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用語集その2

本文書は情報素魔術入門の翻訳文ではない。

本文書は安全規定機構特別措置第13号により、簡易審査によって公開が許可されている。

本文書は管理対象外文書として改変対策のみが施され、監視は行わないこととする。


安全規定機構規則64条における情報開示

原書名 情報素魔術入門に関連する付随文書

原書著者 城島なざら

原書形式 魔術書でない文書

原書言語 日本語【EA-1】

原書同一性検定 パーソンズ検定

原書有害性検定 イェイリ・ノックス法

安全管理基準 管理対象外

例によって規制継続中です。(先方からご連絡いただきましたが、てんやわんやな状況のようです)

『情報素魔術入門』の文書中説明がなされない、固有名詞等の用語について用語集を作成しました。

今回は前書き、目次、ハバルの章からの用語についてです。


.指定魔術師

魔術師のうち、安全な管理が必要と考えられる魔術を行うことが可能であるもの。民間術である魔術やマジック・スピリチュアルといったような”種のある”オカルト、あるいはそれと魔術の境界にあるものは指定魔術ではないため、その行使者もこの指定には含まれない。


.米国土安全保障省対MA防衛プログラム

米国の対国家間、あるいはテロリズム等の大規模魔術戦に対する対策を行う国土安全保障省の組織。陸軍に属していた米国魔術局から純粋な軍事力としての側面を弱め、魔術防衛のための準備を行うことを目的としている。


.アトニア評議会

『魔術師の国連』ともよばれる、国家間の魔術に関する外交と議会の場。表に出ることはないので国際組織ではないが、準ずるものとして各国では扱われる。


.パーソンズ検定

翻訳が『魔術的に』原書と同等であるか確認する検定法。有害であるなしにかかわらず、魔術的影響を識別し、同一であるか確認する。

そのため文章的に同一であるかは完全には確認しないが、ある程度の一致は保証される。


.イェイリ・ノックス法、テイラー法

どちらも有害性検定。前者は魔術師、後者は一般人に対する有害性を計測する。

影響推定は影響の大きさ、同一性検定は影響の種類、有害性検定は有害な影響の測定と目的が異なる。


.N1安全規定

安全規定の中でも最高レベルの安全水準。つまり、安全文相当の魔術的安全性と、魔術の本質に対する社会からの影響が無視できる水準となっている必要がある。


.ノヴァク・ニコリッチ

近代西洋魔術における権威のひとり。「近代魔術総論」に代表されるように、複雑化した近代魔術に対する整理を行い、体系化した。

また、魔術の安全な実行に対して理論を構築し、魔法陣、魔術円や呪文が意図しない効果を生じた際に安全に停止させる「反文機構」、出力を安定させる「循環詠唱」、高速に展開可能で、かつ強力な防御円である「完全円」など、今日の魔術安全の基礎となる技術を築き上げた。

民間術である儀式魔術(黄金の夜明け等)の魔術解釈をある程度評価していた一方で、その安全性に懸念を抱き、『安全性が担保されていない魔術に対する警告』を執筆した。

軍事的にも強力な魔術師であったが、出身であるユーゴズラビア軍やそれに属する魔術組織とは距離をとっていた一方で、民間人への魔術危害に対する救護活動を行い、魔術師が属する各宗教系において聖人、またはそれに準ずる評価を授けられた。

安全規定機構のシンボルは彼が用いた「天輪の杖」が描かれている。


.工藤兼良

陰陽道を基礎とした魔術の大家である工藤家の17代目頭首であり、日本の魔術に加え、中国、インド、東南アジア、アラブ諸国の一部の魔術を整理し、自身の魔術理論に組み込んだ。

自身の魔術としては大成しなかったものの、18代目の工藤蔵兼やその弟子で異術局初代局長の遠馬時国が引き継いで完成し、国家魔術として日本の魔術力向上に大きく貢献した。

「近代東洋の魔術体系」は、彼が魔術構築の際に残した記録をまとめ上げたものである。


.フーベルト・フォッカー

「現代の全魔術」を執筆した魔術師。

ルドルフ2世の蔵書として本が見つかったのみで、魔術師の経歴や逸話等、素性を示す記録が存在しない。(おそらく宮廷魔術師のひとりと考えられている)

現代とは、16世紀末頃を指しており、近代以前の魔術理論がかなりの割合でまとめられており、以降しばらくの期間において、西洋の魔術師はこの本の影響下にあったといっても過言ではない。


.モンドリアス

13世紀ローマに現れた、複数の魔術を自在に使いこなした伝説上の魔術師、ではなく、その名を借りた複数名の魔術師の集団を本書では指している。

「新時代の魔術の探求」は19世紀末から20世紀の頭までの魔術をまとめたものであるが、戦争の時代であり、魔術の軍事性の強い時代において、これらの情報は機密に関わるものであり、名前を公開することが問題であるためである。

特に第二次世界大戦期のヨーロッパにおいて、大規模な魔術戦が起こらなかった要因の一つに本書がヨーロッパ中の魔術師にばら撒かれたことも大きく、これは一部の魔術師優性主義者が国家間の戦争で魔術師の消耗を抑止するために戦力均衡を試みたためと言われている。


.目次隠蔽

文書を隠蔽する魔術群によって。目次を隠蔽することで、特に全体の構成がある種の世界となり魔術性をなす場合などに効果を発揮する、単独の危険な章を容易に読めなくするなどの効果がある。

が、現代においては、たとえ安全文であっても施されることが多い。これは独学で魔術を学ぶ人間(あるいは未学習者)がかいつまんで解釈するのを抑止するためである(特に師を持たない魔術師は切羽詰まっていることが多く、軽はずみな行動をとりがちである)。

-アグリッパ式隠蔽

もっとも簡便な隠蔽魔術。”魔力”(≒情報素子)の取り扱いができるのであれば問題なく見ることができる。魔術の安全規制の水準の問題で、どのような魔術関連書であってもアグリッパ式隠蔽はとりあえず施される。

ただし、文字列で行われる魔術ではないため、テキストのみになりうるweb媒体(リーダー機能等)とは相性が悪い。インターネット黎明期にアスキーアートを用いた方式の開発が検討されたこともあったが、魔術師にインターネットが流行らなかったのもあり、開発はされなかった。(インターネットを用いた交流は一方的な魔術攻撃のリスクを伴うこともあり、好まない魔術師が多い)

本サイト上の目次には当然使えないため代替として安倍・国見法を用いています。


.イブン・イサーム

イスラム教カムラ派の錬金術師。物体を燃焼した際に生じる灰に着目し、万物を構成するのは”生きた灰”であり、その配置を整えることで万物を生じると考えた、とされる。また、死んだ灰、つまり灰はその力を失ったものであり、空気も飛散する灰と同一視され、つまり、物体ではない"非存在"と定義される。この定義において錬金術の手順を哲学的(あるいは魔術的)に捉え直したとも言える。

ただ、カムラ派やイブン・イサーム当人の記録が『物体の性質と根源』にしか出てこない、類似した理論がイスラム錬金術に存在する、フベルト・ハーイェクが嘘をつきすぎて処刑された記録があるなど、真偽がはっきりとせず、『物体の性質と根源』が現代に残っていないため検証が困難である。


.フベルト・ハーイェク

歴史上、著名な魔術師のフベルト・ハーイェクは2名存在し、1名は16世紀、ルドルフ2世の元にいた宮廷魔術師であり、もう1名は、19世紀から20世紀に活躍した微細子論に基づく錬金魔術師で、偉大なる魔術師グラントの師であるその人を指す。

前者は確かに魔術を行使できたが、それ以上に詐称やまやかし、精神のコントロールに長けていたとされ、度の過ぎた行為が逆鱗にふれ、ルドルフ2世の命令によって処刑されたとされている。

後者は、前者の系譜に属する魔術師であり、名を借りることでその能力を高めていると本人が言及したことをグラントの日誌にて明かしているが、同時にグラントが弟子入りしてから死没するまでのあいだ、ほぼ同じ老人の姿であったといい、錬金術の目標の一つが不老不死であることを鑑みると、実は同一人物であったのではないかと言われている。

1960年以降、行方不明者となっている。


.トンマーゾ・タヴィアーニ

ヘルメス派の近代西洋魔術団体「ヘルメス・アカデミー」の長であった魔術師。その理論である「極源による多元魔術」は近代西洋魔術の三大流派と呼ばれたほどである。

もう一つの三大流派の情報素子魔術と同様、限られた組織の内部でのみ継承されていた理論であるが、それでも『三大』と呼ばれるのは、ひとえに、ヘルメス・アカデミーの後継組織が複数存在し、また魔術師の"素質"がある人間の積極的なスカウトがあったからである。

トンマーゾ自身については当時のヘルメス・アカデミーが小さな組織であり情報を秘匿したためよくわかっていないが、残りの三大流派であるイギリス系民間術(いわゆる黄金系の一部)に対しても関与し、内容の一部をコントロールしていた可能性が指摘されている。


.ターリヴ・タンターイ

神学者、魔術師と書かれているが、哲学者の性質がもっとも近いと思われる。魔術の行使は本人の日誌に記録が残るが、とは言え完全に理論化される前の時代であり、書かれた方法も不明瞭であるため、実際に魔術が使えたのかは不明である。

用いた魔術は想起を理論元として、非存在に想起を与えることで呼び出すもの。ただ、神や怪物などの超常存在ではなく、さまざまな動物を呼び出していたと記録が残る。

とはいえ、シャーマニズム的な儀式から離脱した"魔術"の先駆けとも言え、その点においてはもっとも古い魔術師とも言える。

-タンターイの弟子シャウイー

ターリヴ・タンターイの直接の弟子であり、同様に日誌の形で記録が残る。師の扱う範囲が存在に限られていることを指摘し、概念・思想への適用を提唱している。

ただ、当人の魔術は師と同様、動物の呼び出しの記録のみとなっている。


.偉大なる魔術師グラント

米国魔術局とその前身である米国陸軍対魔術準備室に所属した軍事魔術師であり、創設メンバーでもある。

魔術のシステム化、つまり制御できる魔術を求めた米軍の要求を受け、当初は偶発性の排除された技術の確立を研究していたが、魔術そのものの理論再構築が必要だと考え、師フベルトからの助言や膨大な魔術情報の整理によって情報素子論とその利用による魔術を生み出した。

魔術戦にも優れ、二度の世界大戦でも従軍し、大規模戦こそなかったものの少なくない戦果をあげている。その後も米国の魔術戦に参戦しつづけ、ベルメハ島の戦いにて戦死した。

『偉大なる魔術師』は死後に米国からグラントに与えられた称号であり、邪視対策の文脈もあって、米国以外でもその名で呼ばれる。

生前はフベルトの弟子グラントを名乗っており、邪視対策の観点もあって、正式な場ではその名で呼ばれていた。(通常はただグラントと呼ばれた)

グラントの名前は本人を示す真の名前のうちの邪視対策が組み込まれていない部分というだけで、姓名のどちらでもない。


.邪視

他者を”見る”ことによって他者を呪う技術。あるいはより発展・複合して、他者を観測することをトリガーとする魔術系を指す。

当然人の姿だけでなく、人と一対一対応するものであれば良いので、名前も対象である。

これは習俗的には実名敬避俗の一種とも言えなくもないが、魔術における名前への邪視は、攻撃対象の情報量を自己(攻撃者)の中で集積する、ある種の精神統一的な行為のトリガーであり、名を呼ぶことによる他者への干渉であるそれとは明確に区別される。

もっとも現代(あるいは近代でも)魔術師が行う技術としては効果的・効率的ではなく、もっぱら習俗から偶発的に生じる魔術事故であることがほとんどである。

-邪視対策

邪視は観測がトリガーとなるので、観測に対する妨害か、観測に対する反撃を行うこととなる。

直接見る邪視に対する対策は目を表したものを身につける(反撃)、性器を模ったものを身につける(妨害)。名前の邪視は忌み名のような違う名を記すことで妨害を行うのが一般的だが、一部地域では攻撃性のある呪文を名前に組み込むことで反撃を行うことがあり、グラントもそのような仕掛けが施されている。


.クライツの情報素子分析

情報素子はそれ自体を観測することができる性質のものではなく、情報素子魔術を構築する上では情報素子を扱わなくてはならない以上、何らかの形で計測できなければ魔術として扱えなかった。

クライツはある一つの情報に対応する情報素子(群)の相対的な大きさを、影響、すなわち情報素子間力の大きさで計測することでこれを解決することを考え、情報素子間力を情報素子の影響範囲と、影響強度、影響時間の3尺度を元に定義した。

これは後のトーマス法やウォーカー法などの情報素子量の定量化の土台となった。


.ノーマンの情報素子保存則

情報素子は変化、消失することはなく一定に保存されるという基本原則。情報素子魔術というのはつまり情報素子自体をどうこうしている訳ではなく、情報素子の見え方を変化させる方法論であり、また他の科学技術等を引っくるめて、世界の本質そのものを操作することはできないということである。

魔術論に大きなインパクトを与えた。魔術の大いなる関心ごとのひとつに、世界の不可逆的な改変の阻害がある。魔術において、ある目的のために非科学・技術的な改変を行う。この改変を元に戻す際、魔術師は清浄化のような修正、訂正の魔術等で元に戻す。

ただこういった魔術は消しゴムのようなもので、消失するような改変を行なった場合、元に戻すことはできない。

情報素子保存則は、この消失において、見かけ上の消失(観測できなくなること)があっても、完全に消え去ることは起こらないことを示しており、この分野の魔術師にとって支えとなる大きな希望になった。

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