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3話

 ――皆様にご報告です!奈留隊員、無事に作戦成功しました! (`・ω・´)ゞ


 ――おお! 奈留っち良かったじゃん!


 ――まぁ結果は分かりきってたことだけどね。


 ――やっばーい☆

 

 自宅に戻ると奈留は真っ先にスマホを取り出し、RINEのグループを開くと今回の告白を先導してくれた田中、佐藤、高橋にメッセージを送った。

 

 内容は今日の告白についてだが、その文章には喜びが滲み出ていた。3人からすぐに返信が来たことから今回の件に強い関心を持っていたようだ。

 

 幸也は知らないことだが、4人は小学生時代の仲良しグループだった。中学に上がる際一度バラバラになってしまったが、高校に上がると再集結する運びとなった。

 

 もっとも完全無欠なギャルと化した3人に奈留は面食らうことになったし、教室でも諸事情(・・・)であまり関わりを持っていなかったが、それでも4人は事あるごとにRINEでのやり取りは続けていたし、時にはランチを囲むこともあった。

 

 さて今回の事であるが、発端は奈留が無意識の内に「好きな人がいる」とRINEグループに書き込んでしまったことだ。急いで消そうとした奈留だが時すでに遅し、3人に根掘り葉掘り聞かれてしまい、そのままトントン拍子で告白する流れになってしまった。

 

 もちろん奈留も最初は絶対無理だと思っていたが、3人に担ぎ上げられているうちにその気(・・・)になってしまったのだ、高橋製作の『手紙』も忍ばせてしまったため、覚悟を決め屋上に向かったのが1時間前。

 

 結果は無事成功したから良かったものの、ダメだったら屋上のフェンスを乗り越えていたかもしれないと考えていた。変なところで両想いな2人である。

 

 一通り報告を終えるとスマホを机に置き、制服姿のままベッドに身を投げ出した、手近なキャラぬいぐるみを手に取ると抱きかかえ、そのままゴロゴロと縦横無尽に転がり始めた、母親に見られたらはしたないと怒られそうだが、今はそれどころではない。

 

(やった、やった、やった! 夢にまで見た遠山君、じゃなくて、幸也君の彼女になれた! ああ、勇気を出して良かった……幸也君も泣いて喜んでくれたし、明日から最高の毎日が始まるんだ!)


 噂の彼は明日からの最低の日々に絶望しているわけだが、もちろん奈留の知ったことではない。

 

(でも幸也くん、あんまり嬉しそうじゃなかった気もする……もしかして私を傷つけないために、嫌々OKしてくれたなんてこと、ないよね?)

 

 奈留は手を繋いで帰っている間、そのことが気になって少し考え込んでしまい、無言になってしまったことを今更後悔していた。しかしすぐに名前で呼んでくれたことや、嫌な顔1つせず手も繋いでくれたという事実がその目を曇らせていた。

 

 曇らせていると言えば、奈留の幸也に対する評価もそれだ。

 

 幸也の外見だが、まず顔は悪くない、が、別に良くもないまさに普通顔、背は170くらいでちょっと高いが中肉中背これまた普通。

 

 常に最低限の身だしなみは整えているため清潔感があると言えなくもないが、本人の纏う陰キャの雰囲気が全てを台無しにしている。しかし奈留自身キラキラしているイケメンよりは比較的硬派な男性が好みであったことが喜劇の始まりであった。

 

 幸也はコミュ障を自称している、いや、実際そうだし、当初は奈留自身も存在を把握しているかかなり怪しかったのだ。

 

 しかし例の車の一件以降、教室での幸也の様子が奈留には毅然とした態度で過ごしているように映ったため、そこに図らずもときめきを覚えてしまったのだ、恋は盲目である。

 

 また奈留の自分への評価が低いことも関係していた。実際のところ奈留はクラスメートどころか別のクラスの男子にも周知されているくらいの美少女だが、綺麗なロングヘアーやその佇まいが醸し出すお淑やかな雰囲気、たまの休み時間に本を読んでいる姿を見るとどこか神聖ささえ感じられてしまうため、今まで奇跡的に誰からも告白されなかったのである。


 もっとも、それ以外にもう1つ、告白されなかった、知る人ぞ知る原因があるのだが、ここでは割愛。

 

 そんな次第で本人が浮いた話に疎いこともあって、結果的に奈留は自分の容姿にあまり自信を持つことが出来なかったのだ、

 

 故に今、告白を無事に成功させた奈留は有頂天であった、人生で一番の高揚感を感じている。

 

 結局その日は異音がすることに心配を覚え部屋に入ってきた母親にゴロゴロ姿を目撃されるまで、彼女の未来への空想、もとい妄想は留まることがなかった――

いつもたくさんの方に読んでいただけてとてもうれしいです、ありがとうございます。


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