女の子と遊ぶって難しくない?
n番煎じだったらごめんなさい。断罪ものとかを見ているとたまに出てくる「遊んでやれ!」って一般人が実際やるのはレベル高そうだなと思っただけです。
「お前ら!そいつとたっぷり遊んでやれ!殺さなければ何をしてもかまわん!」
ある日の深夜、王子が近衛騎士を連れて滅多に使われない地下牢へやってきた。近衛騎士達の腕には高貴なドレスをボロボロにして髪の毛もぐちゃぐちゃになった令嬢らしき女の子がぶら下がっている。そしてその子を地下牢に放り込むと、さっさと去っていった。地下牢付きの門番である兵士A・B・Cは物々しい集団に恐れ慄いていたが、足音が聞こえなくなったところで顔を見合わせてホッとする。
A「どう見ても令嬢なんだけど、貴賓牢の方じゃなくて良かったのかな?」
B「さぁ〜俺達にわかるわけねぇだろ。」
C「なんか遊んでやれっていってたよな?どうする?」
全員が無言で彼女の方を向く。地下牢の隅で縮こまって震えている令嬢の瞳は、涙に潤んでいた。
A「まぁ遊ぶって言ったら…やっぱあれだろ!」
B・C「あれだな!」
男達の楽しそうな声に、令嬢がさらに震えを大きくする。カチャリ、と音を立てて牢の鍵が外された。そして男達が中に入り…
B「ぐぁーー!また大貧民だーーーー!なんでだよっ!一生這い上がれねぇよ!」
A「ぐぅぅ富豪とはいえ何故勝てん…俺めっちゃ得意なはずなのに…。」
C「ふはははは〜〜〜俺に跪けぇぇぇ〜〜い!」
令嬢「あ、あの…もう一度いいですか…?次こそ成り上がってみせます…!」
4人の楽しい大富豪は明け方近くまで続いた。
王子は報告を聞いて大激怒した。
「そういうことじゃない!なんかこう…暴力的なやつだ!」
A「暴力的なやつだって。大富豪めっちゃ面白いのにな。」
B「う〜ん暴力的な遊び…じゃああれかな?」
C「なんだよあれって。教えろよ。」
Bが他の兵士2人に小声で伝える。そしてその内2人は準備をしに出かけ、残った1人が令嬢に向き直る。明らかにダボついた木綿の服を着た令嬢は、少しビクッとしたが、しっかりと彼の目を見つめた。
A「じゃあいくぞ…せーの!」
B・C「叩いて被ってジャンケンポン!!」
パァン!
C「ぐぁ〜〜!や〜ら〜れ〜たぁ〜〜!」
B「やりました!B選手、見事に昨晩の無念を晴らしてやりました!皆さま拍手を!」
パチパチパチ、と令嬢が笑顔で拍手をすると、兵士Bがドヤ顔でお辞儀をする。令嬢と兵士がやる場合は兵士側は利き手を封じたハンデをつけてやり、今回も4人は明け方まで楽しく遊んだ。
報告を聞いた王子は怒鳴った。
「だからそうじゃない…!なんかこう…こう…性的なやつだ!」
A「性的なやつだって。また難しい命令だなー。」
B「性的なやつ…つまりエッチなやつってことだよな…。」
A・B・C「………。」
C「あ!あれはどうだ!」
A・B「なになに⁉︎」
そして男3人で話し合ったのち、彼らは決断したように令嬢に向き直る。その姿を令嬢はまるで町娘が着ているような、簡素だけどしっかりとしたワンピースを着て、きょとんと見つめていた。
C「それそれ〜捕まえるぞ〜〜〜!」
A・B・令嬢「おーにさーんこーちら!手ーのなーる方へ!」
パァン!パァン!パァン!
C「いや、音が反響して全っ然わかんねぇ。」
A・B・令嬢「でしょうね。」
4人はなんだかつまらなくなって、今日はさっさと寝てしまおうと、見張り1人を残して他3人はさっさと毛布に包まった。
報告を受けた王子は頭を抱えて叫んだ。
「だから違うのー!なんて、なんていうかぁ!こう!りょ、陵辱的なやつなんだよう!」
A「…陵辱的なやつだって。」
A・B・C「………。」
A「俺、最初っから何となくわかってたけど気づかないフリしてた。」
B・C「…同じく。」
チラリ。男達は令嬢を見る。彼女は町娘風のワンピースを着て、髪を後ろで1つにくくり、鼻歌を歌いながら彼らの下着を繕っていた。
A「俺…無理なんだ。」
B「…。理由を聞こう。」
A「俺、年下は駄目なんだ!性的対象に見れないんだ!だって…だって…!家に5人も妹がいるんだ!」
C「ほほぅ。」
A「年下の女の子は皆んな妹に見えるんだ!俺は落ち着いててセクシーな…熟成したおねーさんがいいんだぁぁぁぁぁあ!」
兵士Aが頭を抱えて蹲る。その肩を兵士Cが軽くさすった。
B「俺も無理なんだ。」
C「ほほぅ。」
B「俺…ずっと隠してたけど…。ゲイなんだ…。」
A・C「………。」
B「でもお前らは全くタイプじゃないから!俺は分隊長のようなムキムキゴリゴリに抱かれたいんだ!というかもう分隊長と付き合ってるんだ!」
A「あのな…?お前と分隊長が付き合ってるの、結構有名だぞ…?」
B「は、」
C「お前ら街で普通にデートとかしてんじゃん。なんならお前の首の後ろにキスマーク見つけたことも何回かあるし。あの人めっちゃ独占欲強いよな。」
A「ああ、俺らたまにめっちゃ睨まれるもんな。お前こそあの人に言ってくれよ、男はみんなお前に欲情するわけじゃないってさ。」
B「ほぇぇ…。」
ポーッと桃色空気を醸すBを放置して、AがCに促す。
A「残るはお前だけだ。お前が命令を遂行できそうなら、俺らは席を外す。」
C「お、俺は…。その…。」
言い淀むCにAが先を急かす。現実に戻ってきたBが口を挟んだ。
B「でもお前って色んな娼館渡り歩いてるって噂たってたよな。休みによく出掛けるし。女好きなんじゃなかったのか?」
Bの言葉にビビクッと大袈裟にビクつくC。2人の視線を受けて、観念してもじょもじょと喋りだす。
C「お、俺…。俺はぁ、確かに若いボインの女の子が大好きだっ!で、でも!俺は、陵辱したいんじゃない、陵辱されたいんだぁぁ!」
Cの発した言葉に一瞬場がシーンと静まる。とうとうCは泣き出した。
C「そうだよっ!俺、ドMなんだ!兵士になったのも、ヘトヘトになるまでしごかれるのが快感だったからなんだぁ!色んな娼館でSMプレイを頼むんだけど、俺の要求に女の子が参っちゃって出禁にされるんだっ!最近じゃブラックリスト入りしたみたいでどこも断られるんだぁぁ!」
うわぁぁぁと大泣きするC。AとBは気まずい空気の中、何も出来なかった。するとそこに、今まで空気に徹していた令嬢が声をあげる。
令嬢「私、やります。」
A・B・C「へ?」
そしてその夜、地下牢の入り口で兵士A・Bは見張りをし、地下牢の中ではパァン!パァン!という何かを叩く音と、「もっとぉ!強く!そう!踏んでぇ!」などの男の声が響き渡っていた。
翌日、令嬢の父親によって令嬢は牢から出され、1度実家に戻ったが、その後しばらくして兵士Cと結婚した。兵士A・B・Cは令嬢の証言から、衣服の調達などその身の安全の確保に努めたことを評価され、2階級ほど昇進した。兵士Cは結婚後生傷が絶えなかったが、誰よりも妻を愛し仕事にも精力的に取り組んだ。
王子は令嬢救出後すぐに貴賓牢に入れられたが、その後どうなったかは兵士達は知らない。
昔、今の旦那(当時は彼氏)が「嫌がってるのは興奮するけど本気で拒絶されると萎える」的なことを言っていて、男の人の性癖って複雑だなと思いました。それと陵辱プレイってAVとかで見るのはいいけど実際に出来る人って多くなさそうだなと思って拙いですが書いてみました。まぁここのABCは大分特殊ですけど。