元兄妹な夫婦【ジェフリー視点】
ジェフリーとシトラが結婚した世界線です。
5/2 加筆しました。とある言葉を言わせるの忘れてました。
俺が4歳の時、父が突然女の子を連れてきた。
この国では珍しい容姿の、可愛い女の子。
その子はひどく周りに怯えていて、父の後ろに隠れていた。
その女の子は、俺と目が合うと、こぼれ落ちそうな位の目をさらに大きくさせた。……何故か分からないが、俺はその時、女の子に手を差し伸べた。
女の子は、恐る恐る俺の手に触れて……そして俺だけに顔を綻ばせた。
「思えば、あの時からお前の事が好きだったんだろう」
俺は自分の執務室で、書類を見ながらそう呟く。
それに反応するように、目の前の頭が大きく揺れる。そしてその頭の持ち主は、後ろにいる俺に向かって、顔を赤くしながら口を開く。
「お兄様……」
「ジェフリー」
「ジェ、ジェフリー………あの、何故私は、ここにいるんですか?」
ここ、と言うのは恐らく、俺の膝の上の事だろう。……俺は今、彼女を膝の上に乗せながら、公爵家の仕事をしている。それが恥ずかしいのか、何度か離れようとした彼女を、空いた腕を使って後ろから捕まえている。先ほどようやく観念したのか、大人しく座っているが。
「俺がお前とひと時も、離れたくないからだ」
「いやいやいや!?それで通用すると!?見てくださいよ周りの使用人!物凄い気まずそうじゃないですか!!」
「次期公爵夫人が、他人の目線を気にするんじゃない」
「うわ!私の所為にしてきた!!」
彼女が叫び暴れ始めてきたので、俺は部屋にいた使用人達を追い払う。使用人達はどこかほっとしたような表情をしながら部屋から出ていく。
俺は書類を机の上に置き、空いた両手で彼女を後ろから強く抱きしめる。流石に男の力には負けるのか、彼女は暴れようにも出来ずに、次第に顔を膨らませて大人しくなる。……その姿が、どうしようもなく愛おしい。俺は彼女の髪に顔を擦り付け、熱のこもった息を吐く。
「シトラ、こっち向いて」
自分でも、恥ずかしくなる位の甘い声を出して、彼女に声をかけるが無視をされる。だが後ろからでも見える耳が、赤く染まっているのが丸見えだ。俺は顔を近づけ、その可愛い耳に齧り付く。
「うぎゃ!?」
全く色気もない声を出しながら、ようやく彼女はこちらに振り向く。……思った通りの、真っ赤な可愛い表情に、俺は顔を近づけたまま笑う。
「シトラ、昨日の夜みたいに、俺に口付けして?」
「な!?なっ、な、何を」
「沢山してくれたじゃないか」
彼女は顔を更に赤くしながら、どうにか離れようと再び動き始めたが、それを抑えて俺から口付けをする。……自分は本当に、この婚姻で馬鹿になったかもしれない。そうつくづく感じている。
長い口付けの後、唇を離すと彼女は顔を下に向けたまま動かない。……流石にからかい過ぎたかと心配になり、声をかけようとするが、その前に彼女の方が顔を上げて、潤んだ目で睨みながら口を開く。
「今日の仕事……ちゃんと、終わらせたら………たくさん、しますから」
「………………」
「だから……今は、しません」
「………………」
俺は大きくため息を吐きながら、自分の顔に手を当てる。目の前の可愛すぎる生物は、心配そうに俺を見つめるが、そんな生物を俺は抱き上げ、机の前のソファに座らせる。
そのまま俺は机に戻り、先ほどの書類を鋭く見つめる。……生物、というか妻は呆然と見ている。そんな妻に俺は、目線を合わせずに声をかける。
「今の言葉、後悔させてやるからな」
その言葉に、最愛の妻は顔を真っ青にさせて固まった。
そして夜までかかるであろう仕事を、昼過ぎに終了させた小公爵は
そのまま妻を抱きかかえて、翌朝まで寝室から出る事はなかった。
その姿を見た使用人達は、皆大きなため息をこぼす。
「奥様、旦那様の火つけ過ぎじゃないですか?」
「もう炎だろあれは、どんだけ寝室篭るんだよ」
「自分が旦那の欲求刺激させてるの、気づかないのかなぁ」
「鈍感だからな〜奥様は」
「いい人なんだけどな〜奥様」
「でも自業自得だよな〜」
寝室のベッドに兄に放り投げられ、私は昨日の夜を思い出して、恥ずかしさと恐怖で震える。
「ジェ、ジェフリー!!!で、出来れば、出来ればお手柔らかに!!!」
困る、流石に昨日の様にされてしまったら、今度こそ立ち上がれなくなる!!……そんな私を愛おしそうに見ながら、ジェフリーはネクタイを緩め私に覆いかぶさる。
そして、熱い息を吐きながら、恍惚とした表情を向ける。
「シトラ、愛してる」
…………あー、明日の私大丈夫かな〜。
遅くなりましたが、ブックマーク有難うございます!心のオアシスになっています。