二回目 受験
6年生というのは、早いものでもう、受験1か月を切った。
僕は母と妹と一緒に勉学の神様が祀られている上野の神社に行った。
受験シーズン直前ということもあり、神社は多くの受験生と親御さんで賑わっていた。僕たちは、昼の2時頃
に行ったのだが、約30分程並んで、ようやく鳥居をくぐることができたが、拝殿までの参道もまた同じ時間並ぶのだろうと、思っていたが、そんなことはなく、約10分程度で賽銭箱の前に立つことができた。
僕は500円を賽銭箱の中に投げ入れて、お辞儀を二回して
「パン。パン。」
と二回拍手をした。
そして(都立嶺ヶ丘高等学校附属嶺ヶ丘中学校に受かりますように)と学問の神様にお願いした。
無事お参りが終わった後、記念として全員でおみくじを引くことになった。
僕は小吉で、妹は中吉、母は大吉だった。
凶じゃないだけいいと思うべきなのだろうか。なんとも言い難い結果だった。
ついでと言ってはなんだが、梅の模様に合格祈願と書かれたお守りを母が買ってくれた。
鳥居をくぐる前に、頭を撫でると撫でた人の頭が良くなると言われている牛の頭を撫でた。
そして、いざ神社を去ろうとした時に、凛と凛の母に偶然会った。
母と凛の母は、入学式の後から定期的に一緒に出掛けるほど仲が良かった。
母と凛の母はいつものように全く終わらなそうな話をしていると、
凛は僕の袖を引っ張って人混みの少ない場所に行くと、
「ねぇ、晃誠、本当に受験しちゃうの。地元の中学校に行かないの。」
そう言われた僕は少し戸惑っって言った。
「そう。受験をするために塾に4年から入れてもらったんだし、今更受験をしないとは言えないよ。」
「そう。そうだよね。」
凛は寂しそうな顔を少し見せたと思えが、すぐに明るくなって、
「頑張ってね。晃誠ならきっと受かるって!」
そう言って凛は帰っていった。
それから1か月後、都立入試当日になった。
僕は、両親と一緒に嶺ヶ丘中に向けて出発しようとした時に。
「おはよう!」
と聞き慣れた声がした。
「おはよう。今日は早いね。」
「毎日遅いってわけ?」
僕は彼女の逆鱗に触れたかと思ったが、彼女は
「はい。」
と手作りのようなミニマムな巾着袋のようなものをくれた。
「これ、お守り。受験頑張ってね。」
「あ、ありがとう。
緊張が走っている朝が和んだ一瞬だった。
「ありがとうね、凛ちゃん」
「いえいえ〜それじゃあお邪魔いたしました!」
彼女はそう言って白い息を吐きながら、マフラーをたなびかせるようにして、帰っていった。
僕たちも凛の後を追うように出発した。
最寄りの駅に着いて、プラットフォームの上にいると、神社と同じ光景が広がっていた。
この光景を見て僕は少し足が竦んだ。
その様子に両親が気づいてくれたのだろうか、ぎゅっと手を握ってくれた。
総武線が警笛を鳴り響かせて、やってきた。いざ電車に乗ると
窓から見える景色に僕は呆然としていた。
これが受験前に見る最後の駅なのだなと刹那を悲嘆に暮れいた。
電車はだんだんと加速して行って、あっという間に嶺ヶ丘高校の最寄りの駅に着いた。
電車から降りて、約10分歩くと、良い意味で歴史が深く、悪い意味でボロい校舎が、交差点の向かいに見えてきたのと同時に多くの受験生が「入学者選抜検査会場」と書かれた看板を横目に校門を通り去っていくのが見えた。
僕も、ここで両親に激励されて、前に続くように校門をくぐった。
受験票を確認して、指定された教室に向かうと、そこには川崎さんの顔が見えた。
僕はてっきり、嶺ヶ丘中ではなく、川崎さんは都立御三家のトップ、大住中を受験すると思っていたから、驚いた。
試験監督官の先生が入ってきて、諸注意など淡々と喋っていると、試験開始時間10分前になって、
適正検査Iと書かれた問題冊子を配り出した。
適正検査Ⅰは、簡単にいうと国語の問題だ。僕は文系科目よりも理系科目ができたので、国語に対しては苦手意識があった。
「キンコーンカンコーン」と小学校のチャイムよりも一回り大きいチャイムが流れた。
僕の受験戦争が始まった。




