第3話 マジか…。
お待たせ致しました…!
3話の投稿です!お楽しみください!
「僕、チャリ通だよ?」
小沙魚はキョトンとした顔で私を見る。
「え、いやいやさすがに…」
苦笑いを浮かべながら軽く否定する。徒歩でも2時間ほどかかる道のりを毎日自転車で通学しているなんて冗談だと思った。
「ほんとだって〜!全く、鮫ちゃんはもっと僕のこと信用して欲しいよ。」
「ご、ごめん…」
そう言って理科室を出て鍵を閉め、駐輪場の方へと向かう。私はその後ろを黙って着いていくだけだった。
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小沙魚は自分の自転車に跨り、先に学校を出た私の元へとやってきた。
「鮫ちゃん歩きで帰るの?」
「それしかないからね。」
スマホのマップを自宅に設定して再び歩き出した。現在時刻は18:20、自宅に着くのは21時前になってしまう。小さくため息をついてながらスマホをしながら慣れない道のりを進んでいると、
「鮫ちゃ〜ん!そっち遠回りだよ〜!」
自転車に乗ってついてきていた小沙魚が後ろから話しかけた。
「えっ、だってマップではこっちって…」
「ん、あぁマップじゃ毎回そうなるんだけど、抜け道いっぱいあってそこ使えば10分は早く着くよ。じゃ、僕の知ってる近道を教えてしんぜよう!」
そういうと早速というもの、マップでは直進と表示されているところを左の小道に曲がり、手招きして先を進んだ。
「ま、待って…!」
「はやくはやく〜」
───数分後───
「ごめん鮫ちゃん迷っちゃった。」
「えっ!?」
「てへ!」
「てへじゃないよ…もう…」
私はまた小さくため息をついて再び現在地からマップを設定して歩き始めた。
ヘラヘラしながら自転車を押して後ろをついてくる小沙魚にペースを呑まれながらも残り30分ほどで自宅に着くところまできた。
「鮫ちゃん。どうしても部活入ってくれないかな?」
「そう…だね、今日みたいに帰りも遅くなっちゃうし、何より興味ないし…。」
そっか、と小沙魚は少し声色を暗く変えて返事をした。
「諦めた方がいいのかもね…。今時こんなことに興味持ってるのも、僕くらいだし…。」
「鳴海さん…?」
彼女の目には、街灯の光に照らされた雫が溜まっていた。
「ここまっすぐ行けばお家着くと思うから、気をつけてね。」
会ったばかりでもわかるような下手な作り笑顔を浮かべ、小沙魚は自転車に跨りペダルを踏み込んだ。涙を見せぬように私と顔を合わせなくなった。少しの沈黙が続いた後、バイバイと前を向いたまま手を上げて自転車を漕いで薄暗い中に照らされた後輪の赤い反射板だけが私の目には映っていた。
(私以外でも興味を持ってくれる人はいる。大丈夫。)
歩き出す。
(…なにが大丈夫なんだろう。鳴海さんは私に入って欲しかったのに、私は他人に流して知らんフリして……)
「鳴海さん!」
声が届き、小沙魚は涙を拭って振り返る。走る私を待っている。
「鮫ちゃ…鮫飼さん、どうしたの?」
「……こ…、小沙魚!」
「ひゃ、ひゃい!」
急に下の名前で呼ばれた小沙魚はびっくりして涙が引っ込んだ。
私は少し間を空けてからこう言い放った。
「ま、まずは…体験入部からだからね…。」
人にこんなに強く抱きしめられたのは初めてだった。
「ねぇ、小沙魚。」
「は、はい…。」
「家…隣同士…だったんだね…。」
「そ、そだね…。鮫ちゃん…。」
「「これから、よろしくお願いします。」」
いやぁ…投稿が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした……。
実は同時進行でとある物語を執筆しているところでして…お話の設定がまとまり切らずにズルズルと…
というのが理由でございます…w
今後もこんなことがあることでしょう…。温かい目で見守っていただけると幸いです。
これからもよろしくお願い致します^^