準をジンの額へと合わす。

「じゃあさ、試してやるよ。どうなるか……」

 辺りの空気が蠢きその瞬間、ジンの眼差しが変わる、短刀をクロスに構え、小鳩に向けて先ほどよりも殺気に溢れ、両腕を広げ回転しながら、小鳩の心臓めがけて疾走する。


 そう……『これが、俺なりの結論だ!』 ―――ズバッ!


 俺の結論は、小鳩を突き飛ばしジンの刃は、当然の如く俺の肩から腰までを斬り裂いた。 俺は小鳩の身代りになり夥しい血が飛沫、目の前は深紅に染まり意識が薄れていく。倒れ様に小鳩の方を向くと、突き飛ばされたままの姿勢で俺の倒れるのを目で追っていた。

「しち……み?…… あああああああああ!!!」リボルバーを握り締め激怒する。小鳩は、すぐさま立上り再び殺意を剝き出しにして銃口をジンへと向けた。


「ジン! お前ぇぇぇぇぇぇぇ」


 銃口を向けられた其の先……ジンは構えもせず立ち尽くし、下ろした両腕の短刀からは俺を斬った時に付着した血が刃をつたって滴り落ちていた。

 失望感と捉える。人を斬った後悔、そして未熟なジンの心に恐怖心が襲う。初めて人を斬った…………どうしていいかわからないといった感じだ。

 俺は身動き取れずに、渾身の力で小鳩に伝えた。

「う、撃つな……小鳩 ダメだ」

 この俺の言葉が小鳩の耳に届いた時には、小鳩がジンの上に馬乗りになり 襟を掴みジンの額に銃口を突きつけていた。

 目は開いている、しかしジンには恐らく衝きつけられている銃口は見えていない……既に、決着はついている。

「やめろ小鳩……」

 その言葉に正気を取り戻した小鳩は、掴んでいたジンの襟を放し立ち上がる。静寂が包む生徒会室、いつの間にか月明かりが窓から差し込む、何が見えるわけでもなく薄暗い教室に聴こえてくるのは風の音。その薄暗さに目が慣れてきた頃、其処に見えるのは短刀を離さず仰向けに横たわったままのジン、月明かりだけで薄暗く、その表情は伺えない。

 

 窓際で外を見ていた小鳩が、俺の方に振り向いた。

「そろそろ、起きれるだろ?しちみ」

 小鳩は、俺を抱え起こしジンの方を向いて呟いた。

「ジン、しちみなら大丈夫だよ。 暫くしたら傷治るから。安心しな、しちみってば化物みたいに治癒力凄いから」

 普通の人間ならとっくに死んでいるくらいかなり深く刃で斬られたはずだが、この時既に掠り傷にまで治っていた。

 化物か……確かに不死身では無いが、普通の人間からすると脅威的な回復力だ。しかし、それは代々から受け継ぐ、”呪われた”俺の家系の連鎖。

「てて、痛てえ 自己紹介が化物って……傷つくだろ小鳩……」

「傷つくっていうか、しっかり斬られてんじゃん」

「うっせぇ」

 突然、顔を背け小鳩の顔を見ると上目遣い、直ぐにわかる小鳩が言い難い事をいう顔。

「その…………有難う。しちみ」

 少し照れくさそうに言った。

 小鳩の奴が俺に対して『有難う』なんて言葉知ってるとは思わなかった、俺も少し吃驚した。横目で見ると、暫くしてジンは起き上がる。

 まだ、立てるほどの心の傷は、癒えて無い様だが、座ったまま蹲り何も言えない感じだった。

『複雑なんだろうな』

 事故とは言え俺を斬り、そしてこうして生きている。後悔と驚愕。その二つが、一度に訪れ今は何も言えない、そう、言葉に出来ない。小鳩は、立ち上りジンの方へと歩いて行き、坐ったままのジンに手を差し伸べた。

「ほら、ジン立てる?」

 その行動に、ジンは唖然とした表情で小鳩を見る。

「な、なんなの? あんたたち……」

 俺と小鳩は、顔を見合し小鳩がジンへ「それはこっちの台詞でしょ。まずは、あなたが何者で何故、私に殺意があったのか、それを言うのが道理ってものでしょ?」小鳩の質問にジンは俯き答える。

 

「私は怨霊成敗師」


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