偽りの香り　〜冷遇された妻は回帰して、皇太子の秘めた溺愛を知る〜

「──これは、偽りの結婚だ」

怨霊や呪いが、都の平和を脅かす時代。
香道の名家にうまれ、香りの力で霊を祓う能力をもつ東条明日香は、その力ゆえに皇国の皇太子である国府宮明彦親王と婚約している。
幼い日に会って以来、ずっと皇太子に憧れていた明日香。しかし、結婚初夜に彼は「これは偽りの結婚だ」と冷たく告げて、側室“菜の花の君”のもとに入り浸り、明日香を冷遇する。
失意のうちに、明日香は突如自身を狙ってきた怨霊に襲われて、死んだはずだった。

──死んだはずの私が、なぜ殿下との初夜に戻っているの……？

時を逆行し、結婚初夜に回帰した明日香は、今度は彼を愛さないと決意するのだが……？