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神託と序章
終焉の序章。
勇ましき魂は八翼。
一翼、其は剣にして昼。
曇天を切り裂く光の刃は翼の一族に連なる金春色の乙女なり。
二翼、其は盾にして夜。
月は鉄壁の守護。一翼と対成す白銀の者である。
三翼、其は獣にして幕。
戦より生まれ落ちし緞帳。その双眼は舞台上より終焉を見守る。
四翼、其は秘薬にして万能。
万物の生と死の天秤の均衡を保つ、外界からの使者である。
五翼、其は至宝にして叡智。
森羅万象を知る精霊の送り火は焔を巻き上げ、深き闇を食い尽くす。
六翼、其は隠者にして伝令。
聖なる祈りを捧げる浄らなる乙女は昼と夜の狭間で千里を見据え、民を救う。
七翼、其は星にして誕生。
唯一無二にして、再生を司る者。戦より出て双翼を飲み込み、昼と夜を反転させる。
八翼、其は魔にして焔。
因果に報復する焔はやがて全てを焼き尽くし闇をも砕く牙となる。
昼と夜は双翼。
散り際、闇へと誘われる。
光失いし時、
闇は漆黒よりも深く、
緞帳は焼け落ち、
万物の均衡は崩れ、
精霊の加護を失い、
焔は隠者ごと民を飲み込み、
新世界は誕生する事なくその姿を消す。