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フェルマータ  作者: すてるす
1/9

Overture

僕の吹くピッコロトランペットの旋律が、楽曲を綺麗に彩る。


高校2年生、最後のアンサンブルコンテスト。僕らは、金管八重奏曲『晴れた日は恋人と市場へ!』と言う楽曲を演奏していた。


曲はもう終盤へと差し掛かっている。


チューバから順にベルトーンが重ねられる。


ああ。


どうして。


こんなに楽しかったのに。


最後の旋律が僕のピッコロトランペットから奏でられる。


こんなにも楽しげな旋律。


それでも僕には切なく聴こえていた。


何度も練習を積み重ねてきた。


その度に何度も楽しいと思った。


そしてまだ完璧とも言えてない。


この演奏では、次の県大会に進む事は、レベルの高いこの地区で勝ち抜く事は難しいこともわかっていた。


でも、こんなにも楽しい演奏だ。


そんな演奏が、音楽が、何故、終わりを迎えようとしているのだろうか。


そして、最後の音が鳴った。


今まで疑問に思った事がなかった。


何故、楽しい音楽に終わりは来るのか。


何故、楽しい事に必ず終わりが来てしまうのかを。


観客席から拍手が聞こえてくる。


捌けなくては。舞台袖へ。



結果は銀賞。


もちろん、県大会には進めない。


僕らの冬が終わった。


泣いているメンバーもいた。


あれだけ練習したから、無理もないだろう。


コンクールは残酷だ。


でも、演奏は楽しかった。


楽しかったんだよ。


何で終わってしまうんだろう。


もう時期3年生になる。


高校生活も終わる。


楽しい事には全部終わりがあるようになっている。


それは何故なのだろうか。


どうしてなのだろうか。


1話へ続く。

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