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二回目 本気

 そして、僕達は4年生になった。

 僕達は中学受験をするために、KSD塾に入った。

 この塾は、多くのTOP中学校に進学する生徒を輩出している、俗に言う超進学塾だ。

 塾初日目、僕はとても萎縮していた。

 周りの見渡すと、どの子からも溢れんばかりの知が滲み出ていた。

 なんとも居心が悪い教室だと内心思っていた。

 僕が席に座ると、隣に座っていたメガネを掛けたいかにもな女子がいきなり声をかけてきた。

「君、入塾テスト何点だった?、私は300点中280点!」

「僕は、159点、、、。」

「まじ、それでこの塾入ってこれたんだ。」

 僕の点数を知ったからなのだろうか。

 教室がザワザワし始めた。

 僕は、初日から塾を辞めたくなった。

 チャイムが鳴り、大学生ぐらいに見える先生がドアを思いっきり開けて入ってきて、大きなフォルダーファイルをバンと教卓に叩きつけた。

「それでは、授業を始めます。今日は新入生がいるのでまず自己紹介したいと思います。

 私の名前は、菅田 幸一(すがた こういち)です。主に国語と社会を教えています。

 どうぞよろしくお願いします。」

「では、今日は、新塾生も来ているので、隣の席の人とペアになって、都道府県ゲームをしましょう!」

「先生!私この子とやりたくないです!」

「え」

 僕は、思わず声が出た。

「川崎さん、それはなぜですか。」

 先生が川崎さんに聞く。少しの間も開けずに

「だって、入塾テスト159点って。猿でも取れますよ笑。」

 と言って憎たらしく笑った。

 それに同調して他の生徒までも笑い始めた。

「こらっ」

 と先生が怒った。

「川崎 名李さん、確かにあなたはこのKSD塾で1位の成績を収めていますが、それが他の生徒を馬鹿にしていい理由にはならない。他の生徒も、梅原くんを馬鹿にして笑うのは今後一切許しません、そのようなことがあったり親御さんや学校に連絡するので心に留めなさい。」

 この塾で僕の唯一の心の拠り所はこの先生だけだ。そう思った。

 都道府県ゲームでは僕は1ポイント、川崎さんが46ポイントで、僕が大敗した。

 正解したのは、滋賀の特産品の問題だけだった。

 僕が問題で正解した時、川崎さんは僕を睨みつけるように見てきた。

 授業を終えて、さっきの塾の先生に僕1人呼び止められた。

「梅原くん、ごめんね、初回の授業であんな目に合わせてしまって、、、」

「先生、謝らないでくださいよ、逆に感謝したいしたぐらいですよ。」

「いやいや、僕は教師として、当たり前のことをやっただけさ。

 君の入塾テストの点数は確かに芳しくない、しかし、それを他人に馬鹿にされる

 筋はない。

 どうかこのことで落ち込んだりしないで。

 それと、今日のことは、川崎さんと君の親に連絡したよ。

 君の両親と川崎さんの親とで反応が真逆だった。

 だから、川崎さんもなるべくしてあの考え方になってしまったのだと思う。

 別に彼女のことを許さなくてもいいから、理解してほしいんだ。」

「わかりました。」

「ごめんね、こんな遅く残らせてしまって。」

「全然平気です。」

 僕はそう言って家に帰った。

 家に着くと母は涙を目に溜めて、僕のことをギュッと抱きしめた。

「ごめんね、辛い思いをさせちゃって、、、。」

「大丈夫、大丈夫だから!」

 僕はそう言って、母の熱い抱擁を掻い潜った。

 少しの時間が経って、母の落ち着きを取り戻してきた。

 そして

「晃、塾を辞める?」

 と切り出してきた

 僕は決めていたことをありのまま口にした。

「辞めない、ここで辞めたら山崎さんに負けっぱなしになるから」

「わかった。あなたがそれでいいのなら。」

 と母は言った。


 次の日、いつものように凛が家に来ると、真剣な表情で言った。

「櫻木、僕勝ちたいんだ。」

 凛は口を開けたまま唖然としていた。

「晃誠、私の聞き間違えじゃないかな、今、櫻木って言った?」

「あ」

 僕はまた声が出てしまった。

「今まで君って呼ばれたのが今となっては櫻木と呼ばれるようになったのか・・・。」

「ごめん。」

「いや、嬉しい、嬉しいよ。本当に。櫻木って呼んでくれて。」

 一拍置いて櫻木は続けた。

「で、何に勝ちたいの?」

「塾の女王様に。」

「塾の女王様?何それ?」

「塾で成績が1位の子。」

「ふーん、いいと思うよ。」

「私、馬鹿だからわからないけど、晃誠がやりたいことをやればいいと思う!」

「ありがとう。」

 そう言ってると、登校班の集合場所につき学校に向かった。


 僕は1年から担任の水橋先生に相談することにした。

 僕は朝、凛に相談したことをそのまま水橋先生に相談した。

 水橋先生は困ったような顔をして考えていると、突然顔が明るくなった。

「正直、算数と国語で勝つのは今の梅原くんには、難しいけど、他の科目は勝てる可能性はあるよ。」

「他の科目って?」

「理科と社会!

 梅原くんの今までの成績を見ると、どれもバランスよく取れているけど、突出した教科があまりない。

 だから、作るんだ。そうすれば国語、算数では負けてしまうかもしれないけど、他二教科で勝てる。でも二教科だけに集中するのは良くないから、国語も算数も今までよりも多く勉強するように!応援しているよ!」

「ありがとうございます。」

 僕は塾も学校も本当に良い先生たちに巡り会えたのだと思う。


 そして、学校が終わり塾の自習室に行くと、壁にかけてあるカレンダーに

「5/28 学力判定テスト5月」

 と濃い赤い字で囲まれていた。

 僕はここで川崎さんに勝つと決心した。


そう決めて僕は水橋先生に言われる通りに理科と社会を中心に勉強した。

学校が終わっては塾の自習室、塾が始まる2時間前には必ずいるようにした。

そして、いよいよテスト本番の日になった。





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